新しい1万円札に渋沢栄一の肖像が使われていることで、韓国の複数のメディアが記事を出しています。ちなみに、超ざっくりで恐縮ですが、渋沢栄一は朝鮮半島に鉄道と紙幣など、近代の経済に必要なものをもたらした人物でもあります。ちなみに、記事によると、韓国電力公社も「京城電気」という名前で始まりましたが、それも渋沢栄一によるものでした。そんな功績の渋沢栄一ですが、聯合ニュースなど韓国メディアの記事は、批判一色です。記事は「国内外から批判が相次いでいる」としていますが、「外」ってどこでしょうか。韓国メディアの記事以外になにかありましたっけ。「内」というのは、記事には自販機などで新札が使えないなどの批判がある、としか書いてありません。それ、渋沢栄一とは関係ないのでは。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・日本では来月、新しい紙幣が発行される。新しい紙幣は1万円札と5千円札、1千円札の計3種だ。日本が紙幣の中の人物を交換したのは、2004年が最後だった。当時は1千円札と5千円札だけが変わり、1万円札の人物は1984年以降40年ぶりに交代される。ところが、新たに登場する紙幣の人物のうち、私たちにとって、にがい後味を残す人がいる。日本最大の紙幣単位である1万円札の新しい顔である渋沢栄一(1840~1931)だ。渋沢は日本明治時代の経済官僚を経て、複数企業の設立に関与し、「日本資本主義の父」と呼ばれる。彼は第一国立銀行、東京ガスなど500社以上の企業の設立及び育成に関与した。
だが、渋沢は韓国では全く異なる人物として記憶されている。彼は朝鮮半島に鉄道を敷設し、京城電気(韓国電力の前身)社長を務め、日本が朝鮮半島の経済をものにするにおいてその先頭に立った人物だ。特に、大韓帝国(※1897年~1910年の朝鮮時代)時代、そのために初のて近代的紙幣発行を主導し、自ら紙幣の中の主人公として登場したりした。1902~1904年、日本第一銀行の紙幣1ウォン、5ウォン、10ウォン券が発行された。この3種類紙幣の中に描かれた人物が、まさに当時第一銀行の所有者だった渋沢だ。当時の朝鮮は1901年、外国のお金の流通を許可せず、「金」本位制度の採択を内容とする自主的貨幣条例を発表した。すると、日本第一銀行は力で貨幣を発行するようにした・・
・・渋沢など新紙幣3種に登場する人物は2019年安倍晋三政権で決定された。当時も、渋沢を1万円札人物に選定したことに対し、韓国に対する配慮が欠けていたという批判が出ていた。約5年が過ぎてユン政権が日韓関係も梗塞局面から抜け出したが、日本最高額の紙幣に渋沢栄一の絵が入ることは、両国の認識にまだまだ溝が残っているということでしかない。一方、日本政府は新しい紙幣発行の理由で偽造防止などを挙げているが、内心、経済効果を期待している。まず、既存の自動販売機と現金自動入出金機(ATM)を交換する需要が生じ、景気浮揚効果があると見ている。既存の自動販売機やATMなどは新しい紙幣を認識できず、新しい機械に交換しなければならない。
野村総合研究所は、ATMの交換などにかかる費用を約1兆6千億円と推定し、日本の年間名目国内総生産(GDP)を0.27%ほど引き上げる経済効果があると推算した。これと共に高齢層など個人が家に積み重ねた現金である「タンス預金」が外に出て、消費と投資につながると期待する。第一生命経済研究所は、日本のタンス預金は約60兆円に達すると推定し、このような現金が物価や金利の上昇、新紙幣発行などの要因で動き始める可能性があると見通した。しかし、日本政府が期待するこのような経済的効果よりも新しい紙幣発行による負担が大きいという不満が、小商工人を中心に飛び出している・・(※関連費用負担、Paypayなど決済手段の登場などの話の後に)・・新しい紙幣発行の肯定的な面が浮上するのではなく、日本国内外で批判と指摘が相次いでいるようだ(聯合ニュース)・・>>
だから、「内」からの批判や指摘はあるとして(渋沢栄一とは無関係な内容ですが)、「外」ってどこだよ、としか。記事は批判の論拠として1900年頃の話をいろいろ書いていますが、私にはそれらが「韓国から見ても、見事な功績」にしか見えません。渋沢栄一が朝鮮半島に敷いた鉄道は、京城(ソウル)と仁川を結ぶもの(いまでも京仁線、キョンインソンと言います)、そして京城と釜山を結ぶ京釜線(キョンブソン)がメインです。もしこれらが無かったら、インフラ面でどうなったのか。
あくまで一例として、ですが・・もしこれらのインフラが無かったなら、朴正煕政権の経済発展政策は大幅に遅れていたのではないか、などなど。様々な見方ができます。時代が変わったというのは、そういうところまで考える『見方』が広がるという意味でもありますが・・ソース記事を見ていると、いつの時代の記事なのやら(※今朝のものです)。ちなみに、渋沢栄一については、韓国でも「すごい人物」として、本を書いたりする人もいます。いるにはいます。
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