韓国大統領直属の「国家情報院」(韓国のCIAのような機関、旧安企部)が、「国家情報院長の訪米を米国NGA(アメリカ国家地理空間情報局、National Geospatial-Intelligence Agency)が拒否した」とした朝鮮日報の報道を問題視し、法的対応に乗り出しました。法的対応まで取るのは珍しいことだ、とのことです(引用はしませんがMBCなど複数のメディアがそう報じています)最近、国家情報院の人たちに対してビザが発給されなかったり、与党代表出身の国会議員が米国に入国できなかったり、日米韓安保関連会議に「国家情報院に会議に来ないようにと公文が来た」(本ブログで11日に取り上げました)などのニュースが相次いでいます。なにか問題があるのは間違いないと思われますが、なんで朝鮮日報だけにここまで強い対応を取るのでしょうか。ちょうど聯合ニュース日本語版があったので(14日、ヤフー版)そちらを先に引用し、問題の朝鮮日報の記事(8日)も紹介します。聯合ニュースの記事本文には「朝鮮日報」と明記されていませんが、韓国では朝鮮日報のことだと明示されています。以下、各紙から<<~>>で引用してみます。
<<・・韓国情報機関の国家情報院(国情院)は14日、米国防総省傘下の国家地理空間情報局(NGA)が李鍾奭 国情院長の訪問を拒否したとの報道は「虚偽報道」だとして、13日に言論仲裁委員会に訂正を求める申請を行ったと明らかにした。国情院が報道に対して法的対応を取るのは異例。韓国の大手紙は8日、李氏が今年3月に国家地理空間情報局の訪問を計画したが米側が拒否して実現しなかったと報じた。国情院は報道当日に「虚偽であり、事実ではない」として遺憾を表明し、「法的措置を含む必要な手段を検討し、強力に対応する」としていた。 国情院はこの日、同院が活動を原則非公開としているため具体的に説明するのが難しいという事情を利用した無責任な報道は、国益に役立たないとして自制を求めた(聯合ニュース)・・>>
<<・・李鍾奭(イ・ジョンソク)国家情報院長が、3月に訪米を計画していたものの、米国側との日程や動線の調整がつかず、実現しなかったことが、7日、明らかになった。ワシントンの情報筋は同日、「李院長はこの春、ワシントンD.C.を訪れ、米国防総省傘下の情報機関である国家地理空間情報局(NGA)を訪問しようとしたが、米国政府がこれを認めなかったと聞いている」とし、「米国の情報機関トップとの面談も実現せず、訪米は見送られた」と述べた。これに先立ち、無所属の韓東勲 議員は国会外交統一委員会で、「米国が(李院長の)反米的な傾向などを問題視し、入国を拒否した」と発言した。しかし、前述の情報筋は、「米国が入国やビザの発給を拒否したのではなく、訪問や面談の要請が実現しなかったということだ」と説明している。
人工衛星やドローンなどで収集した映像情報を分析・加工し、地理空間情報、すなわち「GEOINT(ジオイント)」を生成するNGAは、世界各地の要衝を日々監視する米国政府の「目」としての役割を担っている。NGA訪問の実現が見送られたことで訪米自体を取りやめたのかという本紙の問い合わせに対し、国家情報院は具体的な説明を避け、「事実ではない」とした上で、「情報機関トップの動線については確認できない」と回答した・・・・また、米国政府は昨年発生したクーパン(Coupang)の個人情報流出事件への対応に関与した国家情報院の要員数名を、ビザ発給が制限される「米国入国制限対象者リスト」に加えたことも同日、明らかになった。これは、国家情報院が駐米大使館に派遣しようとしていた職員らのビザ発給が保留された件とは別に、クーパン関連の要員に対して制裁を科したものとみられる。
米国政府は、韓国国家情報院(国情院)が駐米大使館に派遣しようとしていた高位幹部について、過去の対米情報活動も問題視し、他の職員らと共にビザの発給を保留したと伝えられている・・・・今年に入り、ワシントンD.C.の米韓関係専門家の間では、米韓同盟が「最悪の事態に向かっている」との懸念が絶えず指摘されている。韓国による2500億ドル規模の対米戦略投資や、米国の韓国に対する原子力潜水艦導入支援など、昨年の米韓首脳会談で合意された事項の履行は進展が遅い一方で、両国関係を緊張させる問題ばかりが次々と浮上しているという状況だ。
CIAは「米・中のどちらの側なのか」と疑念を持っている。米国政府が李国家情報院長の訪問要請を拒否したことについて、李院長の対中・対北朝鮮観が問題視されたのではないかという見方が出ている。ある消息筋は、「昨秋ごろ、CIAがソウル支部長を通じて李院長に対し、『韓国は米・中のどちらの側なのか明確にしてほしい』と求めたが、李院長は『なぜ韓国が一方の側だけにつかなければならないのか』と主張したと聞いている」とし、「CIAが李院長を『親中』と見なすようになり、情報協議体の会議などから国家情報院を排除する動きが見え始めた」と語った。
別の関係者は、「李院長は昨年就任した後、極秘裏に米国を訪問したと承知している」とし、「『顔合わせ』を経ても、米国が抱く疑念は解消されなかったのではないか」と述べた。昨年6月の国会人事聴聞会で、李院長は「米国との関係が悪化すれば、経済も安全保障も損なわれるのではないか」という野党議員の質問に対し、「米国との関係を損なわないようにしつつも、我々は通商国家である以上、あちこちの草を食べて生きるべきであり、特定の側の草だけを食べて生きていくことはできないと考えている」と答えた。李在明大統領が1月4日から7日にかけて異例の「年明けの訪中」を行った背景には、中国との関係回復を通じて対北朝鮮対話の糸口を開くべきだと主張し、対中水面下交渉に積極的に取り組んだ李院長の存在があったとされる。
北朝鮮研究者出身である李院長は、金大中 大統領の特使団に参加した2003年から、文在寅政権での2018年にかけて、計13回も北朝鮮を訪問した記録を持つ。ただし、昨年の人事聴聞会において、李院長は「北朝鮮を深く研究したという理由で『親北的』だと評価されることには、断じて同意できない」と述べている(朝鮮日報、問題となっている8日の記事)・・>> 最近、こんな「お知らせ」ばかりで申し訳ありませんが、このままちょと秋休み(なんだそれは)を頂きます。次の更新は日曜日(18日)の11時頃になります。下手ですがまた紅葉の写真でも少し載せられたら・・と思っています。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。