前にもちょっとだけ取り上げたことがありますが、朝鮮半島、南北の間にある「非武装地帯(DMZ)」で地雷が2回爆発、捜索路を開拓していた韓国軍3人が負傷しました。重傷だと伝えられています。停戦協定的にも結構重い案件です。西部戦線のDMZ内、軍事境界線(MDL)から南に約10メートルの韓国側区域で起こったからです。韓国では使用しない爆薬成分が検出されるなど、北朝鮮のものの可能性が高い、とのことです(KBS、28日)。もし北朝鮮の地雷であると最終確定し、それが「意図的に埋設されたもの」であれば(洪水などの原因で流出されたものではない)、明白な停戦協定違反になります。ただ、韓国軍は「埋設なのか流出されたものなのかは分からない」としています。2015年にも同じ事がありましたが、当時はなんと北朝鮮が「遺憾」を表明したりしました。遺憾だけかい、といったところですが、実は北朝鮮が文書または肉声で「遺憾」を表明したのは、1976年8月18日に発生したポプラ事件(韓国では板門店 斧 蛮行事件と言います)とこの件、2回だけだとも言われています。
2015年のときには当日に調査が始まったのに、今回は6日後に調査が始まったことなどで、一部では「北朝鮮の顔色をうかがっているのではないか」という指摘も出ており、「2015年のように、強く対応するよね?ね?」という記事も出ています(朝鮮日報、29日)。さて、李在明大統領としては、本当に望ましくない案件だと言えます。「流出されたものかもー」として永久に曖昧にするのではないか、そんな気もしますが。そして、もう一つの側面として、実はこの件、韓国政府と国連司令部の間の問題も一因ではないのか、という話も出ています(中央日報、29日)。兵士たちがMDLからわずか10メートル余りの地点まで接近したわけですが、その捜索路(パトロール・ルート)は、国連軍司令部と事前に協議していない、とのことでして。
李在明政権は、結構前からDMZ内の作戦権限のことで、国連軍司令部と意見が合わないでいます。基本的には、いままで普通に国連軍司令部が管轄していたことに対しても、「韓国政府が決めるべきだ」とする主張が多くなっています。この一帯の「平和という名の無力化」を試みている左側政権ならではのことです。記事によると、「韓国軍が国連軍司令部と十分な事前協議を行わず捜索路を開いたため事故が起きたのではという指摘も出ている」、とのことでして。軍関係者は「事故地点は、通信がうまくつながらない地域で、GPSの誤差などにより作戦部隊がMDLに接近した可能性もある」と話している、とも。以下、各メディから該当部分だけ<<~>>で引用してみます。
<<・・今回、私たち将兵に負傷したのは、北朝鮮軍の地雷である可能性が非常に高いと合同参謀本部が発表しました。この中間調査の結果が最終的に確認されれば、軍はすべての責任が北朝鮮にあり、相応の措置を講じることを強調しました。昨日(27日)から行われた現場調査。これまでに出てきた結果を総合する時、21日DMZで捜索作戦中に爆発したのは北朝鮮軍地雷が有力だというのが軍の判断です。【クォンデウォン/合同参謀次長】「今回の地雷爆発の原因は北朝鮮軍の地雷である可能性が非常に高いと判断しました」。軍はその根拠として、該当地域に味方の地雷埋設記録がなく、北朝鮮軍が近隣地域に地雷を埋設した痕跡が昨年9月に発見されたことなどをあげました・・・今回の結果が北朝鮮の地雷で最終確定すると、私たちの領土で韓国軍が北朝鮮によって負傷したことになります(KBS)・・>>
<<・・将兵たちが、MDL(軍事境界線)からわずか10メートルの地点まで接近した経緯も、疑問として残る。この捜索路は、国連軍司令部と事前に協議していない経路だったという。政府は、最近、DMZ内の作戦権限をめぐり、国連軍司令部と意見の隔たりがあった。韓国軍が国連軍司令部と十分な事前協議を行わず捜索路を開拓しようとし、事故が起こったのではという指摘も出ている。軍の関係者は、「事故地点は通信がうまく通じない地域で、GPSの誤差により作戦部隊がMDLに接近した可能性がある」と説明した(中央日報)・・>>
<<・・2015年8月4日に発生した北朝鮮の地雷事件の時、韓国軍は猛烈に「私たち作戦兵力を害する目的で敵(北朝鮮軍)が意図的に地雷3発を埋設したことが確実視される」という調査結果を発表した。また、11年間中断していた対北「拡声器」放送を、発表当日から再開した。北朝鮮は当初「韓国の自作劇」と地雷埋設を全面否定したが、当時、政府は北朝鮮側の謝罪と再発防止の約束がなければ、拡声器放送を続けるとした。北朝鮮は結局、挑発3週間後の同月25日、南北共同合意文形式で「地雷爆発で南側軍人が負傷したことに対して残念を表明」した。しかし「対北拡声器放送中断」が李在明大統領の大統領選挙公約だっただけに、政府がこれを対応手段として選択する可能性は高くないという見通しが出ている。
李大統領は就任1週間ぶりの昨年6月11日、対北拡声器放送中断を直接指示し、軍はそれから移動式拡声器はもちろん、設置されていた固定式拡声器まで全て撤去した。李大統領は最近、国連総会の基調演説でも「朝鮮半島平和共存青写真」を提示した。このような対北朝鮮政策基調の根本的変化なしに、拡声器放送を再開することは難しいという話だ(朝鮮日報)・・>> 今日の更新はこれだけです。次の更新は明日(30日)の11時頃になります。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。