年2回、ソル(旧暦元日)とチュソク(秋夕、旧暦お盆)になると、各メディアが盛大に取り上げるテーマがあります。賃金未払いです。まず、その規模ですが、2019年9月15日ニューシースの記事によると、「2016年基準で、賃金未払い労働者数32.5万人、1兆4286億ウォン」です。「同年の日本の賃金未払いの労働者は3万5120人、未払い額の規模では127億2138万円」で、記事当時の為替レートにすると、日本の約10倍になる、とも。本ブログも、アメブロ時代から毎年1~2回は取り上げていました。
本件、2019年に1兆7217億ウォンでピークとなり、それから2022年に1兆3472億ウォンまで減少しました。実はこれについても妙な側面がありますが、それは後にして、とりあえず減少しました。しかし、毎年1兆ウォンを軽く超える規模、1000億円を軽く超える賃金未払いが発生しています。今年は、ソウル経済というメディアが記事を載せていますが(29日が秋夕で、いつもよりちょっと早いですね)、去年同期間(1月~7月)に比べて、賃金未払いが27%も増加している、とのことでして。8月の分まで考えると、1~8月比較で30%は増加している、とも。いろいろ理由があるでしょうけど、建設業界関連が大きかった、とのことです。それ以外にも新型コロナ関連政策の縮小、全般的な不景気などがあると見ています。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・13日、雇用労働部によると、今年1~7月の賃金滞納額は9752億ウォンで、前年同期比約27%増加した。先月の滞納額予想値まで合わせれば、去年同期比で30%ほど増えたと推定される・・・・年間推移を見ると、2019年に1兆7217億ウォンから2020年に1兆5830億ウォン、2021年に1兆3505億ウォンに減った。しかし昨年は1兆3472億ウォンで、減少傾向が止まった。パクソンウ労務士は「賃金の滞納額は10年以上1兆ウォンを超えていた」とし、「現場の未申告・未認定金額まで考慮すると、規模は公式統計よりはるかに大きいだろう」と話した・・・・賃金が受け取れなかった人の約70%は、30人未満の事業場で働いていた。ほとんどは賃金をきちんと受け取れなければ、生計そのものを心配するしかない境遇だ。しかも今年は高物価が昨年から続いている(ソウル経済)・・>>
先、賃金未払いが減少してきたと書きましたが、それについてもう少し。まず、賃金未払いは減りましたが、その分、最低賃金がもらえない人が増えました。2022年6月4日の朝鮮日報の記事は、「2017年~2021年までの5年間の未払い賃金が7兆ウォン。同期間の日本の未払い賃金に比べると14倍規模」としながら、「文在寅政権が急速に引き上げたことで、最低賃金が支払えない小規模の商・工業者、中小企業が急増、5年間の未払い賃金が7兆ウォンに達した」としています。記事は法定最低賃金がもらえない勤労者の数も取り上げていますが、確認できる範囲内で2017年に266万人から、2021年には321万人に増加しました。これは、賃金勤労者全体の15.3%になる、と。
『最低賃金が払えない自営業者・会社などが、人を解雇した結果、賃金未払いが減少した』、その予備軍として最低賃金がもらえない人も増えた・・のではないか、そんな見方もできます。個人的な推論ではありますが。他に、2020年からの「賃金未払い減少」には、政府が出した「お金を借りやすく」「返済延長」など新型コロナ対策の影響もあるのではないでしょうか。それが縮小・終了となり、減少傾向が止まった、と。最後に、こちらはオーマイニュースですが、外国人労働者の賃金未払いは、確認できたのは「5年7ヶ月間で6148億ウォン」だった、とのことです。「実質的G8」「心理的G8」の、今日この頃です。
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