ELS(Equity Linked Security)というものがあります。様々な金融商品が出ていますが、ポピュラーな形のものを簡単に説明しますと、「株価連携証券」というその名前の通りです。3年満期のELSを買ったとします。その3年の間、決まった時点にチェックして(たとえば3ヶ月に1回チェック、など)、株価指数(日経株価指数など)が決まった数値より上にあると、収益が発生して、満期まで持たずにそこで終了です。その「決まった時点」で収益が発生すると早期終了になるので、レースゲームで言うと「チェックポイント」まで行けば、わざわざゴールまで走らなくてもいいわけです。繰り返しになりますが、商品によりますけど。
こういうところが、人気の理由でもあります。ですが、3年満期まで1回も早期終了の条件を満たさなかった場合、言い換えれば「連携対象の株価指数が低調だった」場合、投資者は損をすることになります。一般的に、リスクがすごく高い、ハイリスク・ハイリターンの商品とされますが、韓国ではこのELSが大人気で、2~3年前にもELS商品で多くのマイナスが出て、社会問題のようになったこともあります。証券社(一般的に第2金融圏)だけでなく、ほとんどの銀行(第1金融圏)も取り扱っています。今回、またそのELS関連記事が増えました。
来年上半期に満期が来る、「香港ハンセン指数連携」ELSが、大変なことになっているからです。なにせ、指数が12000から6000まで下がりましたから。該当するハンセン指数連携ELSだけでも、投資額は1兆6000億ウォン。来年上半期に8000億ウォンの満期が来ます。各メディアが「コレ、ヤバイ」と記事を連発し、ついに政府が「全数調査」に乗り出しました。いままで、ユン政権は金融機関を圧迫してきました。高金利が問題だとするニュースが増えると銀行側に「庶民の味方になれ」といい、家計債務が大幅に増えたとニュースが増えると「銀行だけが得をしている」な趣旨を言ったりしました。アジア経済など複数のメディアによると、今回は、『銀行(及び証券社)が、ちゃんと元金損失の可能性があると説明してから販売したのか』を全数調査するというのです。いわば、これは銀行に問題がある、とするスタンスです。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・銀行や証券会社などが関連商品を販売する際、損失の可能性、ハンセン指数の変動性などを十分に説明したかどうかを集中的にチェックする予定だ。26日金融当局と金融圏によると、金融監督院は20日から香港ハンセン指数を基礎資産(収益率基準指標)とする株価連携証券(ELS)をここ数年間売ってきた銀行と証券会社を対象に、事実上全数調査に着手した。販売規模の大きいKB国民銀行では金監院銀行検査1局の現場調査が続いている。今回の出張調査は来月1日まで行われる予定だ。ハナ・新韓・ウリ・NH農協など主要販売銀行についても書面調査方針を定めた状態だ。証券会社の中でも最大の販売会社である未来アセット証券とKB証券など5~6ヶ所が調査対象に含まれた・・
・・金融当局が調査に入ったのは、香港ハンセン指数連携ELS加入者の損失が来年から現実に現れる可能性が大きいためだ。香港証券取引所上場優良中国国営企業で構成されたハンセン指数は2021年初め1万~1万2000に達したが、現在40~50%に過ぎない6000まで下がっている。現在の中国景気を見ると、反騰も容易ではない状況だ。来年から損失が続々と確定すれば、結局「不完全販売(※ちゃんと説明せずに販売する、など)」かどうかが重要になるとみられる。
ELSは専門家も構造を理解しにくく、元金が保障されない高リスク商品であるにもかかわらず、単に「市中金利+α」を期待できる預金商品であると認識する投資家が少なくない。数兆ウォン台が販売されただけに「元金損失の危険を正しく告知されなかった」という趣旨の苦情と紛争が急増するものと懸念される。金融当局も調査段階から不完全販売可能性を念頭に、関連資料と情況を把握している。銀行券は予想しなかったハンセン指数による大規模ELS損失に慌てながらも、不完全販売などとは関係ないことを強調している(アジア経済)・・>>
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