日本で言うPayPayやSuicaなど電子マネーなどによるキャッシュレス決済のことを、韓国では「簡便決済」と総称します。その簡便決済システムが、ほぼ中国、たとえばAlipayのシステムを利用している、という記事がありました。相応のセキュリティー問題も懸念される、とも。SBS(8日)です。そして、日本がLINEのセキュリティー問題で持分整理(記事原文ママ)を要求したのと同じく、私たちはセキュリティー関連で問題が起きたとき、中国企業に対して、日本政府のように持分の整理を要求することができるのか、というのが記事の主な内容です。結論からして、まず企業からして、そして政府(外交)からして、できるとは思えない、とも。というか、この「実は中国の技術でした(じゃじゃーん)」とする内容そのものが珍しいこともあって、なかなか新鮮でした。
ただ、引用部分にはありませんが、「日本は外交的な理由で持分整理をあきらめた」「(韓国側の反応に)日本がびっくりした」と書いてあるなど、やはり認識がずれている部分が目立ちます。自分でセキュリティーを言いつつ、それとは別の側面から見ようとしているから、ズレるのでしょう。記事は、韓国の代表的なキャッシュレス(簡便)決済サービスとして、「ネカト」すなわちネイバーペイ、カカオペイ、トスペイの三つを挙げています。しかし、それらはあくまで国内で人気があるだけで、海外ではほぼ無名の存在であるため、Alipayのシステムを使うしかないとしています。また、カカオペイとトスペイは、2大株主として中国企業が入っている、とも。単純な金融投資ではなく、理事会まで手に入れてある、とのことでして。以下、キャッシュレス決済の中国関連部分をメインに、<<~>>で引用してみます。
<<・・我が国の代表的な簡便決済サービス(※キャッシュレスシステム)を挙げれば、「ネ・カ・ト」、すなわちネイバーペイ・カカオペイ・トスペイであろう。これら3つは海外ではまだ無名に等しい決済手段だから、世界最大の簡便決済企業であるアリペイのシステムを利用する。いずれもアリペイと技術協定を結んでいるのだ。ところが、このうちカカオペイは単純技術協定を超えて、アリペイをサービスする中国の「アントグループ」が2大株主として参加している。中国のアリババを親会社としている「アントグループ」は、かつてカカオペイに戦略的投資家として参加し、持分を43.9%まで保有していた。以後、持分率を下げて現在は32%保有中だ・・
・・トスペイメンツにも、中国の「アントグループ」が2大株主として入っている。昨年、やはり戦略的投資家として参加し、現在トスペイメンツ持分の37.7%を保有中だ。これら両社の持分を買うのにアントグループが使ったお金は4000億ウォンから5000億ウォン程度だとされる。アントグループの親会社であるアリババの立場から見ると、大した金額ではないかもしれない。言い換えれば、それくらいの資金で韓国のキャッシュレス決済市場を手に入れることができたのだ。中国資本がカカオペーナやトスペイメンツに投資することにしたという記事を読んでみると、概ね歓迎する内容だった・・・・しかし、雰囲気が懸念に変わり始めたのが、今回のカカオペイの4,045万人の顧客情報流出事件だ。簡便決済市場が大きくなり・・・・ほとんどの決済を簡便決済でできる市場において、中国企業が深く介入していることそのものが、「情報セキュリティ」懸念であると言える・・
・・現在、カカオペイとトスペイメンツは日本のラインと似ている。中国の資本が2大株主に入っている。さらに単純金融投資ではなく戦略的投資家に入っているので、理事会までものにした。さらに、海外事業においてはこれらに技術的にも依存している。必ず海外でなくても韓国で外国企業関連決済をするときにも同様にアリペイのネットワークを利用しなければならない。こうしてみると、私たちも日本がしたのと同じ懸念をする必要があるのだ。だが、だからといって日本が韓国に要求したように中国のアリペイに「持分を整理するように」と言えるのだろうか。専門家は、そのようなことはできないと言いきる・・
なにより、Alipayが現在の持分をすべて売ると、各企業は生き残れない。アリペイは当初40%を超えたカカオペイの持分を2回にわたって大量売却し、現在32%まで下げた。この過程でカカオの株価全体が急落する、脆弱な姿を見せた。個人投資家たちは「中国資本にやられた」という言葉まで出てきた。ところが、もし今アリペイが残った持分を売れば、カカオはどうなるのだろうか。さらに、トスグループはカカオよりもかなり小さいが、アリペイが持っている30%を超える持分を自ら買いとるお金もないだけでなく、この持分を買う投資家を探すのも現在では難しい(SBS)・・>>
他に、記事は、中国との外交関係においても、持分関連のことは言えないだろうとしています。先に書いたように、「日本も外交的な理由で持分整理をやめたのに、韓国が中国にそんなことが言えるのか」といった理屈です。また、「スマホが早く普及したのになぜ自分のネットワークも持ってないのか」という話として「国内の関連規則が厳しすぎる」としていますが、規則だけの問題でしょうか。セキュリティーなど、認識そのものが全般的に弱かったのではないか、そんな気がします。
本エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年5月2日)<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・準新刊(2023年12月21日)、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・既刊として、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>(2023年7月29日)も発売中です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。その際の、自分なりの持論に関する本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。