去年12月26日、崔順実(チェ・スンシル)氏のタブレットについて、韓国検察が妙なことを言った、という記事をお伝えしました。過去エントリーはこちらになるので、興味をお持ちの方はこちらもお読みください。チェ・スンシル氏は改名済みですので、「崔氏」にしたいと思います。
簡単に概要だけ綴りますと、朴槿恵大統領の弾劾に決定的な証拠、というか『きっかけ』になったのが、朴大統領の最側近である崔順実氏のタブレットPCです。当時、韓国の総合編成チャンネル「JTBC」が、捨てられているタブレットを発見、それが崔氏のものであり、中には外部に流出されるはずのない文書がいろいろ入っていた、と報じました。いわゆる「崔順実ゲート」事件の始まりです。ですが、そのタブレットは崔氏のものではない、という指摘がずっと存在しました。過去エントリーもそういう趣旨のもので、韓国の保守系ネットメディア「メディアウォッチ」とその関係者たちが、特に力を入れています。
12月26日の記事のあと、他のメディアは一切本件を報じず、それからこれといった続報もなかったので、本ブログとしてもそれからしばらくは様子見でした。シンシアリーはこの件において、まだ確信を得ることができません。しかし、もしあのタブレットが崔氏のものではなかったとしたら、『『『ただでさえいろいろある』』』韓国現代史に、最悪レベルの汚点として残るだろう、とは思っています。そして二日前、15日、案件の「本体」とは言えないものの、やっと動きがありましたので、続報としてエントリーしたいと思います。
2017年、これは第二のタブレット(後でもう一つ見つかっています)に関することですが、その所有者が崔氏だとする証拠として、当時の特別検事チーム(高位公職者の捜査・起訴を担当するために構成されるチーム)のパク・ヨンス検事は、『ロック解除パターンがL字、これはチームが押収した崔氏の他のスマホなどと同じである』と発表しました。2017年当時、ソウル新聞が「タブレットが崔氏のものだと証明する、強力な一発」と報じるなど、韓国のマスコミは、大手の場合ほぼ間違いなくこの件を大きく報道し、タブレットの所有者を崔氏だと決めつける根拠となりました。
ですが、その時のパク検事の発表が、嘘だったことが分かりました。いままで4つのメディアが、当時の記事を「間違いでした」と認め、関連部分の削除、訂正記事を出しました。少なくとも、4つメディアが、当時の「L字」による所有権主張を、間違いだと認めたことになります。そもそも、当時の特検チームは、崔氏のスマホなどを押収したことがないとのことで、「L字」以外にも、「他の機器と比べて」という部分自体が成立しなくなります。この「第二のタブレット」は、最初のタブレットの証拠としての価値に疑問が提起されてから、ものすごく都合よく見つかったもので、当時の特検チームは、入手した経路、入手した人まで詳しく発表しました。
そういう経緯もあって、この「第二のタブレット」は最初のタブレットの証拠としての能力、崔氏のものだとする根拠などを確実にした側面があります。個人的に、第二のタブレットが崔氏のものではないとなると、これは「最初のタブレット」関連でも結構大きな動きであり、もっと騒がれてもいいじゃないかと思いますが・・全然反応もないし、なにより、こんな動きがあることすらも、メディアウォッチを読むまで気が付きませんでした。ニュースなら、ブログ書くためにも結構チェックする方ですけど。ここからはメディアウォッチの記事から引用してみます。
<<2017年、パク・ヨンス特検は、「崔氏の携帯電話を押収したら、そのロックパターンが『L』字だった」というブリーフィングをした。 全国民を相手に嘘をついたのだ。 特検側は、そもそも、崔氏の携帯電話などを押収したこともなく、崔氏はL字パターンを使用したこともない。だが、特検発の偽ニュースは当時JTBCをはじめ、多くのマスコミを通じて全国民に流布された。
崔氏は昨年12月、代理人を通じて事実確認の努力もせず、特検の嘘をそのまま流布したメディアを相手に、内容証明を経て民事訴訟を提起した。対象メディアは連合ニュース、ニューシス、ニュース1、JTBC、MBN、中央日報、京郷新聞、ソウル新聞、国民日報、ノーカットニュース、アジア経済、イデイリーだ。 現在まで、このうちニューシス、ソウル新聞が訂正報道文を掲載した・・>>
他に、国際新聞と韓国経済TVが、当時の報道から、「L字」の部分を削除、訂正報道しました。なにかの低予算ミステリー劇みたいになってきた、崔氏、いや朴槿恵大統領弾劾の件。しかし、次の大統領選挙で誰が当選しても、この件が騒がれることはないでしょう。李在明候補は左派側の人だからともかく、尹錫悦候補もまた、朴槿恵大統領の弾劾の際に検察を指揮していた一人ですから。
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