韓国ローカルメディアが集計した、「青年(19~39歳)の平均収入と支出、そして返済金額」

中国経済と家計債務。この2つが、2000年代になってからの韓国経済を支えた、もっとも大きな理由、いわば2本の柱です。韓国では家計債務と自営業債務は別枠としてカウントですが、自営業債務も入れていいでしょう。関連記事も、これでもかというほど多く出ており、最近は、自営業者関連のニュースが特に多くなりました。自営業債務としてカウントされる人の50%以上が多重債務(3箇所以上の金融機関からローンを組んでいる)とのことでして。別に3箇所から借りたとしてすべてが問題だとは言えませんが、韓国では多重債務はもっとも脆弱な借主層とします。

そういう記事を見ていると、いつも1000兆ウォンを軽く超える(最近は本当に軽く超えます)壮大なデータが出てきます。しかし、今回紹介するのは、MBCの大邱(テグ)支部が集計したもので、大邱地域のローカルデータになります。19歳~39歳の青年たちが、どれだけ給料を得て、どれだけ支出し、どれだけ債務を返済しているのかというデータです。本社ではなく、ローカルメディアならではの集計だと見てもいいじゃないでしょう。出てくるデータも、ブロックバスター感はしません。データの範囲も、民間青年団体などと協力しての。1001人だけです。

 

でも、こういうのが意外と「現実味がある」という声もあります。これは年度は詳しく覚えていませんが、文在寅政権の頃、2020年前後だったと記憶しています。当時、市民団体や専門家などから「青年4人の1人は仕事をしていない」という主張が提起されました。政府データとは大きな溝があったものの、「実際にそんな感じ」という声が結構出ており、同じく民間領域でもっと大きな調査が行われたときにも、似たような結果になったりしました。そして、OECD基準(こちらは15歳~29歳)でいわゆるニートが20%超えているというデータが出てきて、結局は25%の話が現実味があるのではないか、そんな流れがありました。去年12月にも、ソウル市が青年(この場合は19歳~36歳)5000人を相手に調べたデータで、仕事をしている青年は65.8%だけでした。

青年25.6%は仕事もしていないし、求職もしていません。2023年のこのソウル市のローカル調査は、2020年から3年経ってからではありますが、この25.6%というのが、2020年頃の「25%」とほぼ一致していて、興味深いところです。このように、ローカルのほうがアタル場合もある、と。今回の大邱のデータもあたるのかどうかはまだ分かりませんが、家計債務とか青年関連問題をずっと追ってきた本ブログとして、これまた興味深いのも事実。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・2023年10月から1ヶ月以上大邱に住んでいるか働いている満19歳から39歳の青年1,001人を対象に、オンラインアンケートを行いました。1ヶ月平均収入は217万ウォンで、1年前の調査より4万ウォン上がり、2024年最低賃金(月給基準206万740ウォン)より10万ウォンほど高い水準です。支出は94万ウォンで、1年前の調査より5万ウォン増え、債務の返済は41万ウォン。こちらも7万ウォン増えました。支出と債務返済を加えて135万ウォン、1ヶ月収入の62%が通帳から消えました。収入が増えたのですが、使うお金はもっと大幅に増えたのです。

調査対象者10人のうち3.5人が債務を持っており、平均負債は5,187万ウォンでした。青年債務者10人のうち4人は、第2金融圏・第3金融圏(貯蓄銀行、クレジットカード会社、キャピタル、保険会社、貸付業者)で融資を受けたことが分かりました。2022年の実態調査に比べて15.6%ポイント(22年24.2%→23年39.8%)も高くなったのです(大邱MBC)・・>>

 

アンケート調査の対象者のうち、36人は伝貰関連でトラブルがあった(保証金を返してくれない、など)とのことで、10人のうち6人は株式などに投資してマイナスになりました。平均マイナス額は812万ウォンだった、とのことです。ちなみに「保証金」も上がりました。家賃ではなく、大家に預けるお金のことです。月貰、すなわち月々家賃を払うタイプの場合の保証金は、2022年649万ウォンから2023年1,435万ウォンに、786万ウォン上がりました。伝貰(※家を借りること)保証金は1,574万ウォン上昇(1億663万ウォンから1億2,237万ウォンに)。基本的にはこういうのはローンで用意することになるので、とりあえず追加でローンを受けないと用意できない場合がほとんどです。

ちなみに、これ、以前のエントリーから持ってきた内容ですが・・韓国の経済活動参加人口は約2800万人で、1978万人が家計債務を背負っていて(一部重複しますが自営業者は別)、平均で年収の39.9%を返済に使っています(DSR39.9%)。統計庁が発表した「2023年4月時点の地域別雇用調査就業者の産業及び職業別特性」によると、賃金勤労者約2160万人の(税取り前、成果給含め)平均賃金は、100万ウォン未満が9.1%、100万ウォン〜200万ウォン未満11.9%、200万ウォン~300万ウォン未満33.7、300万ウォン〜400万ウォン未満21.3%、400万ウォン以上が24.0%でした。

 

 

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