昨日もお伝えしましたが、多くの韓国メディアが、半導体、特に日本と台湾の協力、TSMCの熊本工場に関して記事を載せています。日経平均など株式市場関連まで含めると、日本経済関連の記事を、ほぼすべてのメディアが出しているとみてもいいでしょう。東亜日報の東京特派員が書いたソース記事もその一つですが、こちらは『国会(国会議員)』の力をメインにしています。TSMCの熊本第1工場開所式に参加した萩生田光一氏と甘利明氏のことで、記事は、韓国でもこういうイベントに国会議員が参加することはよくあるけど、『写真映えがいいところに立つ』だけで、これといって意味のある政策を推進したという話は聞いたことがないけど、TSMC熊本第1工場の場合、そうでもないというのです。
記事曰く、「TSMC工場を作ったのは、国会議員だ」、とのことでして。2021年菅総理だった頃、日米首脳会談の共同声明に初めて台湾が言及されたとき、多くの人たちは「日米安保協力の強化」しか見なかったけど、すでに世界の流れを読んでいた自民党は、半導体関連の政策を推進する議員連盟を立ち上げ、それが今の日本、米国、そして台湾の半導体協力に大きな影響を及ぼした、というのです。その動きに関わっていたのが萩生田光一議員、甘利明議員であり、彼らが自分の地方区とは遠く離れた熊本まで来ていたのは、単に「立っている」とはあまりにも異なる、と。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・先月24日、熊本県で開かれた台湾TSMC工場開所式の演壇の真ん中には、モリス窓TSMC創業者が、その左側には自民党国会議員である甘利明と萩生田光一が並んで、一緒にテープをカットした。意味のある工場起工式や竣工式に国会議員が来るのは、韓国でも一般的なことだ。普通は地域区国会議員が登場して、写真映えのいいところに立つ。サムスン電子の平沢・華城キャンパス起工式の2015年、2018年にそれぞれ該当地域区与野党国会議員が演壇に立った。半導体工場行事に現れた韓国国会議員が、なにか意味のある政策を推進したという話は聞いたことがない。
華城起工式に出席した野党(当時は与党)議員が、以後、中小ベンチャー企業部長官となり、サムスン電子に中小企業支援協力を要請したという記事なら出たことがある。平沢起工式に来ていた与党議員は、今、国会先端戦略産業特別委員会委員長を務めている。この特位は発足後10ヶ月間4回しか会議してないが、その中の2回は委員長と幹事を選任するための会議だった・・
・・萩生田は東京、甘利は神奈川県が地域区(※選挙の地方区)だ。 TSMC工場がある熊本まで1200km以上離れた「他人の街」の人だ。日本も韓国のように、当選するには中央政治よりも地方区の活動が重要だ。「なぜ私たちの近所に半導体工場を誘致しなかったのか」と批判される余地もある。それなら、彼らはなぜ熊本第1工場の演壇に上がったのか。朝日新聞が先月27日に報道した「TSMC誘致の真相」記事に興味深い部分がある。2021年4月、当時菅義偉総理がジョーバイデン米大統領と日米首脳会談の後に発表した共同声明には、52年ぶりに「台湾海峡の平和と安定の重要性」があった。当時は中国を牽制するための日米同盟の強化だとだけ、解釈された。
日本政府のねらいはそれだけではなかった。単純な安保のための牽制を越え、中国が台頭する半導体で日米が協力しようというのがポイントだった。自民党がすぐに動いた。当産業政策に詳しい甘利明は「(単純な)産業育成ではなく国家戦略として引き受ける」と半導体戦略推進議員連盟を設けた。安倍晋三元首相も発足メンバーとして名前を上げた。経済産業相だった萩生田は、国会で「世界的流れを読めず、適切な政策を設けることができなかった」と頭を下げた後、半導体戦略の準備を指示した。いつもと変わらず働いていた経産省の官僚たちに「学芸会の準備でもするつもりか」と強いスタンスを取った。
日本政府が日米首脳会談後2カ月ぶりに設けた「半導体デジタル産業戦略」とTSMC誘致は、このように行われた。私たちが知っていた「判断の遅いアナログ式」日本とはあまりにも異なる姿だ。それから365日24時間突貫工事で出来上がったのが、先週公式開所したTSMC熊本工場だ。彼らは、もっともらしい写真一枚撮って、広報用議定報告書を作るために出席したわけではないのだ(東亜日報)・・>>
政策というか、もっと総合的なもの、政府や与党はもちろん、国会が、相応の流れを読んで動くことが重要なのは事実です。ただ、韓国メディアの関連記事を読んでいると、政権の政策だけを問題の根本としています。株式市場関連でも、もっとも当事者なのはそれぞれの企業のはずですが、政策だけを取り上げているのがほとんどです。今回もまた、そんなところでしょうか。日台の半導体協力より、中国メモリー半導体の技術向上を気にしたほうがいいのでは・・な気もします。ひな祭りということで、サブブログに埼玉県鴻巣市の「ビックリひな祭り」と、千葉県勝浦市の「ビッグひな祭り」(遠見岬神社)の写真を載せました。よろしければ、御覧ください。
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