最近韓国で最大の話題になっている、迎日湾(ヨンイルマン)の石油・ガス田。話題と言っても疑惑提起のほうが多い気もしますが、もちろん肯定的に報じるところも多く、様々な形で話題になっています。いままで本ブログでも取り上げた通り、アクト・ジオという会社が注目されています。オーストラリア最大手とされるウッドサイド・エナジーが撤収を決めた場所で、どんな根拠で20%の可能性を主張できたのか、などなどです。ウッドサイド社の件をはじめて報じた時事INをはじめ、複数のメディアが関連した案件、および訪韓したアクトジオ社の顧問ビトロアブレオ博士の発言などを報じています。以下、いくつか気になった部分をまとめてみました。
まず、可能性は十分あるとしながらも、博士は「炭化水素はまだ見つかっていない」とも話しました。炭化水素(hydrocarbon)とは、ソース記事の国際新聞によると、炭素と水素だけでなる有機化合物で、石油とガスの存在を暗示してくれる化合物である、とのことです。これが累積されているとガス・石油発見の可能性が高くなるわけですが、まだそこまでは見つかっていないそうです。「顧問は7日、該当ガス・石油田プロジェクトと関連して『(深海に)経済性のある炭化水素が蓄積されているという事実はまだ見つかっていない』『これ(炭化水素未確認)はリスクを意味することでもある』と話した」、と。こういうところをちゃんと話すのは、逆に好感が持てるとも言えますが。
また、時事INが報じたウッドサイド撤収関連記事に対して、韓国政府(産業通商資源部)は「ウッドサイド社が撤収したのは、事業再編の影響によるもの」としています(時事INの新しい記事)。それからアクトジオ社に詳しい資料を渡したので、今回の結論にいたった、というのです。ただ、それからアクトジオと韓国政府がやり取りした公文の内容、アクトジオ社の見解についての専門家会議の内容などについては、「公開できない」としています(京郷新聞の記事)。相手側の営業関連だから公開できないならまだ分かるけど、アクトジオ社が出した見解を検証するために政府がやった会議や専門家会議などの記録なら(本当に安保に関わる部分なら仕方ないだろうけど)、部分的には公開してもいい気もしますが。以下、両紙、<<~>>で引用してみます。
<<・・産業通商資源部が迎日湾一帯に140億バレル規模の石油・ガスが埋蔵されている可能性が大きいと評価した米国諮問業者「アクトジオ」と韓国石油公社との間でやりとりした公文すべてを「営業機密」を理由に公開しないと明らかにした。企業選定過程と事業性分析に対する疑惑が大きくなっている中、政府の解明もまた論議が避けられないと見られる。キムウォニ共に民主党議員は、産業部が今回の石油・ガス探査掘削計画発表と関連した17の質疑のうち、資料提出を要求した6項目すべてに「資料提供できない」と答えたと、6日明らかにした。これらの項目のほとんどがアクトジオに関する内容だ。政府は昨年2月、17年間物理探査を通じて蓄積してきた資料をアクトジオに送り、深層分析を依頼し、アクトジオが昨年末、油田可能性を確認してくれたと明らかにした・・
・・アクトジオに深海評価を依頼した経緯などを問うと、石油公社は「国際調達契約業務処理基準」に基づいて進行したと答えた。アクトジオ社以外の企業に依頼を検討したかについては、「石油公社は指名入札方式を経てアクトジオを選定した」とし、「複数の海外専門企業を入札に参加させ、そのうちアクトジオを用役企業に選定し、分析用役を依頼した」と説明した。ただし、入札に参加した他の企業がどこかは明らかにしなかった・・・・産業部はそれにもかかわらず、契約過程全般はもちろん、アクトジオが事業性評価結果を石油公社に通知した時点を前後にしての、アクトジオとやり取りした公文に対しては資料提出に応じなかった。
産業部は「石油公社とアクトジオ間でやり取りした各種資料には、両社の営業機密に関する事項などが含まれており、提出するのが難しいことをご了承いただきたい」と回答を繰り返した。また、アクトジオが出した事業性評価結果を検討した国内外諮問団の会議議事録及び結果報告書などについても、資料提出に応じなかった。産業部は諮問団構成の現状を問うと、「石油公社は国内外の石油地質探査学界専門家、研究員などで諮問団を構成した」とし「具体的名簿は本人の同意なしに公開することが難しい」とした(京郷新聞)・・>>
<<・・一方、オーストラリア最大の石油開発会社である「ウッドサイド」が迎日湾一帯深海探査事業が「もはや見込みがないと思う」という結論を下し、探査事業から撤収したという6月5日付〈時事IN〉報道について・・・・産業通商資源部は関連報道説明資料を出した。産業通商資源部はウッドサイド撤収が「2022年6月、オーストラリアの資源開発企業BHP社と合併し、グローバル海洋プロジェクト中心に既存に推進されていた事業に対する全般的な再調整過程でなされたことを知っている。ウッドサイド社は、より精密で深い資料解析を通じて掘削を本格的に推進するための前段階である有望構造化段階まですすまなかった段階で撤収したと判断される」と話した(時事IN)・・>>
もうここまで来ると、続報待ちしかできそうにないですが・・李在明代表がウッドサイド社撤収について「なにがあったのか国会レベルで検証する」としているし、ひょっとすると近いうちにまたなにか気になるニュースがあるかもしれません。さて、ユ(油)ンたん、これで支持率が回復するのかどうか、そちらも気になるところです。
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