分かれる半導体専門家たちの意見・・「米国も中国も、私たちには強く出られない」とも、「危機感を持つべきだ。メモリー技術力で中国を引き離すことは難しい」とも

あとで取り上げることになるかもしれませんが、JSRが国策会社になったことで、朝鮮日報など一部のメディアが「半導体分野で必須的なフォトレジスト世界1位企業が国有化された」としながら報道しています。日本は今でも半導体サプライチェーンにものすごい影響力を持っているけど、これから日本政府の影響力はさらに強くなるだろう、という内容です。記事は「半導体素材を戦略物質化するつもりだ」としながら、どちらかというともっと緊張感を持つべきだ、としています。

ちょうど昨日(朝)、ソブジャン(素材部品装備)関連で『自立』がうまくいかなかったという内容をお伝えしたこともあるし、やはり現在のサプライヤー再編、特に半導体部門において、ある程度状況が見えているメディアからは、こういう件が気になるのでしょうか。とはいえ、いまさら戦略物質がどうとか書いてあるのは、認識がおそすぎではないか、な気もします。例の覚書のことも、まだどこも報じていないし、大丈夫かこれ、としか。そんな中、マネートゥデイ(記事1記事2)が、半導体関連の特集シリーズ記事を載せました。同じシリーズですが、『技術力が高い私たちには、米も中もそこまで強い対応はできない』という主張と、『大ピンチであり、メモリー半導体分野では、中国の追い上げを引き離すのは短中期的には難しい』とする主張が共に載っています(URLは別々ですが)。両方、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・グローバル「半導体覇権競争」の時代だ。 米国、日本、台湾、ヨーロッパなど各国が競争を繰り広げている。半導体は昨年、韓国全体の輸出額の約20%になる主力産業だ。韓国が半導体競争力を失った瞬間、国家レベルの危機になるだろう。過去20年間の主力産業だった半導体の現状を診断し、未来ビジョンを模索したい・・・・米国と中国は半導体覇権競争の真っ最中だ。米国は半導体開発のための新素子源泉技術をほとんど確保しており、中国は半導体だけでなく他の産業まで結びついている最大貿易関連国だ。 両国間の対立は期限なく続くと見られ、キムヤンペンKAIST研究員は、政府がその間でバランスをとり、どちらにも偏らない交渉力を見せなければならないと言う。

 

キム研究員は「米国も中国も、韓国が自分の側に立たなければならないと主張している」とし「彼らが韓国半導体企業を揺さぶることがないようにするのが、政府の役割だ」と話した。彼は韓国企業が生産するメモリ半導体が米国と中国だけでなく世界中の産業に全方位的な影響を及ぼすほど、どの国も実際に強く出ることは難しいと見た。圧倒的な技術力が、韓国半導体の代替できない地位を保障してくれるということだ。研究員は「米国の対中国半導体機器の輸出関連措置、中国の半導体サプライチェーン協力強化要求など、現在、われわれを取り巻く状況すべて、企業ではなく政府が調整すべき問題」と説明した(記事1)・・>>

 

<<・・ムンソンチャン(※韓国初のコンピューター関連博士です)KAIST名誉教授は去る14日マネーデーとのインタビューを通じて、国内半導体産業の構造的問題点を指摘した。彼はメモリ半導体技術力に比べ、システム半導体とソフトウェア競争力が大いに足りないと述べた。ムン教授はずっと前から国内半導体産業の構造改善を語ってきた・・・・システム半導体は、国内企業が主導しているメモリ半導体より製造工程が厳しく、人材も多く要求される高付加価値産業だ。 グローバル調査会社世界半導体市場統計機構(WSTS)によると、昨年の分野別市場規模はシステム半導体3456億ドル、メモリ半導体は1344億ドルだ。 CPU(中央処理装置)・GPU(グラフィック処理装置)とファウンドリ(半導体委託生産)などがシステム半導体だ。

ムン教授は、システム半導体競争力を育てるためには、ソフトウェア技術も一緒に育てなければならないと強調した。 核心ソフトウェアであるOS(オペレーティングプログラム)がシステム・メモリ半導体のデータ処理構造を決定するためだ。物理的な半導体製造技術だけでは、グローバル市場で競争優位を持つのは難しいということだ。 彼は「短期、中期的に、中国のメモリ半導体技術開発の追い上げを引き離すのは難しいだろう」と話した(記事2)・・>>

 

他の記事でも、比較的高齢の専門家たちが、危機感を持つべきだと主張しています。ムン教授と同じく、メモリ半導体で中国を引き離すのは難しいという意見は多いですが、まだ主流とは言えません。どちらかというと、キムヤンペン研究員のような意見が、目立ちます。まだ、5日に本ブログでも紹介しましたが、半導体だけではなく全般的に、「中国製品のレベルアップは見ようとせず、物が売れる『市場』としか見ていない」とする主張も出てはいますが、こちらも、とても主流とは言えません。日米台半導体協力についても、朝鮮日報は記事を出していますが、他はこれといってありません。はてさて・・と、繰り返しで恐縮ですが、明日(29日)は更新がありません。前週、レナの撮影スタジオを予約しましたので、明日はレナと過ごすことになりました。明日、通貨スワップ関連で何かあったとき、本エントリーの内容に関係なく、自由にコメントしてください。

 

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