10月27日に、米国との造船業協力で「日本企業のほうが(米国への投資による受注の競争で)優位に立つのではないか」とする記事を紹介しましたが、今度は原発関連で同じ趣旨の記事が出ています。朝鮮日報が似たような記事を連続で出しているので、チョイスしてみました(引用記事は29日のもの)。なにせ、今回米国政府が投資すると言っているのが、あのウェスティングハウス社です。この件も本ブログで何度か取り上げましたが、チェコ原発輸出の際、「私たちの技術によるものだから、もうライセンスなど必要ない」としていた韓国側(韓国政府や水力原子力など)の主張とは異なり、かなり不利な条件を結んでいた、ということで話題になっていた、あの会社です。
しかも、地域の限定(ウェスティングハウスの許可無しでは、韓国は日本やEUなどには原発が作れない)、ライセンス関連契約が数十年も続くなど、韓国の与党は「尹政権でやったこと」「協定をやり直す」としていました。ですが、23日のファイナンシャルニュースによると、政府はウェスティングハウスとの再契約(協定のやり直し)を事実上、諦めました。やり直す!というのは複数のメディアが大きく報じられていましたが、やめたというのは発表もされておらず、検索してみないとわからないレベルの記事になっています。そんなウェスティングハウスに投資するというのも韓国側としては気になるところですが、しかも、すでに日本企業が約1000億ドルの投資を決めています。
ファイナンシャルニュースの記事で、「今できることは、技術開発と、世論を盛り上げて圧迫する(韓国では「世論戦」と言います)ことだけだ」とのことですが、世論盛り上げてなにをするつもりでしょうか。一つ前のエントリーにも書きましたが、2~3ヶ月の遅れによる「差」が、こういうところから現れているのでしょう。記事は、「韓国企業も恵沢を受けるだろうが、日本企業による投資は大きく、(ウェスティングハウスとの契約を意識して韓国政府が米国側と作るとしていた)合作企業も、このままなかったことになるのではないか、としています。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・韓国電力公社・韓国水力原子力と、米国原子力発電所企業ウェスティングハウス社との間に結ばれた協定内容の不公正さが、事実だったと明らかになっている(※23日の記事です)。共に民主党は、不公正さに関する論議が起こると、協定改正の必要性を提起したが、企業間の協定であるうえに、米国との関係にまで影響を及ぼす事案であることから、「改正は難しい」という立場だと、23日確認された。複数の共に民主党議員たちは、この日のファイナンシャルニュースの取材に、原発協定改正を直ちに推進することは、リスクが大きく難しく、今後改正のための世論を盛り上げることと、協定の影響を受けない完全に私たちだけの技術を開発することが解決法になると明らかにした・・
・・総合すれば、今できることは、世論を盛り上げる攻勢と、独自技術開発の採用以外にはない、ということだ。原発協定を電撃的に改正するのは難しいという意味でもある。ある共に民主党議員は「協定改正は、輸出関連措置は米韓政府間で協議すべき事案であるうえ、企業間契約だから、さらに難しい」とした(ファイナンシャルニュース、引用部分にはありませんが、これが関税交渉に影響する可能性があって尚更だ、という内容もあります)・・>>
<<・・(※ここから29日の原発関連の朝鮮日報の記事、米国政府が原子力関連で多額の投資を決め、その影響で韓国企業も多くの企業が恵沢を受けることになるだろうという話の後に)この米国の発表が、日本が米国へのエネルギー投資を公開した直後に出たという点で、懸念を示す観点も存在する。韓国水力原子力(韓水原)と合弁会社設立を議論してきたウェスティングハウスが三菱重工業・東芝など日本企業との協力を先に強化するものと見ている。韓水原の立地が弱くなるしかないという観測が出ている・・・・ウェスティングハウス投資に使われる資金の一部が日本から来るという点は、米国と原発分野の協力強化を推進してきた韓国政府にも思わしくない影響を及ぼす可能性があるという懸念も提起されている。
韓国水力原子力はウェスティングハウスとの合弁会社設立を議論してきたが、8月以降からは、関連した議論が止まっている状況だ。前日、日本政府はトランプ大統領の日本訪問に合わせて、「日米間の投資に関する共同ファクトシート」を発表した。これには、三菱・東芝・IHIなど日本企業がウェスティングハウスのAP1000原子炉と小型モジュール原子炉(SMR)建設に1000億ドルの投資意向を見せるという内容が盛り込まれた。
ワシントン・ポストは、この日本の投資金の一部が米政権のウェスティングハウス支援に入ると伝えた。ジョンボンジン慶熙大原子力工学科教授は、「日米の関税協定妥結で、日本の資金が米国内の原発建設に使われるようになった」とし「お金もあり、事業パートナーもあるとなると、ウェスティングハウスとしては、韓水原が必要なくなる可能性がある」と話した。ジョンヨンフン カイスト原子力量子工学科教授は「米国と日本は、前から多様な産業分野で緊密に協力してきた仲だ」とし「原発市場の攻略を、個別の一つの国家だけでやるのが難しいだけに、韓国も、より積極的にグローバル協力強化努力を傾けるべきだ」と話した(朝鮮日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。