いまもそうですが、特に文在寅政権の頃。韓国は日本に対して(というか、対日政策の名分として世界に発信していたとも言えますが)三権分立という言葉を強調していました。本ブログだけでなく、日本側では「三権文立」などの言葉が流行ったりもしました。いつだったか、「北斗三権は無敵だ」という皮肉もブログだったか原稿だったか・・に書いた記憶があります。その三権分立がいまどうなっているのか。簡単に言いますと、現 李在明大統領が大統領になる前の裁判結果(部分的に有罪ありでした)もあってか、「政権」が裁判所(司法)を正面から攻撃しています。毎日経済(8日)によると、「法歪曲の罪」が始まってから、判事(裁判業務以外は除外)5人の1人が告発されている、とのことでして。朝鮮日報(12日)が簡略にまとめているので、合わせて紹介します。ちなみに法歪曲の罪、裁判訴願、最高裁裁判官の増員の3つは、李大統領が「司法改革」として出したものです。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・曺喜大 大法院長(※最高裁判所長官)が「法院の日(※裁判所の日)」記念式典で「憲法上独立した国家機関である裁判所が、他の国家機関や政治勢力、社会勢力から不当な干渉や影響を受けないようにしてこそ、国民の自由と権利を保障し、法治主義を実現できる」・・・・「どのような困難の中でも憲法上の使命を揺るぎなく遂行することこそが、司法部に課せられた変わらない責務である」と語った。これまで大法院長は記念辞で「裁判の独立保障」の原則を頻繁に言及してきたが、「他の国家機関や政治権力の不当な干渉」について直説的に言及したことはほとんどなかった。過去の大法院長の記念辞としては見出すことが難しいほど、強度の高い言及である。
司法権の独立が確立している国であれば、大法院長がわざわざこのようなことを言う必要はないだろう。民主主義国家においては当然のことだからだ。当たり前の原則が守られていないからこそ、大法院長が権威主義時代にしかあり得ないような訴えを国民に向けて行ったのである。記念辞の内容そのものが、韓国の民主主義の深刻な後退を物語っている。李在明政権発足以降、司法部に対する政治的攻撃は、大法院長が言及した「不当な干渉や影響」というレベルにとどまらなかった。裁判所の理念的構図を変えようと最高裁判事を2倍に増やし、「法歪曲罪」を創設して裁判を刑事処罰の対象にした。さらに裁判所願制(※確定判決に対して憲法訴願が可能になる制度)を導入し、最高裁判所の最高裁判所たる地位をも崩壊させた。政治権力が立法権を乱用し、他の憲法機関を無残に痛めつけたのである・・
・・李大統領は最高裁判事候補の提請(指名推薦)まで差し戻し、大法院長の憲法上の権限を公然と侵害した。これは、李大統領の選挙法違反裁判において最高裁判所が有罪趣旨で破棄(差し戻し)したことに対する報復と見なさざるを得ない。大統領個人の問題によって、三権分立という民主主義の根幹に火をつけたのだ。曺 大法院長は記念辞で「裁判所は国民の基本権を守る最後の砦」とし、「裁判所は司法権をただ国民のために正しく行使する」と述べた。大法院長の当たり前の言葉が、当たり前に聞こえない。司法部の独立が深刻に脅かされているという証左である(朝鮮日報)・・>>
<<・・今年3月に施行された「法歪曲罪(刑法改正案)」は、我が国社会を奇妙な方向へ変えつつある。7月24日時点で、判事529名が告発された。全体判事(3,251名)の16%を超える数字だ。裁判業務を行っていない者を除き、先月までに追加で提起されたケースを考慮すると、現場の判事5人に1人が告発された計算になる。共に民主党は今年2月、法歪曲罪と裁判所願(憲法裁判所法改正案)、最高裁判事の増員(裁判所組織法改正案)を掲げた「司法改革3法」を通過させた。国民生活に影響を及ぼす重大な法案であるにもかかわらず、社会的な合意もないまま強行した。裁判所願制は、在任中に5つの裁判が停止している李在明大統領のための「防弾用」ではないかという疑惑を招いた。最高裁判事の増員は、現政権が相当数の最高裁判事を任命することになるという点から、最高裁判所の掌握をめぐる論争を拡大させた。
その中でも法歪曲죄の弊害は最も即効的だ。この法律は、裁判官・検事および捜査業務の従事者が意図的に裁判や捜査の結果に影響を与えた場合、10年以下の懲役に処することとしている。意図的な歪曲の概念が曖昧なため、担当判事に巧みに容疑をかぶせることができる。法の執行における厳正性が攻撃を受け、判事は刑事裁判の業務を忌避するようになる。その被害は、司法サービスの享受者である国民に跳ね返ってくる。ついには司法部が対応マニュアルまで準備する事態に至った(毎日経済)・・>>
もうちょい書きますと、ここで言う「判事を2倍(増員)にする」というのは、最高裁判所裁判官(大法官)人数を14名から26名へ大幅に引き上げました。一気に増員することで、現与党である共に民主党、および李在明政権の任期中に新設される12枠を含めた大半の最高裁判事(計22名程度)を、現政権側が任命できるようになります。「言うこと聞いてくれる」味方(?)が増えるわけです。
野党側、及び裁判所・司法側はこれに対して、「滞っている裁判処理を速くするため」という表向きの理由ではなく、「政権や与党に親和的・リベラル寄りの判事(理念的に近い人物)を大量に送り込み、最高裁判所の判決の傾向を自陣営に都合よく変えるため」、すなわち最高裁の掌握のための措置である・・としています。ちなみにグーグルのAI「ジェミニ」によると、このような手法は、アメリカなどで裁判所の構成を自陣営に有利に変えるために定員を増やす手法になぞらえて「Court-packing(コート・パッキング/裁判所詰め込み)」とも呼ばれ、裁判所の政治的中立性や三権分立を揺るがす行為として批判の対象となる、とのことです・・・・と、そんなところですが、今日の更新はこれだけです(急に無関係な話へ)。旅行ではなく、珍しく別の用事でちょっと失礼させていただきます。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。