韓国、年間物価上昇率5.1%・・来年から電気料金などの大幅な引上げ

日本でも物価上昇率が話題になっていますが、韓国では5.1%も上がり、24年ぶりの上昇率となりました。金利引上げが家計・企業債務に与える影響を知っていながら、2022年だけで基準金利を6回も上げて、それでも5.1%ですから、困ったものです。しかし、これでも世界的に見ると低いほうですから、さらに困ったものです。ニュース1など各紙によると、もっとも物価が上がったのは1998年(いわゆるIMF期)で、7.5%でした。ちなみに、李明博(イミョンバク)政権のとき、物価が上がり過ぎで、物価関連統計基準そのものをいろいろ変えたことがあります。基本的にはその基準がまだ使われているので、そんな部分も疑問ではありますが・・心証だけです。以下、<<~>>が引用部分となります。

<<・・今年の消費者物価上昇率が5.1%を記録し、24年ぶりに最も上がった。統計庁が30日に発表した12月及び年間消費者物価動向によると、今年の消費者物価指数は107.71で、1年前より5.1%上昇した。7.5%の高い上昇率を見せたIMF期(1998年)以後24年ぶりに最大値だ。品目別に見ると、今年の商品部門の場合、電気料が12.9%、都市ガスが15.8%上がり、電気・ガス・水道全体が12.6%と、急な上昇率を見せた・・

 

・・オウンソン統計庁経済動向統計審議官は、「石油類など工業製品と個人サービス、電気・ガス・水道が高い上昇を見せ、物価上昇率は5.1%だった」とし「前年比2.6ポイント拡大したもので、1998年7.5%上がってから、最も高い上昇率だ」と説明した。物価の基調的な流れを示す農産物及び石油類を除外した指数、根源物価は、1年前より4.1%上昇した。 2008年4.3%を記録した後、14年ぶりに最大上昇率だ。体感指標である生活物価指数も同じ期間6.0%上がった。1998年の11.1%以降、24年ぶりに最も高い上昇幅だ。新鮮食品指数も5.4%上昇した。年間基準での物価上昇率は、2016年に1.0%、2017年は1.9%、2018年1.5%、2019年0.4%、2020年に0.5%と0~1%台と比較的低かったが、2021年2.5%と大きく上昇した(ニュース1)・・>>

来年のかなりの物価上昇が予想されますが、やはり気になるのは、電気料金です。ヨーロッパでは電気料金が上がり過ぎで、ガソリン車のほうが安く済むとまで言われている昨今。尹政権も来年から段階的に電気料金の大幅な値上げが予告しており、来年の物価に与える影響が注目されています。特に「韓国電力公社」が30兆ウォン赤字というとんでもない状態になっていて、もう引上げは避けられない状態です。公社は、唯一の電力会社です(発電部門は6社の子会社に分割となりましたが、配電部門においてはいまだ1社体制です)。しかも、変動費反映市場(Cost Based Pool、CBP)で運用されているため、電気市場において、価格競争は存在しません。

 

公社は、家計にも企業にも、売れば売るほど赤字になる価格で電気を売ってきました。これは、大きな経済政策でもありました。2020年当時のデータで、韓国の産業用電気の価格は、OECD平均の約88%、MWhあたり94.3ドル(日本161.9ドル)です。家庭用は103.9ドル(OECD平均の60%、日本255.2ドル)。しかし、その結果、今年は年間赤字30兆ウォンというとんでもない事態となりました。

赤字をなんとかするため、公社は政府保証付きの社債を発行してきましたが、赤字が増えた分、債券の発行も増え、今年だけで70兆ウォン分にはなる、と言われています。最近、ただでさえ債券を買う人が減って、資金調達が難しくなっていた他の企業からすると、これは大きな問題です。公社以外の社債が売れなくなってしまうからです。これが、いわゆる「韓電債(ハンジョンチェ)問題」で、経済関連記事でよく出てきます。ハンジョンチェは資本金+積立金の2倍までしか発行できないため、来年にはどうするんだという話もありましたが、やっと「6倍まで可能」と法を改正しました。でも、これだと他の企業に与える影響もあり、このまま続けるわけにはいきません。実際、電気料金を引き上げるしかありません。ノーカットニュースなどによると、政府は「2026年まで赤字を無くす」という目標のもと、電気料金引上げを公言していますが・・わずか3年でなんとかなる問題でしょうか。

 

<<・・急な消費者物価上昇傾向要因の一つである電気料など公共料金の引き上げが、来年はもちろん、その後も相当期間持続する見通しだ。政府は21日に発表した「2023年経済政策方向」で、「韓電とガス公社の累積赤字および未収金を、2026年まで解消できるよう、料金を段階的に現実化する」と明らかにした。現在、関連省庁が来年1~3月期の電気・ガス料金の引き上げ幅をめぐって、協議を進めているが、そんな中、政府が持続的な料金の引き上げ方針を明らかにしたのだ。

来年1~3月期の電気・ガス料金の引き上げをめぐる関連省庁協議の結果は、今月末には発表される予定だ。産業通商資源部と韓電は、来年の電気料金の場合、1キロワット(kWh)当たり51.6ウォンの引き上げ要因があるという立場だ。しかし、これは今年の引き上げ分19.3ウォンの3倍近いものであり、政府としては急激な電気料金の引き上げが物価に及ぼす影響を懸念せざるをえない・・・・それでも、バンギソン次官は「今後2026年度には赤字が解消できるほどの水準に、料金を引き上げる」と強調した。今年・来年にも、相当幅の電気料金上昇は既定事実となり、中央銀行も2023年物価不安要因として電気料金を指摘した(ノーカットニュース)・・>>

 

一気に重なるものですね。ヨンクル問題などで、ただでさえ消費がままならない状態になっていますが。さて、上げるしかないと公言したことは評価できますが、どうでしょうか。世論に「いままでは安すぎた」を理解させることができるのかどうか。 で、本ブログ、予定より早いですが今年はこれで更新終了となります。今年もいろいろありましたが、本当にありがとうございました。来年もまた、よろしくお願い致します。それでは、皆様、まだちょっとだけ早いですが、良いお年を迎えてください。更新再開は1月3日になります!(・∀・)ノ

 

 

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