今回の戒厳事態の中心には、ユン大統領ともう一人、キム・ヨンヒョン国防部長官(防衛相)がいます。一部の記事には、今回の措置は「彼が提案した」という内容もあります。今回の事態の責任問題で、すでに辞任しました。野党側の国会議員が「辞任したあとに、済州島に行き、そこから(ビザが必要ない)日本に逃避しようとしていた」と主張したりしましたが、本人は認めていません。そのキム・ヨンヒョン長官が辞任したので当然と言えば当然ですが、ヘラルド経済(今日)、ニュース1(4日)などによると、オースティン米国国防長官、中谷元日本防衛大臣の訪韓がキャンセルされました。昨日もお伝えしましたが、韓国では今回の措置が外交に及ぼす影響を気にしており、特に米国との安保協力関連の記事が目立っています。
米国国務省の場合、この件について「誤判」と話しました。これは米国が同盟国の首脳について使う単語にしてはかなり異例です。また、「市民たちがそう言っている」という間接的な表現ではありますが、「違法的なものだった」とも話しました。YTN(5日)などが報じています。これもまた、他国のことについてここまで言うのは珍しいことだ、とも。トランプ政権の登場が近いし、韓国では政権交代(後退?)の可能性がさらに高くなった今。「それでも(左側にくらべると)保守派はまだマシ」としていた日米は、今回の事態をどう見るのか。スタンスをどう変えていくのでしょうか。少なくとも米国側は、「今のままで大丈夫」とは思っていないようです。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・カート・キャンベル米国国務省副長官は、ユン大統領の非常戒厳宣言に対し、重大な誤判であったと評価した。キャンベル副長官はアスペン戦略フォーラムが主催した対談で、韓国状況に対する質問に、韓国には戒厳法の経験に対する記憶が強く残っており、今回の事態がかなり響いたと述べた。キャンベル副長官は今後数カ月間、韓国は挑戦に直面するだろうと考えており、私たちの目標は同盟が堅固であることを明らかにすることだと述べた。一国のハイレベルな外交当局者が、同盟国首脳の決定に対して「誤判」という表現を用いたのは、非常に異例のことだ。
また、米国が事前に戒厳宣布を把握できなかったことについての質問に、「私が言うことができる一つのことは、(韓国)外交部、企画財政部、大統領室などの韓国政府内の私たちの対話相手が、ほぼすべて(戒厳宣布に)驚いているということ」と答えた。続いて「人々が(※街に)出てきて、これは違法な(illegitimate)過程であると明らかにする準備ができているという」とし「私たちはこの流れにある程度の安堵と確信を得るべきだと思う」と話した。「違法」という表現がキャンベル副長官の見解ではないが、間接的な話法で戒厳令をどう見ているのかその認識を表したものだと思われる(YTN)・・>>
<<・・ロイド・オースティン米国国防部長官が、近いうちに日本を訪問しながらも、韓国には訪れないことにした。オースティン長官は当初、韓国訪問も一緒に推進していたことが分かったが、今回は訪問しないことにした。韓国での戒厳事態、及びそれによるキムヨンヒョン前国防部長官の辞任などで、対北抑止力強化に重要な米韓間の安保協議に問題が起きつつある。ライダー国防部スポークスマンは5日(現地時間)のブリーフィングで、オースティン長官が7日、カリフォルニア州で開催されるレーガン国防フォーラムで基調演説をした後、日本を訪問する予定だと明らかにした。ライダースポークスマンは「オースティン長官の13番目インド・太平洋訪問であるこの日程は、域内で米国の同盟・パートナーシップを強化し、平和、安保、繁栄に対する共同のビジョンを進展させるための国防部の努力の中でなされること」と説明した・・
・・これに先立ち、オースティン長官は来週から日本と韓国を相次いで訪問し、日米韓国防長官会談を開催する案を調整中だと、日本の共同通信が報道したことがある。しかしこの日、海外訪問発表で韓国は含まれなかった。米国防総省の関係者は、オースティン長官の訪問日程と関連し、連合ニュースの書面質問に、「今回、オースティン長官が韓国に訪問する計画はない」と答えた。これと関連して、匿名の米国政府当局者は、ロイター通信に、オースティン長官が近い時期に韓国を訪問する計画を立てていたが、今は適切な時期ではないという判断したと述べた。
「適切な時期ではない」というのは、結局は3日の非常戒厳事態と、それに伴う韓国国会のユン大統領弾劾発議、オースティン長官の対話相手であるキム・ヨンヒョン韓国国防部長官の辞任などに関連するものと見られる。これに先立ち4~5日、ワシントンDCで開かれる予定だった第4次韓米核協議グループ(NCG)会議と第1次NCG途上練習(TTX)も戒厳事態の余波の中で無期限延期された。ライダースポークスマンは今後NCG日程を聞く言葉に「まだアップデートで提供する予定はない」とし「韓国でのイベントを考慮するとき、これ(一定延期)は慎重な措置だと見られる」と明らかにした(ヘラルド経済)・・>>
<<・・中谷元日本防衛相が訪韓を延期した。共同通信は4日匿名の情報筋を引用し、防衛相が今月末に予定されていた韓国訪問を延期することにしたと報道した。先に中谷元防衛相は先月ラオスで開かれた第11回ASEAN拡大国防長官会議でキム・ヨンヒョン国防部長官と会って年内訪韓することに合意していた。金長官が前日行われた「非常戒厳」事態で辞任を表明し、中谷元防衛相も訪韓を延期したものと見られる。非常戒厳はキム・ヨンヒョン長官がユン大統領に提案したと確認された(ニュース1)・・>>
本エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年5月2日)<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・準新刊(2023年12月21日)、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・既刊として、<韓国人として生まれ、日本人として生きる>(2023年7月29日)も発売中です。2023年、まさに心願成就、帰化できました。その際の、自分なりの持論に関する本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。