韓国政府の「企業バリューアップ計画」、参加した上場社は0.3%・・「もっと日本をベンチマークしよう」記事が相次ぐ

本ブログでも何度か取り上げましたが、ユン政権が行っている「企業バリューアップ政策」。これ、韓国では結構大きな話題になっていて、いまでも多くの記事が出ています。今回、その最初の成績表とも言えるデータが公開され、ファイナンシャルニュース(記事1記事2、ともに25日)など多くのメディアがまだ記事を増やしています。バリューアップ政策とは、各企業のPBR(株価純資産倍率)」改善などのことで、基本的には「日本をベンチマークする」路線です。今年2月、急に「3月には具体案を発表する」というニュースが飛んできて、個人的に「前から準備してきたかもしれないけど、そこまで急にできるものなのか」とびっくりしました。

当時、韓国メディア及び専門家たちも、日本の場合はPBR改善だけではなく(当時これがよくニュースになっていましたが)、10年以上もかけて様々な部門を改革してきたもので、企業の「現金資産」が多く、官民の協力あってこそのもので、そう簡単にベンチマークという言葉を使っていいものではない、と指摘したりしました。実際、それからこの政策が発表されたものの、財閥企業の多い韓国においてなにより重要な『企業ガバナンス構造』関連内容がほぼ何も無く、市場はさほど反応しませんでした。もう春頃のことだったと記憶していますが、「むしろ下がった」という声も聞こえていました。

 

そして、その政策にもとづいて各企業が自発的にバリューアップ計画を『公示』するようにして、3ヶ月が経ちました。でも、公示した企業が全体上場社(コスピ、コスダック)の0.3%だけだった、とのことでして。似たようなデータとして、日本の場合、4ヶ月で上場社の10%が公示し、今年3月基準ですでに上場社の約半分が自発的にバリューアップ(あえてこの言葉を使うなら)計画を公示しています。韓国の場合、これから公示する予定だと答えた企業まで全部合わせても、0.69%です。そこで、またもや日本をベンチマークベンチマークぅあぁぁという記事が増えたわけです。あと、この話になるとほぼ例外なくアベノミクスもあったからという話も出てきますが・・アベノミクス当時、各メディアがどういう報道をしていたか思い出してみると、いまさらなにをいうのか・・としか思えません。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・企業のバリューアップ公示が始まって3ヶ月近く経ったが、上場企業は依然としてパッと反応しないでいる。公示参加率は1%にも及ばない。最初の段階である公示がこれでは、バリューアッププログラムそのものが力をうしなう可能性があるという懸念まで出ている。25日、韓国取引所によると、バリューアップ計画を自律公示した企業は8カ所に過ぎない。国内証券市場全体の上場企業数(2594カ所)を勘案すれば参加率は0.3%にとどまる。バリューアップ自律公示をすると予告した上場社(10カ所)を合わせても1%を下回る(※約0.7%)。金融当局は5月27日からバリューアップの公示を始めた・・・・ベンチマーク対象の日本のデータをみてみると、国内企業の消極的な態度はさらに目立つ。日本の場合、バリューアップ・プログラムが導入されてから4ヶ月間、10%を超える上場会社が公示に参加した。大韓証券によると、今年3月末基準で全上場会社(3200ヶ所)の半分に近い1481ヶ所が参加するほど積極的な姿だ(ファイナンシャルニュース記事その1)・・>>

 

<<・・企業バリューアッププログラムがスタートダッシュできなかったという評価が出て、金融当局がこまっている・・・・ベンチマーク対象の日本のように全方位的な資本市場の改革を着実に推進しなければならないという分析もある・・・・メリットがある(※税制上の利益など)という政府の約束にも、企業が動かないのは、ともに民主党は、バリューアップ税制支援に反対の意思を示しているからだ。企業が配当拡大・自社株消却をする時、企業のオーナーが配当を増やして自分の資産を増やしたり、企業の法人税負担を減らそうとする目的で活用できるという主張だ・・バリューアッププログラムの「元祖」と言える日本のように成功するには、政府が全方位的な改革に乗り出さなければならないという指摘も提起される。実際、日本は2014年以来10年間、アベノミクス政策、企業ガバナンス構造改革、取引所市場の改編などを一貫して推進してきた。

特に企業ガバナンス構造が海外資金誘致に繋がっていると判断、2014年、受託者責任原則と呼ばれるスチュワードシップコードに続き、2015年企業価値を高め、株価上昇分を投資家が享受することを目指すガバナンスコード、2018年投資家と企業間の対話ガイドラインなどを順次導入した。2022年には日本取引所のグローバル競争力向上のため、既存の5つの取引所市場を3つに再編し、上場維持条件を強化した。岸田文雄首相の強力なリーダーシップも力になった。岸田首相は2021年10月内閣発足とともに「新たな資本主義実現本部」を設置し、これまで数十回の会議を開いた。この場では、企業ガバナンス構造を改善し、家計資産を資本市場に流入させ、長期投資するよう誘導するための多様な政策案が議論された(ファイナンシャルニュース記事その2)・・>>

 

 

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ブログのカテゴリー、タグ分けを細分化しました。本エントリーの場合は「韓国経済の話」になります。ただ、細分化は2024年8月19日からで、その前はほとんどが『ユン政権の大冒険』『文在寅政権の行く末』あたりにあります。ブログ内検索なども併用してくださるようお願いいたします。

 

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