韓国のシンクタンクの人が、とても率直な意見を出したの、紹介します。韓国に「日米韓協力」というと、それは元徴用工や慰安婦など、いわゆる過去史問題で日本が譲歩することを意味します。それがないと日韓協力は出来ないから、当然ではないか、そんな認識です。しかし、韓国のシンクタンク「アサン政策研究所」のチェ・ウンミ研究委員は、「米国は過去史問題で日韓に改善しろとは言っているけど、実際に介入はできない。米国の立場からして日米韓協力とは対北問題しかない」と指摘します。また、世宗研究所のチン・チャンス所長は、「日本も韓国も協議を続けると言っているが、日本と韓国が協議できる事案はもう無い」と指摘しました。これこそ日本からすると「当然」ですが、韓国でこんな意見をはっきり出すのは珍しいことです。
また、チン所長は日韓関係において、「パジャン(罷場)」という言葉を引用しています。市場など人が多く集まって賑わった場が、もう終わる頃になって、人もいなくなってしまうという意味です。久しぶりに「ニューストマト」から部分引用します。ニューストマトは、個人ブログみたいな名前ですが、ケーブルテレビ局まで持っているメディア企業です。
<<・・(※日韓関係はうまくいかないでいる、という内容の後に)しかし、韓日の内部からも関係改善の声は着実に提起されてきた。政府は、韓米間の対北朝鮮政策調整のためにも、韓日関係改善のために前向きな立場を明らかにしてきた。このため、過去史と経済・文化の問題を分離して対応してきた。日本の汚染水問題の場合、過去史のような韓日両国の懸案ではなく、普遍的海洋環境保護の問題として見ているのが代表的である。
G7外相会談でも、両国間の対立を深める日本軍慰安婦、強制徴用、汚染水放流問題のような事案では、関係改善が難しいという点が改めて確認できた。各事案について鋭い意見を見せているので、早期解決を期待するのは難しい。チョ・ジング慶南大学極東問題研究所教授は、ニューストマトとの通話で、「韓日外交長官が続けて対話を模索するとしたのは幸いだが、実際に各論に入ると、意見の相違があって簡単には合意できない」と話した。韓日首脳がそれぞれ年末と来年初めに任期が終わり、選挙を控えているので、どのような妥協も難しいだろう、とも予想した。
専門家は、このような理由から、韓日両国が協力できる事案から会話に出なければならないと注文した。特に、対北朝鮮政策のように、米国の利益と関連している懸案の場合、韓日両国が対話を通じて少しずつ協力の道を進むべきであるという指摘だ。
アサン政策研究院研究委員は、「基本的に、米国が強制徴用や慰安婦問題を改善するように声を出しているが、直接関与することは無いだろう」とし「このような状況で韓日が協力できる分野というのは、結局、両国で実質的に問題となっている過去史分野ではなく、米国の利益とも直接関連している北朝鮮問題しかない」と述べた。
ただし、事案別に分離した対応も実質的に容易ではないという意見もある。チン・チャンス世宗研究所日本研究センター長は、「日本国内の雰囲気は、韓国とはもう協議しないという、パジャン(罷場)の雰囲気」と「競技すると言ってはいるけど、実質的に協力できることはもう無い」と述べた>>
記事の、シンクタンクではなく記者が書いた部分ですが、「過去史と経済・文化の問題を分離して対応してきた。日本の汚染水問題の場合、過去史のような韓日両国の懸案ではなく、普遍的海洋環境保護の問題として見ている」を読んで、私は慰安婦問題とそっくりだな、としか思えませんでした。慰安婦問題も韓国は「日韓両国の問題ではなく、普遍的人権の問題だ」と主張していますから。だから両国の公式合意でも解決できない、というスタンスです。強盗が凶器で被害者を脅しながら「これは世の中の不平等を解決するための人類普遍的な問題だから告訴では警察を呼んでも解決できない」と言っているようなものです。
そんなふうにするから、ツートラック(過去史とそれ以外の分離対応)だろうとなんだろうと意味がなく、結局は「もう両国で話すことは無い。パジャンだよパジャン」と言われるわけでして。
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