早すぎる少子高齢化・・韓国、国民年金制度スタートから僅か23年で加入者が減少傾向に

韓国の国民年金は、金大中政権のときにスタートしました。その前には何もなかったのかというと、そうではありません。ただ、加入対象も限られ、加入も義務ではありませんでした。1999年になるまでは、韓国に国民年金があること自体を知らない人も結構いました。それまでは、親の老後は子(特に長男)がなんとかするものだという社会認識が強く、政府はそれを利用し、福祉関連の制度を整備しませんでした。その分、経済発展メインで運用できたという側面もあります。

国民年金加入が義務化されてからも、「あ、これ、義務じゃない」と勘違いする人が多く、また、経済的な理由などで意図的に加入しない人も多く、実際に年金制度が動き出したのは、2000年代になってからです。そう考えてみると、『事実上』ということにはなりますが、韓国の国民年金制度が始まったのはこれから23年前、見方によっては約20年前といことになりますが・・ソウル新聞(2024年1月4日2023年9月3日)の記事によると、2023年、早くも加入者が減少ペースに入りました。いままでも一時的に減少したことはありますが、今回は少子化の影響によるもので、本格的に減少が始まった、一時的なものではない、と専門家たちは話しています。

 

似たような問題は世界各国で起きていると思われますが、これはちょっと早すぎないか、とされています。<<~>>で引用してみます(※同紙は前からこの問題を取り上げており、引用部分は上記の二つの記事を繋げています)。 <<・・全体の国民年金加入者数は昨年9月末基準で2225万411人で、2022年末より24万7408人減ったことが分かった。年末の統計がまだ出ていないが、生産人口の減少などの影響で、昨年を起点に加入者が初めて減少傾向になったと見られる。高齢人口が増え、受給者数(昨年9月末基準)は671万6970人で、最多となった。2022年の年末(664万2643人)、2021年末(607万124人)と比較すると、2年間で60万人近く増えた。専門家は、加入者数が今年から減少傾向に大勢転換すると予想する・・

・・国民年金公団国民年金研究院が6月に発刊した「国民年金中期財政展望(2023~2027)」報告書は、国民年金加入者が昨年を高点に今年は2227万4653人まで1%近く減ると見通した。減少傾向は毎年続き、2027年には2163万6401人で、昨年末比で86万人減るというのが研究院の予想だ。国民年金保険料を納付する加入者が減少または停滞している間も、年金を受ける受給者は急増した・・・・報告書は受給者が2024年に700万人台、2026年に800万人台に上がった後、2027年には905万人に達すると予想している(ソウル新聞)・・>>

 

以下、既出ですがいくつかの関連データをまとめてみますと、韓国の年金受領額は月82万8000ウォンです(韓国経済研究院2021年11月発表、「デイリアン」の記事)。同じ調査方式で、日本は約164万4000ウォンだった、とも。公的年金の場合、月平均受給額は、個人世帯66万9000ウォン、夫婦世帯で118万7000ウォン(日本は個人135万3000ウォン、夫婦226万8000ウォン)。私的年金の月平均受給額の場合、個人世帯15万9000ウォン、夫婦世帯19万7000ウォンで(日本は個人29万1000ウォン、夫婦45万8000ウォン)でした。

また、55~79歳人口1548万1000人のうち、なにかの年金を受領している人の割合は50.3%(778万3000人)でした。こちらは韓国経済TV(2023年7月25日)のデータで、「加入」ではなく「受領」です。韓国の場合、国民年金は63歳から受領します(68歳からの案が検討されています)。記事時点では最新データとなる統計庁「2023年5月の経済活動人口調査(高齢層付加調査)」によるもので、国民年金、基礎年金、公務員年金、私学年金、軍人年金など公的年金をはじめ、個人年金まで含めたものである、と。最近、青年層の間では「国民年金加入しない方法」についてのノウハウなどが話題になっていると聞きます。

 

 

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