韓国メディア「勤労所得のある人の33%が非課税」(※年1400万ウォンから課税、日本は非課税15%)

これを、課税が優しいとみるべきか、所得格差問題として見るべきか。そんなテーマの話です。本ブログでも何度かお伝えしましたが、来年から・・というか、すでに韓国も超高齢社会に入りました。すでに「働く60歳以上」比率では日本を超えており、その収入もパッとしないのが実情でして。東亜日報(4日の記事)はこの件で、低成長時代と超高齢社会が同時に来て、その両方にも備えができていない、と指摘しています。「勤労」している、すなわち何かの形で働いている高齢者の約半分が、月100万ウォン未満の給料しかもらってない、などなどの話が出ています。個人的に、記事には書いてありませんがこの話で気になるのは、税収です。

韓国の場合、勤労所得を得る人たちの中に、免税者(日本で言う非課税者)が多いことで有名です。確か、1400万ウォンから6%が適用されます。なにかの特別な控除があったか、または所得が1400万ウォンにならなかったか、のどちらかの理由でしょう。勤労所得がある人の中の非課税者比率は、日本が15%台ですが、韓国は33%を超えています。しかもこれ、15年前には40%近くまで高くなっていました。それから物価などが上がって、それに合わせて給料も上がりましたが、課税区間はほぼ変わらなかったので、その分、勤労所得の税金を払う人も増えたわけです。とはいえ、まだ高いですけど。これは朝鮮日報(21日)の記事からです。普通、超高齢社会になると、非課税の人が増えます。これから、少子化及び超高齢者の影響が強く出てくるでしょう。

 




 

ちなみにグーグルのAIさんによると、日本の住民税非課税世帯(課税の有無が不詳の世帯含む)は全世帯数のうち24%(約1300万世帯と推定)ですが、 世帯主が30〜39歳の世帯は3%、70〜79歳の世帯は37%です。これは、ある意味、程度の差はあれど、どこの国でも似たような結果になるでしょう。最近も、法人税がどうとか、不動産がどうとか(歳入に大きな影響を及ぼします)で、尹政権・・いまは韓代行政権(?)か・・は、歳入で結構ピンチのようですし、そろそろ税率を見直して、さらに税金を増やすように・・という話も出ていますが、これは決して容易なことではありません。この前、数百円の利子が支払えない人が多いとかそんな記事もありましたし、家計債務とかも考えると、なおさらでしょう。また、韓国はすでに上位10%が税金の85%を負担しています。いずれ、低所得者にも増税が来る、といったところですが・・電気料金もあげられずにいるのに、そんなことできる人がいるのか、と。朝鮮日報の記事は前からちょっと気になっていた案件でもあるので、2つの記事、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・2025年を控え、経済に非常灯が点灯している。来年と後年の成長率が1%台と見込まれるなど、低成長が固着化するピンチの状況なのに、超高齢社会の元年になったためだ。2024年7月1日基準で65歳以上の高齢者の割合は19.2%で、来年の超高齢社会への参入が既定事実化した。高齢社会となった2018年以降、わずか7年ぶりのことだ。経済活力が低下した中で超高齢社会という難題に直面したのだ。米国トランプ政権の再集権で輸出リスクが懸念される中、内需だけでも盛り上げないといけない状況だが、高齢人口と高齢者の貧困率の急増は、消費と経済の好循環を難しくするという懸念が提起されている・・

・・資産のほとんどが不動産に縛られているという点も、最大の問題に挙げられる。資本市場研究院によると、国内高齢層資産の83.66%が不動産であることが分かった。預金は9.41%、金融投資資産は1%未満だ。資産は多い人でも、これをもとに豊かな消費ができる高齢者はそういないという意味だ(※同記事の『全世帯(高齢者だけでなく)資産対比不動産比率は韓国が77%、日本が43%)。雇用で勤労所得が確保できるわけでもない。働く高齢者は経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち最も多い37.3%に達するが、このうち半分近い高齢者が月100万ウォンも稼げないでいる。政府が高齢者雇用を量産しているが、月給は21万ウォンに過ぎない。高齢就業者を見てみると、単純労務(34.6%)と農林漁業熟練従事者(23.3%)が半分以上だ(東亜日報)・・>>

 

<<・・勤労所得申告者基準では、免税者(※非課税者)は689万人で、全体の33%だった。この割合は2022年(33.6%)に比べ0.6%ポイント減少するなど検証傾向ではあるが、米国31.5%(2019年)、日本15.1%(2020年)、オーストラリア15.5%(2018年)など海外主要国に比べ高いほうだ・・・・予算政策処は「韓国の所得税税率が高いのに所得税税の割合が他の国より低いのは、免税者比率が高いため」と指摘した。 韓国の所得税最高税率は45%で、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均(36.1%、2022年基準)に比べて9%ポイント近く高い。一方、国内総生産(GDP)比所得税比率は6.6%で、OECD平均(8.2%)に比べ1.6%ポイント低い。各種減免利益を勘案した実効税率は韓国が4.8%で、OECD平均(10.1%)の半分にもならない(朝鮮日報)・・>>

 

ちなみに、勤労所得以外にも「いろいろ全部合わせて」の総合所得税というのがあります。ですから、勤労所得税は非課税でも、他に税金が発生する場合もあります(勤労所得税はなくても、他の収入があって総合所得税は支払っている)。朝鮮日報の記事によると、「勤労所得があると申告した人」は2085万人で、その中の33%が非課税だった、ということになります。人数で689万人です。低成長時代、及び超高齢化社会において、この問題には誰がどう立ち向かうのでしょうか。

 




 

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