ジョン・ムーレナー (John Richard Moolenaar)「米中戦略競争特別委員会」委員長(共和党)が、マルコ・ルビオ長官に「中韓の密着は米国にとって大きなリスクになる」という書簡を送り、ニュースになっています。韓国ではマネートゥデイ(4日)が結構長い記事を載せています。議員は、米韓同盟は必要だとしながらも、韓国と中国の関係が「構造的に」変化しているとしながら、中韓関係が密着(強化)されていると指摘しています。中国にある韓国企業の半導体工場から、台湾問題においての韓国の役割、米国企業の不当な待遇など、かなり多くの案件が出てきます。「台湾で問題が起こったからって、それが私たちと何の関係があるのか」とする李在明大統領の発言まで出てきます(笑)。記事そのものが書簡のまとめでしょうけど、ある意味、記事内容全体が現在の米韓関係の「まとめ」のような感じです。さらに各案件ごとに該当部分だけ、以下、<<~>>で引用してみます。例のクーパン問題においても、「似たような問題で中国企業に対してはどうしたのか」などが書かれています。
<<・・米連邦下院の「米中戦略競争特別委員会」のジョン・ムーレナー委員長が、マルコ・ルビオ国務長官に書簡を送り、「中国に対する韓国の経済・技術・外交分野での姿勢の変化が、米国に重大なリスクをもたらしている」と懸念を表明した。さらに、韓米間の摩擦が長期的には韓国の戦略的立ち位置・連携のあり方などに「構造的変化(structural shift)」をもたらす可能性にまで言及した。同特別委員会が先月30日に公開した書簡によると、ムレナー議員は韓中首脳の交流深化、中国国内における韓国半導体企業の生産施設、韓国国内の米国企業に対する不当な規制の疑いなどに触れ、「重要な国益に関わる同盟国間の見解の相違は、軽視すべき問題ではない」と述べた・・・・同議員は、ルビオ長官が今年6月に議会で「韓国の選出された指導者たちが、米国の国益に反する立場をとっている」と発言したことに触れ、「こうした評価を裏付ける懸念事項について詳細を説明し、変化する韓中関係に適切に対応するために協力したい」と、書簡を送った趣旨を説明した・・
・・ムーレナー議員は、ここ9ヶ月間で韓中首脳級の交流が、近年では異例なほどの速さで進められたと指摘した。中国の習近平国家主席が2025年11月に11年ぶりとなる韓国訪問を行い、その2ヶ月後の今年1月には李在明大統領が中国を国賓訪問したことに言及した。また、李大統領が2026年を韓中関係の「全面的な復元の年」と位置づけ、両国関係の発展を「不可逆的な流れ」と表現したことや、両国が貿易・科学技術・デジタル・知的財産権・検疫などの分野で14件の覚書(MOU)を締結した事実も挙げた。さらに、韓中の協力関係が輸出管理やサプライチェーンの問題にまで拡大している点も問題視した。同氏は、両国間の輸出管理やサプライチェーンに関する意思疎通の枠組みが、同盟国間での輸出管理の連携とは別に機能する「並行構造(parallel architecture)」を形成する可能性があり、それによって中国が同盟国の政策議論に関する情報を把握できるようになる恐れがあると主張した。
半導体分野では、サムスン電子の中国・西安にあるNAND型フラッシュメモリ工場や、SKハイニックスの無錫DRAM工場および大連NAND生産施設を具体的に挙げた。これらの施設が、中国共産党にとって同盟国のグローバル・サプライチェーンに影響力を行使するための手段になり得るという主張である。韓国のプラットフォーム規制も主要な争点として取り上げられた。ムーレナー議員は、韓国のプラットフォーム政策が実質的に米国企業には負担を強いる一方で、中国のプラットフォーム企業には韓国の消費者データや市場シェアの獲得を許すものになっていると主張した。
同氏は、AliExpress(アリエクスプレス)とTemu(テム)の韓国における月間アクティブユーザー数が今年第1~3月期に合計約1650万人に達したと指摘した上で、韓国当局がこれらプラットフォームによる個人情報の海外移転、不公正な契約条項、セキュリティの脆弱性、有害商品の問題などへの対応において、比較的遅れをとっていたと批判した。特に、韓国公正取引委員会による改正電子商取引関連の施行令が7月21日に発効したものの、一定の基準を満たす海外プラットフォームに対する国内代理人の指定義務については12ヶ月の猶予期間が設けられた点に言及した。これを、米国企業に対する「即時かつ反復的な法執行」とは対照的な事例として挙げた。
また、ムーレナー議員は、2025年10月にAliExpressのOTP(ワンタイムパスワード)セキュリティの脆弱性を突いたハッキングにより、韓国の中小販売業者の精算金約600万ドルが奪取されたことにも触れた。同氏は「プラットフォーム側が侵害の事実を4ヶ月間隠蔽していたにもかかわらず、韓国の規制当局は施設の家宅捜索を行わず、罰金も科さなかった」と主張した。さらに、AliExpressやTemuなどの中国系プラットフォームで販売された子供向け製品から、基準値を大幅に超える鉛やカドミウムなどの有害物質が検出された際、韓国当局が法的拘束力のある規制ではなく、自主協定の締結にとどめた点も問題視した。
その一方で、米国企業であるCoupang(クーパン)のデータ関連インシデントについては、金融情報やパスワードの侵害はなく、外部へのデータ流出もなかった「低感度データ・インシデント」であったと定義しつつ、「11もの韓国規制機関が攻撃的かつ多角的な調査に乗り出した」と主張した。さらに、400回を超える施設への家宅捜索や4400件以上の資料提出要求が行われ、最終的に計4億900万ドルの制裁金が科されたことに言及し、これを中国系プラットフォームへの対応と比較した。
今年2月に西海の防空識別圏で発生した米中軍用機関連の事案も例に挙げた。当時、事前通報や連携の問題をめぐって韓米間で公然と摩擦が生じ、韓国国内では中国の行動よりも在韓米軍の作戦を批判する声が上がったと主張した・・・・台湾問題に関しては、「台湾海峡で何が起きようと、それが我々に何の関係があるのか」という同大統領の過去の発言を引用した。ムーレナー議員はこれを根拠に、中国の攻撃によって引き起こされる台湾有事の際、ソウル(韓国政府)が域内での対応を支援する可能性は「事実上排除された」と評価した。
韓米間の情報共有の問題も、別途懸念事項として提起された。ムーレナー議員は、鄭東泳統一部長官が今年3月、米国の機密情報を承認なしに公開したという報道に言及した。その結果、米国の情報機関は新たな情報セキュリティ措置を導入せざるを得なくなり、そこには韓国に対する一部の北朝鮮関連情報の共有を制限する措置も含まれていたと主張した。さらに、同大統領がこうした米側のセキュリティ措置を公然と批判した点も問題視した(マネートゥデイ)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。