2024年10~12月期、TSMCのファウンドリー半導体シェアが67.1%を記録しました。前年同期比で5.9%p増加した数値です。同期間、サムスン電子のシェアは11.3%から8.1%に下がりました。データはすべてソース記事のオーマイニュース(19日)によりますが、これは2019年(19.1%)に比べて、約半分になった数値です。なんで2019年かといいますと、当時、イジェヨン会長が「2030年までシステム半導体で世界1位を達成する」という、いわゆるシステム半導体ビジョン2030を発表しました。それから約5年で、シェアが半分になったわけです。ソース記事はこのことで、「『TSMCが世界中の需要を満たすことができないなら、サムスン電子にもチャンスがある』という見解が出ているが、そうではない。それでもTSMCの製品を待つことを選ぶだろう」としています。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・前は、台湾だけで最先端の工場を運営していたTSMCだが、米中半導体対立が始まって以来、海外にも積極的な投資をしています。日本に子会社であるJASMを作り、最初のファブ(※熊本TSMC第1工場)はすでに完成し、昨年は2番目のファブの工事を始めました。米国には2020年からアリゾナに3つのファブを建設しており、今月初めには米国に今後4年間で1000億ドルを追加投資すると発表しました。アリゾナの最初のファブはすでに台湾のTSMCレベルの収率を達成したという報道もありました。一部では、ファウンドリメーカーの中でTSMCとサムスン電子以外は、IT企業が求める7ナノ以下の先端プロセス技術を持っているところはないので、TSMCがあふれる需要にすべて応じることができる余裕がなければ、2位の企業であるサムスン電子にもチャンスがあるのではないかと期待しています・・
・・しかし、実際はそうではありません。最先端プロセスが必要なファブレスメーカーは、TSMCの生産量が増えるのを待つことにするでしょう。同じ設計を任せても、TSMCから出てきた製品が収率と品質で優れていることを、すでに経験したからです。ファウンドリは半導体設計のみ専門のファブレス会社から設計図を受けて、チップを代わりに作ってくれる事業です。そのため、ファブレスメーカーとの関係が何よりも重要です。 TSMCがジョイントベンチャーを構成しようと提案したという会社がすべてファブレス会社である理由がそこにあります。NVIDIAはAIアクセラレーター市場で代替のない存在であり、クアルコムはサムスン電子のギャラクシーS25にも使用する高度な通信用チップの強者です。
ブロードコムは有無線通信用半導体を主に生産する会社であり、最近ではオンデマンドAI加速器市場でも注目を集めています。AMDはCPU部門ではIntelと、AIアクセラレータ部門ではNVIDIAと競合する会社です。 4社ともTSMCに生産を委ねています。トレンドフォースが2024年に発表したファブレス会社ランキングを見ると、NVIDIAが33%で1位、クアルコムが18%で2位、ブロードコムが17%で3位、AMDが14%で4位です。上位4社の市場シェアを合計すると、82%に達します・・
・・今でも、TSMCは、顧客の注文を処理するための工場が不足している状況です。TSMCがIntelのファブを利用するならば、世界中のファブレスメーカーの「TSMC一極集中」はさらに大きくなるしかありません・・・・このような状況でサムスン電子はどんな対応をしているのでしょうか? ・・・・複数メディアの報道を総合すれば、高帯域幅メモリ(HBM)で押されたサムスン電子が、メモリ部門の競争力強化のためにファウンドリ人材をメモリ半導体側に転換配置する計画だそうです。 「工程および設備エンジニアなど技術チーム中心に移動が進むと聞いている」(ファイナンシャルニュース)と、サムスン電子内部関係者の言葉です。
サムスン電子の昨年の総施設投資額は、今までで最大規模を記録したが、半導体を担当するDS部門の投資は2023年比で2兆ウォン程度減少したという報道もあります。今年も投資を減らすと見込まれるそうです。平沢のファブは、ファウンドリの代わりにメモリ半導体ラインに切り替えており、テキサスに建てているファウンドリファブは完工時点を延ばしました。最近話題になったニュースは、サムスン電子がファウンドリ事業部の職員に「ファウンドリ」とハングルで表記すると(※韓国語表記だとパウンドリになります)、「ファ」の発音ではなく「パ」の発音で聞こえる可能性があるので、英文のまま「foundry」で統一しようという内容のメールを送った、ということです。
時間がそのまま競争力だとしながら、自社職員を対象に政府・与党に週52時間制限の例外を求めているサムスン電子なのに、その内部で行われていることにしては、暇そうに見えます・・・・67.1%の市場シェアを持っていてもなお、ファウンドリ産業地形を揺るがす提案をしているTSMC、一桁シェアになってから、ファウンドリ部門の投資と人員を減らすサムスン電子。一方では未来を設計していますが、もう一方は現在で精一杯にも見えます・・・・サムスン電子が今よりももっと大きな絵を描く会社になることを願っています(オーマイニュース)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。