中国、「新品質生産力」へ基本政策変更か・・その意味は、「日本のような存在になりたい」だろうか

TDKが全固体電池向けに新素材を開発したというニュースがありました。約100倍となるエネルギー密度を実現でき、来年にもサンプル出荷できる、とのことです。ワイヤレスイヤホンや補聴器、スマートウォッチなどはもちろん、ロイターによると「コイン電池の場合、EUの電池規則に伴い二次電池への置き換えが必要となるため、既存のコイン電池を代替することも考えられる」とのことです。可能性を残したまま消えてしまう技術もありますが、やはりこういうものが積み重なって、私たちが求める『製品』のレベルも上がるのだろう、と改めて思いました。

そう、こういうのが『質』の蓄積といったところですが・・中国が、急に「量より質」への方向転換をするという記事がありました。韓国経済(17日)です。すでに去年9月から、習近平主席が同じ趣旨の話をしていて、それがもうすぐ行われる『3中全会』で、国家政策の基本方向として公式決定される、というのです。実は、その理由は、米国を中心とした自由民主主義陣営の各種措置に対し、中国はもうたえられなくなったから、というのが記事の見方です。記事は、これは「いわゆる『覇権』を取ろうとしているわけではない」というアピールだとしていますが、量より質というなら、また別の見方もできます。日中関係の変化にもよるものの、中国は日本から多くの有形・無形のものを輸入しないといけません。これは韓国もそうです。世界にとって、中国もそのような存在になりたいという意味もあるのでしょう。

 

とはいえ、まだまだ日米にはおよばないものの、中国の技術は、各分野ですでに質でもかなり発展していると言えます。そういう分野を増やしていく、というだけなら別にいいじゃないでしょうか。韓国ではメモリーやバッテリーなどで『私たちには超技術力がある』などという言葉で、問題ないという主張が目立っていますが、既存のメモリー半導体などはもちろん、広帯域メモリーであるHBMでも、中国勢はすごい勢いで発展していると言えます。それが、最近韓国の一部の専門家たちが指摘する『構造的変化』の根本的な理由でもありましょう。いままでは中国と韓国の貿易は、韓国が黒字の関係でしたが、これからは全体で見ると中国が黒字の時代になっていく・・そういう『構造的な』変化のことです。新型コロナなど一部の変数によるものではない、と。

ただ、これから引用する部分にもありますが、これには「『質』優先で、自分の力を隠して力を蓄えていくと、米国側もなにか措置を取ったりしないだろう」との意味もあるとのことで・・いや、それは、ちょっとそういう問題じゃないでしょう。中国の今回の政策変化が、最近あまり良い話が聞こえてこない中国経済の支えになるのか。自由民主主義陣営と中国との関係を変えることができるのか。そういうところが気になるのは確かですが・・やはり、個人的に、『いや、そういう問題じゃないでしょう』としか思えないのが、率直なところです。習近平主席がそういったから、『じゃ、そうします』な展開になった(なるしかなかった)というのもありますし。もし上記の見方が合っているなら、中国の技術力上昇にもっともこまるのは、韓国になるのではないか。そんな気もします。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・中国政府が習近平国家主席の執権3期を代表する新しい指導理念として「新品質生産力」を確定した。米国との直接的な対立を避け、技術革新を通じた製造業のアップグレードで経済体質を改善するという趣旨だ。17日、現地情報筋によると、中国共産党は来月開かれる第20期中央委員会3次全体会議(三中全会)で新品質生産力を中国の新しい指導理念として公式化することが分かった。3中全会は中国の5年間の経済政策の方向を決める行事だ。新品質生産力は昨年9月に黒竜江省を視察する際に初めて言及して話題になった。大量に資源を投入するより、技術革新で経済を発展させるという意味だ・・

 

・・これまで習近平主席は米国を超えて世界初の一流国家になることができるという野心を込めた「中国夢」を唱えてきた。しかし、これは米国の各種措置を招き、経済リスクへつながったという批判が提起された。これに中国は、鄧小平が唱えた「韜光養晦(とうこうようかい、自分の力を明らかにせずに実力を蓄える)」へ、政策方向の大転換を試みている。新品質生産力を強調しながらも技術自立化の具体的な目標は隠して、米国を刺激しないということだ(※この部分、特に「いや、そういう問題じゃない」な気がします)。事案に精通した関係者は「鄧小平の実利主義を再導入することは、米国の各種措置が中国に効いているという意味だ」と話した。

17日、中国共産党などによると、来月開かれる共産党第20期中央委員会第3次全体会議(三中全会)で新しい指導理念として公式化することが知られる新品質生産力は、中国が製造業強国に生まれ変わるという宣言の意味を込めている。伝統産業をアップグレードして製造業の体質を「量」から「質」に転換するというのが新品質生産力の核心だ。中国が先駆けている電気自動車、バッテリー、太陽光のように世界をリードする新技術を確保するという意志も込められた。三中全会は5年に一度開かれる中央委の3次全体会議で、直前には2018年2月に開かれた。慣例通りなら昨年下半期から今年初めの頃に開催されるはずだったが、延期されてきた。それだけ経済リスクを打開する政策方向を提示するのが難しいという意味でもあった(韓国経済)・・>>

 

 

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