ええと、まず。ちょっとハードウェア的なトラブルがあって、更新も遅くなりましたし、苦戦しています。ただでさえ誤字とか多いのに、なれないデバイスでやっているので特に不思議体験な更新になると思われますが、ご容赦ください。さて、いままで「韓国では株高で、借金で投資する人たちが急に増えている」という話を何度もしましたが、それが妙な形に「飛び火」しています。別に株に投資すること自体はどうでもいいし、下がっても長期ホールドしていれば上がることもあるでしょうけど、問題はこれが二つの銘柄(しかも同じ業種、サムスン電子とSKハイニックス)に集中しているので分散投資ができていないこと、そして、長短期投資が多いので追証などによる強制ロスカット(韓国ではよく反対売買と言います)が相次いでいることです。多い日は、1日に140億円(ウォンじゃなく円)規模のロスカットが行われているとのことで、しかもこれは証券会社から発表される数値で、銀行・ノンバンクなどから借りた分はさらに多い、個人回生(個人再生)も急増している、そんなところです。
そこで、韓国政府と金融当局が、明らかに「緊縮」政策を始めました。韓国銀行(韓国の中央銀行)は金利を上げるとしていますし、年末までに3%になるという話もあります。すでに住宅担保ローンの金利がかなり上がっているという話も聞きますが、変動で借りた人たち、大丈夫でしょうか。また、一部の銀行が住宅担保ローンの上限額(いくら信用が高くても、この上限は超えられない)を制限すると公言しています。たとえば、大手の国民銀行の場合、3億ウォンまでに制限するそうです。このような話が出るなんて、いったいどれだけ借りてるんだよ・・な気もします。韓経ビジネス(韓国経済紙のビジネス部門)などが報じています。で、気になるのは、韓国の場合、表向きの失業率はすごく良好ですが(日本と比べるとパッとしませんが、そもそも日本は失業率がものすごく低い国ですので)、実は雇用が減っていて、特に若い人たち中心に「雇用ショック」と報じられています。6月16日、7月6日などに本ブログでも取り上げております。
そんな状況で、金利を上げるのか?というのがちょっと。あくまで教科書的な観点ではありますが、「雇用が悪化しているなら、景気を冷やす利上げではなく、むしろ利下げをして経済を下支えすべき」というのが基本ですし。で、なぜ韓国銀行が「利上げ」の可能性をちらつかせ、銀行が先回りして貸出を締め上げているのか。ここには、韓国メディアがよく使う単語として「ジレンマ」が詰まっています。
まず、その1。 雇用の「二極化」:半導体の一人勝ちと、内需の冷え込み。これ、韓国の経済について話すときにはもはやテンプレですね。メディアが「雇用ショック」と報じている通り、直近(2026年5月など)のデータでは就業者数が減少に転じるなど、労働市場はかなり傷んでいます。特に若年層の就職難や、自動車・建設業といった「人を多く雇う業界」での雇用消失が深刻です。しかしその一方で、半導体などのIT輸出だけは歴史的な大好況を迎えています。中央銀行側からすると、「GDP成長率の見通し自体は、半導体の輸出好調によって2.6%へと上方修正されているじゃんかよ」なところでして。しかし、半導体は雇用誘発効果が小さい(製造業全体の4%程度)し、思ったほどの経済的な波及効果もありません。
その2。「家計債務(借金)」が「俺のイカリは爆発寸前」(スピルバン)です。中央銀行が何よりも恐れているのが、「家計貸出(ローンなど借金)の暴増」です。現在、住宅価格の上昇や、株・暗号資産への「借金投資(ビットゥ)」が止まらず、個人の借金総額が限界に達しつつあります。ここで雇用を心配して金利を据え置き、または下げたりすると、さらに借金バブルが膨らみ、いずれバブルが弾けた時に韓国経済そのものに金融危機の可能性が高くなるわけでして。そのため、「雇用より、まずは借金のブレーキを最優先で踏まざるを得ない」という状況です。
他に、これは韓国だけの問題でもありませんが、普通に物価高(食料品物価がOECD2位だとか言われています)もありますね。この場合は別に金利上げは仕方ない気もしますが、もし思ったほどの影響がなかったらスタグフレーションの可能性もあるでしょう。ま、「輸出主導の回復と内需・雇用の乖離」「家計債務の抑制優先」といったところです。それでは、<<~>>がソース記事の訳です。今回は「銀行」の話ですが、実際に問題が大きくなるのは、ノンバンク領域がどう動くのか、によるでしょうね。
<<・・速報、銀行からお金を借りられなくなるのか」、「貸出シャットダウン」の恐怖が拡散(※題)。家計貸出の総量管理のために、銀行が一斉に貸出のハードルを上げたことで、銀行圏全般に「シャットダウン」への懸念が広がっている様子だ。12日、金融圏によると、KB国民・新韓・ハナ・ウリ・NH農協の5大市中銀行の、政策性貸出を除いた家計貸出残高は計648兆3607億ウォンと集計された。昨年末に比べて3兆3846億ウォン増えた。今年の5大銀行の家計貸出増加額の目標値が4兆3300億ウォンであることを勘案すると、約80%に到達したことになる。特に、貸出の門戸がさらに狭くなる前に資金を確保しておこうとする需要まで重なり、今月に入ってからだけで5大銀行の家計貸出は約1兆ウォン増加した。
一部の銀行はすでに目標値を超過達成しており、既存の貸出の償還(返済)などによって余力が確保される範囲内でのみ、新規貸出の取り扱いが可能な状況だ。住宅価格の上昇傾向や株式市場の活況などにより、家計貸出の増加傾向は持続している。去る9日の時点で、5大銀行の全体の家計貸出残高は775兆9769億ウォンと集計された。先月末の774兆9608億ウォンから、7営業日だけで1兆162億ウォン増加した。家計貸出の増加を牽引したのは信用貸出(カードローンやマイナス口座などの無担保融資)だ。先月末に比べて7815億ウォン増加した。
株式市場の活況に伴う「ビッツ(借金して投資)」需要に、住宅担保貸出(住宅ローン)の限度縮小によって不足した資金を信用貸出で補おうとする資金需要が重なった影響とみられる。住宅担保貸出の残高も615兆3425億ウォンで、前月末に比べて1968億ウォン増加した。住宅担保貸出の場合、通常は住宅の売買契約から2〜3ヶ月のタイムラグを経て貸出が実行されるため、最近の増加傾向には5〜6月に契約した住宅取引の影響が反映されたものと解釈される。先月も、銀行圏全体の家計貸出が約2年ぶりで最も大きな幅で増加したことが分かった。韓国銀行の「2026年6月金融市場動向」によると、先月の銀行の家計貸出残高は1189兆4000億ウォンで、前月比7兆6000億ウォン増加した。これは、家計貸出が爆発的に増加した2024年8月(9兆2000億ウォン)以来、1年10ヶ月ぶりで最も大きい増加幅だ。
当面の間、家計貸出の増加傾向は持続する見通しだ。最近、銀行圏による家計貸出の引き締めが本格化している中、貸出金利まで上がっているため、事前に資金を確保しておこうとする需要が殺到する可能性があるからだ・・・・下半期に進むにつれて銀行の家計貸出管理への圧力が高まり、貸出限度の縮小や金利引き上げ、貸出受付の制限といった追加措置が相次ぐ可能性があるとの予想が提起されている(韓国経済ビジネス)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。