相星孝一大使、尹錫悦氏の『未来志向』に対し『基本条約(国交正常化)』を強調

昨日(一つ前のエントリー)お伝えした『未来志向的に押し通せばいい』など尹錫悦当選人の発言に対し、相星孝一大使は「いろいろ協力していく」としながらも、「国交正常化以来の友好協力関係の基盤に基づき」というフレーズを再び使用し、迂回的ではありますが「基本条約が両国関係の基本である」ことを強調したことが分かりました。

このフレーズ、まったく同じものを岸田総理も用いたことがあります。3月11日、岸田総理と尹錫悦当選人が電話会談を行いました。その際、NHKなどの報道によると、岸田総理は「1965年の国交正常化以来築いてきた日韓の友好協力関係を基盤としながら、日韓関係を発展させていく必要があり、ぜひ、ユン次期大統領のリーダーシップに期待する。日韓関係改善のためにともに協力していきたい」と話しました。電話会談の前日にも、総理は同じことを記者たちに話したそうです。

電話会談のとき、尹当選人のスポークスマン側は、なぜかこの部分を発表しませんでした。「ユン当選人は韓日両国が北東アジアの安全保障と経済繁栄など力を集めなければならない未来の課題が多いだけに、協力しようと呼びかけた」、「また両国の懸案を合理的かつ相互共同利益に合わせる形で解決し、就任後、韓・米・日3国が朝鮮半島の共助をさらに強化していくことを期待すると明らかにした」だけでした。しかし、3月11日の過去エントリーでも指摘しましたが、当時、韓国側のメディアはほとんどがスポークスマンからの発表を記事にしたので、韓国側のメディアに岸田総理の「国交正常化からの関係を基盤にした」は載っていませんでした。

 

そして、昨日、尹当選人が相星駐韓日本大使に話した「『両国』が努力すべきことが多い」、「未来志向的に押し通せばうまくいく」などの発言に対し、相星大使がまた同じフレーズを使いました。松野博一官房長官が、質問に答える形で明らかにしました。以下、各紙、<<~>>が引用部分です。まず時事通信(日本語記事)によると、<<・・松野氏によると相星大使は会談で、北朝鮮対応をはじめとする日米韓3カ国の連携の重要性を指摘。同時に「国交正常化以来の友好協力関係の基盤に基づき日韓関係を発展させる必要がある。次期大統領のリーダーシップに期待する」と伝達した>>、となっています。

今回は松野博一官房長官が話しただけに、今回は韓国側のメディアにもちゃんと載っています。でも、残念ですが、基本条約の重要さをアピールしたという側面にふれる記事はありませんでした。ここはMBCからの引用です。 <<日本政府のスポークスマンである松野博一官房長官は、定例記者会見で、相星駐韓日本大使の尹当選人礼訪に関する質問に、「国交正常化以後の友好・協力関係をもとに韓日関係を発展させる必要があり、 ユン当選者のリーダーシップに期待する」とし、「相星大使はユン当選人にこういう日本側の考えを伝えた」と話しました。続いて松野官房長官は「これから日韓対面首脳会談を開催する考えがあるか」という趣旨の質問には、「具体的に決定されたことはないが、ユン当選人を含め、新しい政府と緊密にコミュニケーションしていく考え」と伝えました・・>>

 

もう1つ「少しは安心」な事案として、時事通信などが「尹当選人は、日本の譲歩を促したのだ」とちゃんと報じている点です。先の記事を見つける過程で偶然読んだものですが、時事通信(先のとは別記事です)は、「尹氏は日韓関係について『両国は、安保や経済繁栄などさまざまな協力課題を共有したパートナーだ』と指摘し、未来志向で臨む考えを示した。一方で、文在寅政権で続いた対立局面の打開に向けては『正しい歴史に基づく関係構築が必要だ』と主張。『共に知恵を出し合おう』と語り、日本側の譲歩を促した」としています。

尹政府が具体的に何をどうするのか、それがなにも見えていない時点で、必要以上に多くのことを考えても仕方がないとは思います。でも、率直に言って、『現状』だと、あまり期待は出来ません。こんな時点で、日韓議員連盟の幹事長が『日韓合意の履行』、大使が(迂回的ではありますが)『基本条約』を話したこと、『国家間の約束』というフレーズが相次いで出てくること、そして、記事にもよりますが未来志向という言葉に迷わされず、『日本側の譲歩を促したものだ』とするちゃんとした書き方をしていること。これらは、少しは安心していいものでありましょう。かくいう私こそ気にし過ぎかもしれませんが。

 

 

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