国家情報院という機関があります。大統領直属の安保機関で、特に北朝鮮関連で動く事が多く、昔は「安企部」と呼ばれていました。いまでも、韓国のCIAのような立ち位置の組織ですが・・その国家情報院の新規外交官たちに対し、米国側がビザを発給せず、外交官としての身分も認めていない、というニュースがありました。朝鮮日報(6日)などが報じています。米韓の間には、本ブログで取り上げただけでも結構な数の問題があります。特に、5日にもお伝えしたとおり、米中戦略競争特別委員会が「中国と韓国が密着している」という書簡をルビオ長官に送り、書簡の内容を公開するなど、単に国家情報院というよりは政府そのものに対する問題提起が続いています。記事は、この件もまた、単なるビザがどうとかの話ではなく、国家、政府の間の信頼そのものに問題があり、その結果としてこんな問題が生じているのではないかとしています。多分、それが正解でしょう。
記事は、トランプ政権は、すでにイ・ジョンソク国家情報院長を「親中派」と決めつけていると書いています。すでに李在明大統領の対中・対北政策が信頼を失っている中、その大統領直属の安保機関の長など、信用できるはずがないという趣旨です。「米国政府が抱いている韓国(国家情報院)の対北朝鮮・対中認識への不信感も相当なものだ」(情報筋たちの話として)、「米CIAが李院長を親中派と事実上決めつけており、米韓の協力に影響を及ぼしかねないとの声もある」(与党関係者の話として)、などです。引用部分では省略していますが、クーパンなど米国企業への不当な待遇についてもまだまだ問題は現在進行型のようです。5日に紹介した「書簡」にもありましたが、政府の対応がどこの国の企業にも同じならともかく、中国と米国の企業に対してぜんぜん強度が違うから、それはそうもなるでしょう。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・韓国政府がワシントンの駐米韓国大使館に派遣しようとしていた国家情報院(国情院)職員のビザ発給と外交官身分の承認を、米国政府が保留していることが、5日、明らかになった。米国での勤務を終えた国情院所属駐在官の韓国帰任も遅れているという。外交筋からは、米政府や米議会の一部で提起されている「クーパン(Coupang)」をめぐる対立や、国情院出身の外交官による米国内での情報活動などをめぐる韓米間の信頼問題が原因だとの見方が出ている。複数の与党関係者や外交筋によると、韓国政府は最近、国情院所属の職員をワシントン駐在の外交官として派遣しようとしたが、米政府が承認していないという。国情院職員は海外の大使館で公使、参事官、書記官などの外交官の身分で活動する。駐米韓国大使館で勤務してきた国情院の高位駐在官も、韓国への帰任辞令を受けたが、業務引き継ぎなどをめぐる米国側との協議が終わらず、いまだ米国を離れられずにいる、とされる。
ビザ発給が保留された理由が、米国にいた既存の国情院職員の活動によるものなのか、それとも新たに赴任する職員に関連する問題なのか、などは明らかになっていない・・・・国会情報委員会の関係者は「今回派遣しようとしている職員の多くは、国情院で対北工作や情報業務に携わってきた人物だと聞いている」と語った。国情院は中央情報局(CIA)など米国の情報機関と協力関係にあるため、赴任の遅れが長期化すれば、韓米間の情報交流に支障をきたす恐れがある。一部では、今回の事態が韓米情報当局間の問題にとどまらず、韓米政府間の信頼に関わる問題が露呈したものだという懸念も提起されている。
過去にも、韓米間で敏感な懸案が浮上した際、米国が韓国当局者のビザ発給を遅らせたり拒否したりしたという話が外交情報筋たちから聞こえてきたことがある。特に米国のトランプ政権は、自国の外交・安全保障上の利益や政策基調に反すると判断した外国政府の要人に対し、米国ビザの発給を制限したり、発給済みのビザを突然取り消したりしてきた。そのため、韓国国家情報院職員の米国ビザ発給保留も、クーパンをめぐる問題など、両国間の対立が原因である可能性があるとの指摘が出ている。
米国における韓国情報機関の活動をめぐる論争も原因として挙げられる。前政権下で議論を呼んだ問題だが、現在も進行中の事案である。元CIA(米中央情報局)の対北朝鮮分析官であるスミ・テリー氏は、2024年、韓国政府のために活動しながら外国代理人として登録しなかった容疑などで、米連邦検察に起訴された。米検察は起訴状の中で、駐米韓国大使館で外交官の肩書を使用していた国情院職員とテリー氏との接触内容を問題視した。国情院職員に対する米国のビザ発給保留が、駐米国情院要員の米国国内での活動に関連する問題である可能性も排除できないとの見方が出ているのは、こうした背景があるためだ。
韓米情報当局間の信頼に関わる問題も取り沙汰されている。鄭東泳統一部長官が3月、国会で平安北道亀城を北朝鮮のウラン濃縮施設の所在地として言及した後、米国は韓国に提供していた一部の対北朝鮮情報共有を制限した。当時、軍当局は、米側が衛星で収集した北朝鮮の技術関連情報の一部について、共有を制限したことは事実だと認めた。最近、ワシントンでは、李在明政権の対中政策を警戒する声も公然と上がっている。米下院の米中戦略競争特別委員会のジョン・ムーレナー委員長は先月30日、マルコ・ルビオ国務長官に宛てた書簡の中で、韓中間の首脳外交や中国における韓国の半導体投資、米国企業と中国系企業に対する規制の差異などに言及し、韓国の対外基調に「構造的な変化」が生じる可能性を綿密に注視すべきだと主張した(朝鮮日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。