外交委員会を中心に活動し、2016年まで国会議長だった保守右派系の鄭義和(チョンウィファ)氏が、日本に対して「美しい復讐が必要だ」と主張しました。「竹槍歌」で代表される攻撃的なものではなく、韓国が日本を超える国になると、日本は韓国を心から尊敬することになるだろう、という主張です。主に経済力を持ち出しています。
この基準だと、日本だけでなく世界中の国々は、尊敬の基準が経済になります。韓国側がよく使う表現を借りますと、経済的に『格下』の国なら尊敬する必要がない、という意味にもなれます。こんなもののどこが「美しい」のか。後でもう少しツッコむとして、まずはイーデイリーから引用してみます。
<<「韓日関係は無条件で未来志向的に行かなければならない」。ジョンウイファ元国会議長は断固だった。韓日関係は、将来に焦点を合わせなければならないとした。最近、韓日関係は梗塞局面から少し抜け出せずにいる。今回の東京オリンピックを契機に韓日首脳会談開催の可能性が議論されたが、失敗した・・(※ポーランドとドイツのことを述べたあとに)鄭 元議長は、このような戦略を「美しい復讐」と命名した。 「美しい復讐」は、彼の持論だ。過去2015年の国会議長在職当時、日本軍慰安婦被害者お婆さんを招待した席でも「美しい復讐を介しておばあちゃんの恨(ハン)を晴らす」と言及した。
彼の「美しい復讐」は、成熟した復讐のことだ。鄭元議長は「政治・経済・社会・文化などすべての分野で日本を越えなければならない」とし「物質的なものだけ計算してもならない。私たちは、後発走者であるだけに、経済的な分野でも超えるだろう」とした。続いて「これにより、日本が私たちを尊敬して心から感じるようにしなければならない」と付け加えた>>
鄭議長はポーランドとドイツの件を言い出しましたが、これはポーランド側(主教団)がドイツ側に『私たちはあなたたちを赦します。あなたたちも私たちを赦してくださいませんか』と手紙を書いたエピソードです。これと、後から出てくる「(物質的なことだけ見てもならないと言った直後に)経済的にも超えるだろう」と、いったいどんな関係があるのでしょうか。
いまのオリンピックだけ見ても、自分の基準で自分より格下だと決めつけた国々に対し、韓国側は大きな失礼を犯しました。いまは無くなりましたが、前は参加国の紹介にGDPまで字幕で付けていました。
為替レートや国家間の流通関係を無視したPPP(購買力平価)というのがあります。例えば、「米国で売っている商品Aと日本で売っている商品A(同一製品)は、同じ価値を持つ」という基準による各国の購買力評価です。その国の1人GDPで、Aがいくつ買えるのかを調べた数値です。実際には複数の対象を調べます。いわば、マック指数の拡張版みたいなものです。
毎年の自国のデータを比べることには相応の意味があるかもしれませんが、為替レート、国家間・国家内の流通システム、Aを作るための資源の確保、市場の動き(Aが各国で同じ人気を集めているわけではないので、市場で決まる価格も違う)、そしてなにより人件費の影響がちゃんと反映されないので(人件費を上げると同じく価格調整の要因になる)、国家間の比較にはさほど向いていないデータです。個人的な考えですけど。
数年前、韓国がこのPPPで日本を超えた、と大騒ぎになったことがあります。でも、そのあとすぐに、大人しくなりました。なぜなら、台湾が韓国よりPPPで上だと分かったからです。いまでも、この経緯を知らずに偉そうに記事にして、反響無しで流される記事も結構ありますが。
こんなことで騒ぐ国を、日本が尊敬することはありません。日本が韓国を見直すきっかけがもしこれからあるとすれば、韓国が『国家間の約束を守る』国に生まれ変わったときでありましょう。
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