もう何度も説明が出ていますが、韓国にはコシウォン(考試院)というものがあります。もともとは国家試験(韓国では考試といいます)などを準備、勉強する受験生たちが勉強に集中するために「引きこもる」ための施設でした。3畳にもならないほどの狭い部屋で、当然「住居」施設ではないので、相応の施設、たとえば身体を洗う、簡易なものでも炊事ができる、そんなスペースはありません(共用のものがあったりします)。でも、最近は「事実上の住居施設」になっています。家賃が安いため、学生だけでなく求職者や単身の労働者など、低所得層の一人暮らし用の「住宅」として広く利用されているわけです。ベッドと机があるのみで、机(勉強するためのもの)は設置が義務付けられています。
もともとそういう施設ですから。こういうのを多重生活施設と分類します。多数の人が居住・生活する形態の施設を指す法的な名称です・・が、住宅ではないので住宅問題にはノーカウントだったりします。で、この前、8月10日に住宅関連問題を、13日には「廃棄されたバスを青年用の住宅に改造すればいいじゃないか」とした与党国会議員の発言を取り上げました。その際、「実は重要な問題だと思っていない」「なぜ韓国の、特に青年たちの住居が『問題』になっているのか、分かってすらもいない」という趣旨を書きましたが・・実は今回、韓国政府が「コシウォンに湯船を置いてもいい」という法改正を進めていました。これで「事実上の」住居環境が改善され、青年たちも大喜びだろう、とでも思っていたのでしょう。でも、換気はおろか窓も無い場合が多い、しかも狭い部屋に、湯船を置くと、その部屋にどうなるのか。
「机を設置しなくても良い」という改正も含まれていたそうですが、それならもう住宅にカウントしてもいいじゃないのか、そんなツッコミが集中しました。結局、亜州経済(23日)によると、政府はこの案を取り消すことにしたそうです。なんというか、そもそも「狭い部屋」を知らないのではないか・・だからこんな法を「住居環境改善」と言えるのではないか、そんな気もします。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・政府がコシウォンの個別部屋への浴槽設置を許可しようとしていた案を再検討することにした。狭く劣悪な居住空間に浴槽を設置するのは現実とかけ離れた規制緩和だという批判が高まったため、一歩後退した形だ。23日、政府によると国土交通部は去る12日、コシウォンの部屋内への浴槽設置を許可し、机などの学習施設の設置義務を廃止する内容の「多重生活施設建築基準」改正案を行政予告(※パブリック・コメントのような制度)した。現行基準上、多重利用業様のうちコシウォンは学習施設を備えなければならず、各部屋に浴槽を設置することはできない。
2015年以降、コシウォン内への浴槽設置は禁止されてきた。国土交通部は最近、コシウォンが単なる学習・宿泊施設を超えて一人暮らし世帯の居住空間として活用される事例が増えた点を考慮し、規制緩和を推進した。
火災などの安全と直接関連のない規制は現実に合わせて見直すという趣旨だった。今回の改正案は、中小企業の規制改善の要望を反映して用意された。改正案は、多重利用業様安全管理基準上、コシウォンの各部屋に設置できない施設から浴槽を削除し、自炊施設のみを禁止対象として残す内容を盛り込んだ。また、部屋ごとに学習者が勉強できる机などの学習施設を設置しなければならないという基準も削除した。しかし、行政予告後に批判が相次いだ。
コシウォンの部屋は概して面積が狭く、換気や防音、衛生条件が脆弱なケースが多いため、浴槽設置が実質的な居住環境の改善につながりにくいという指摘だ。特に、浴槽設置が保証金や月々の家賃値上げの口実として悪用されかねないという懸念も出た。利用者からは、浴槽よりも自炊施設、換気、防音、消防安全基準の改善が優先されるべきだとの指摘が上がった。批判が高まると、国土交通部は行政予告の過程で寄せられた意見を反映し、該当規定を再検討することにした。国土交通部は「行政予告の過程で多様な意見が提出されたため、該当規定を再検討する」とし、「今後も政策推進の過程で各界各層の多様な意見を反映し、国民が体感できる規制緩和を実施していく」と明らかにした。一方、若者や一人暮らし世帯の住宅難を解決するには、施設の一部を許可する方式よりも、最低居住基準、安全、家賃負担を総合的に考慮した対策が必要だという指摘が出ている(亜州経済)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。