家計債務関連の記事は星の数ほどありますが、珍しく「ちゃんと返そうとする人」の話が書かれていたので、ちょっと読んでみました。これが珍しいと感じられる時点ですでに・・な気もしますが。中央日報、24日です。欧米などでは「物価上昇が問題で、収入に関するデータが意味をなさない」(実際は賃金が上がってGDPも上がっているのに現場の人たちの暮らしはよくならない)という話をよく耳にします。韓国の場合は、もうずいぶん前から、物価というよりは「家計債務の返済」が、収入の意味をなくす要因でした。政府のやり方は基本的に徳政令もどきのもので、ほとんどの記事で取り上げているのは「こんなやり方でいいのか」「ちゃんと真面目に返している人たちは何なのか」というものでした。今回の記事もそんなものです。一緒に引用してみます。
あと、引用しているデータが「脆弱借主」に限ってのものなのでちょっと説明しますと、3カ所以上の金融機関から借り入れがある「多重債務者」のうち、所得が下位30%以内、あるいは信用スコアが664点以下の人のことです。韓国では多重債務者を「3社以上の金融機関から金を借りた人」とします(定義が日本とは異なり、日本では決まった基準はありません)。これが450万人と言われていて、こちらがいつも話題になります。脆弱借主は「自営業者の中に40万人はいる」とされていますが、全体で何人いるのかはちゃんとした統計が無く、「100万人は超えるんじゃね」と言われています。それ以外の記事の中心内容は、「資産価値下落と金利引き上げが同時に来るのではないか」というものです。さて、<<~>>で引用してみます。かなり長いので、高齢層の話だけに絞りました。
<<・・「死ぬ前に借金を返してからでないと」。21日午前、ソウル中区にある「庶民金融統合支援センター」で会った60代後半のAさんは、この日3度目となる債務返済の猶予を申請し、うなだれた。2016年に開業した飲食店は、売上不振に加え、家賃や人件費の負担が重なり、月々の赤字が1000万ウォンに達することもあった。銀行の信用貸付やクレジットカード、貯蓄銀行からの融資で8年近く持ちこたえたが、店を畳んだ後に残ったのは5000万ウォンの借金だった。現在、学校の警備員として得ている月収140万~150万ウォンのうち、100万ウォン以上を借金の返済に充てている。返済の猶予を求めながらも、彼は「最後まで借金を返す」と語った。センターの待合席は、相談を待つ人々で埋め尽くされていた。その大半が、白髪混じりの髪をした中高年層だった。
高齢層の借金は、その規模においても増加のスピードにおいても、他の世代を上回っている。韓国銀行が国会の財政経済企画委員会に提出した家計負債データベース(DB)によると、今年第2四半期末時点で、60歳以上の「脆弱な借り手(返済能力が低い債務者)」における1人当たりの平均借入残高は9787万ウォンに上り、50代(8280万ウォン)や40代(8188万ウォン)を上回った。60歳以上の脆弱な借り手のうち25.8%は、1年間に返済すべき元利金が年収と同額、あるいはそれ以上であった・・
・・退職を控えた「第2次ベビーブーム世代」(1964~74年生まれ)は、約950万人に達する。未来アセット投資・年金センター(2023年)の調査によると、こうした会社員の78.8%が子供や親を扶養している一方で、39%は引退後に頼れる賃貸収入、年金、利子、配当といった所得を持っていなかった。扶養義務が続く中で給与収入が途絶えれば、真っ先に借金の返済に充てる資金が削られることになる。引退後の生計を立てるために自営業に乗り出した高齢層の借金は、さらに急速に膨らんだ。60歳以上の自営業者による金融負債は、2015年末の96兆ウォンから、今年第1四半期末には405兆7000億ウォンへと4倍以上に増加した。このうち167兆5000億ウォンは、相互金融や貯蓄銀行など、一般の銀行よりも金利が高い「非銀行圏」からの借り入れである。
ソウル大学経済学部のアン・ドンヒョン教授は、「高齢層の負債増加は、高齢者人口そのものの増加と、自営業の不振が重なった結果とみられる」とし、「引退後も生計のために事業を継続したり、新たに起業したりする高齢者が増えており、債務負担がさらに重くなる恐れがある」と指摘した・・・・ハンソン大学経済学科のキム・サンボン教授は、「60歳以上の場合、退職後に所得が減ることで銀行からの融資が受けにくくなるという構造的な問題がある」とし、「高金利の融資に頼れば頼るほど元利金の負担が重くなり、金融面での脆弱性が深刻化しかねない」と述べた。 A氏も銀行の信用貸付から始まり、貯蓄銀行(※第二金融圏、ノンバンクの一つ)のローンにまで手を出した。
彼は「いくら返しても借金は減らなかった」とし、「商売を畳む決断をもっと早く下していれば、こんなことにはならなかったはずだ。今になってみると後悔ばかりだ」と語った。信用回復委員会(信復委)の債務調整によって利息の負担は軽減されたものの、減ってしまった所得で元金を返済していくのは依然として厳しい。同じ日にセンターを訪れた別の60代男性は、20年近く返済できずにいた銀行の借金に延滞利息が加わり、利息が元金を上回る額になってしまったと話した。生活保護費で暮らしながら、月に2~3回ほど建設現場で働いている彼は、この日、改めて債務調整を申請した。
このように借金で何とか持ちこたえてきたものの、最終的に返済しきれなくなった高齢層は、裁判所や信用回復委員会の門を叩くことになる・・(※青年層の問題、投資失敗が多くなっているなどの話のあとに)・・さらに懸念されるのは、金利引き上げによる衝撃が、まだ十分に反映されていないという点だ。韓国銀行が先月22日に発表した「金融安定状況」報告書によると、政策金利の引き上げは、銀行の貸出金利には約5ヶ月後、全借入者の延滞率には約15ヶ月後、そして脆弱借主の延滞率には約9ヶ月後のタイムラグを経て、最も大きな影響を及ぼす。7月と8月の2度の利上げを考慮すると、来年前半には、脆弱な借入者にかかる延滞の圧力がさらに強まる可能性がある。今月は金利が据え置かれたものの、11月には追加利上げの可能性も取り沙汰されており、負担はさらに重くなる見通しだ。
韓国銀行は、政策金利が0.25%ポイント引き上げられた場合、家計の利息負担は3兆3000億ウォン、企業の利息負担は3兆7000億ウォン増加すると分析した。現代経済研究院のチュ・ウォン経済研究室長は、「金利上昇により利息負担が増大する中、内需の不振も続いており、来年も厳しい状況が続くものとみられる」とし、「不動産や株式など資産価格の下落まで重なれば、これまで健全だった借り手であっても、脆弱な借り手に転落する可能性がある」と述べた(中央日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。