韓国、影の金融(シャドーバンキング)が急増・・不動産関連ノンバンク、926兆ウォンでGDPの41.4%

一時は様々な側面からデータが発表され、よく記事にもなっていた、韓国の不動産関連、特にプロジェクト・ファイナンス(PF)。当局が管理する(事実上続行できなくなった事業に相応の措置をとる)と言い出してから一気に関連記事が減り、あるとしても既存のデータが繰り返されるだけなので、最近は本ブログでもあまり取り上げなくなりました。そんな中、ソウル新聞が、シャドーバンキングが急増しているうわあぁ、という記事を載せましたので、久しぶり・・でもないかな、PF関連記事として紹介します。シャドーバンキング、いわばノンバンク領域での話です。

マンション団地などを作るという「プロジェクト」だけで、自己資本はほとんどなしにローンを組む、プロジェクト・ファイナンス。これだけでもいろいろ問題になっていて、最近は政府自ら管理するとも言っていますが、一部の専門家・メディアのPF関連記事は、「銀行のデータでは意味がない、なぜなら、PFの多くが第2金融圏、すなわちノンバンクだからだ」と指摘しています。2008年、リーマン・ブラザーズ事態など世界の金融が揺れてから、韓国の第1金融圏(普通の銀行)は、PFにはあまり力を入れないようになりました。撤収するにも時間はかかるためか、それからまた5~6年後には、貯蓄銀行、証券会社、保険会社など、様々な第2金融圏が、このPFを主力事業としました。

 

その影響、でしょうか。記事によると、「不動産領域」でのシャドーバンキング規模が、2013年にはGDP比13.7%、2017年GDPの21.7%、2023年には41.4%まで増えている、とのことです。金額としては926兆ウォン。まだ増えているので、もうすぐ1000兆ウォン突破も実現するかもしれません。この期間中、新型コロナの影響などで低金利が続きました。多分、それが理由ではないでしょうか。2013年と比べると、金額としては4倍になっている、とも。記事でも指摘していますが、こういうノンバンク領域は、データがちゃんと管理されていません(第1金融圏も実はどうかな、な気もしますが)。また、それでもPFをなどで投資をしようとする人たちが、普通には資金を用意する(借りる)ことができなくなり、さらにノンバンク領域を求め、中には『既存制度では管理できない範囲』まで求める人たちも多い、とのでして。先書いた「政府の管理」が、届かない部分が大きくなっているという意味です。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・国内ノンバンクが保有する、不動産プロジェクトファイナンシング(PF)など「不動産シャドーバンキング」の規模が、昨年、国内総生産(GDP)比41%を超え、最大となった。イ・ボクヒョン金融監督院長が、2022年に就任してからまっさきに不動産シャドーバンキングを管理すると言ったが、レゴランド事態以後、不良化したPFなどがきちんと整理されていないためだと分析される。資本市場研究院は10日、国内ノンバンクが保有した不動産「影の金融」規模が、昨年末926兆2000億ウォンと集計されたと分析した。2013年223兆1000億ウォンで、4倍以上増加した。昨年の増加傾向は以前に比べ弱くなったが、依然として急増している・・

 

・・影の金融(Shadow Banking)は、ノンバンクで取引される金融投資商品で、不動産シャドーバンキングにはPF融資・保証、PF流動化証券、不動産信託、不動産ファンドと特別資産ファンドなどが含まれる。特に韓国の場合、経済規模に比べてノンバンク不動産のシャドーバンキングが占める割合が大きい。GDPに対する不動産シャドーバンキングの割合は。2013年の15.7%から昨年には41.4%に増えた。影金融は銀行に比べて金融当局の健全性管理が届きづらいため、突然金額が増えたり、不良が明らかになった場合、金融業全体のリスクに広がるおそれがある。代表的な例が、2022年不動産PF関連資金ショートを呼んだレゴランド事態だ。

問題は、影金融の性質上、金融当局が資金移動を把握することが難しく、予測や準備が難しいという点だ。ノンバンク金融機関が密接に連携しており、レゴランド事態のような問題が発生すると、他の金融主体にもそのリスクが転移する可能性が高い・・・・カン・ギョンフン東国大経営学科教授は「第1金融圏からは不動産PFなどを調達するのが難しいので、第2金融圏を訪れるしかない」とし「金融当局で阻止しようとするが、投資家は規制の「外」の領域を探し出し、シャドーバンキングの範囲が拡大している」と診断 した(ソウル新聞)・・>>

 

この前紹介した「エバーグリーン化(実は回収可能性が低いのに、満期延長や追加ローンを行うことで、延滞率など表面的なデータ上では問題がないように見せかけること)」など、第1金融圏だからといってちゃんと管理されているのかどうか、なんとも言えません。なんというか、いまの「家門が栄える道」は、医師でも検事でもなく、やはりマンションである、といったところでしょうか。若い世代がまた、様々なローンでそれを支えている、と。

 

 

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