米韓関係が~という内容が続いていますが、なんというか、「案件」が多すぎる気がします。ただでさえ積もったものが多い(と見える)のに、前の案件が何の進展も無いまま次の案件が始まって、また曖昧なまま次の案件が・・といったところです。まず、戦時作戦統制権関連で、米当局と李在明大統領の間で「直接的な」衝突が起こっています。大統領や国防部長官が「できるかぎり早く」「いま協議中」などと話しましたが、米国側は「米韓が合意したのは、相応の条件が満たされたときに戦時作戦統制権を韓国側に渡すというものだった」とし、既存の見解から何も変わっていない、ほしければ条件を満たせ、という趣旨を話しました。引用はしませんが、28日、京郷新聞などが報じています。
この前も「駐韓米国大使が韓国軍の『役割拡大』について話した」という内容を紹介しましたが、そういうのも、大使クラスがそこまでストレートに、しかも自ら言うことはありませんでした。今回も、大統領が話したことに「そうじゃない」という反論が出るなど、なんというか、溝が深まりつつあるという表現がぴったりです。もともと溝ならありましたけど。で、その駐韓米国大使ですが、これまた本ブログで取り上げたこともある「米司令官が『国連司令部からすると、韓国は軍事境界線の鉄条網の南側』と発言したこと」について、韓国政府は駐韓米国大使を呼んで抗議しました。こちらも引用はしませんが、27日中央日報などが報じています。
ウクライナは「韓国の憲法だと、北側も韓国の領土だから」という理由で北朝鮮兵士たちを韓国に送還しましたが、その件ではここまで激しく拒否反応を示している韓国政府。なんで「国連司令部からすると」という前提での発言をここまで大きくするのか、よく分かりません。李在明大統領としては、「とりあえず、関連したことは何も言うな」と言いたいのでしょうか。そんな中、今度は国防部長官が「北朝鮮との有事の際、米軍を信じることができるのか」と話して、また問題になっています。本ブログで何度か取り上げた「自主派」の主張を明らかに表すものだと言えます。どういう展開かというと、国会で国防部長官に対する質疑がありましたが、そこで、野党国会議員が「米軍でもイラン問題でもここまで苦戦しているのに、(戦時作戦統制権の移譲などが行われたときに)本当に大丈夫なのか」と質問しました。
これは「米軍『でも』苦戦しているのに、戦時作戦統制権を韓国軍に渡しても大丈夫なのか」という趣旨の質問で、野党ということもあって「戦時作戦統制権関連の案件はもう少し待ったほうがいいのではないか」という趣旨でした。しかし、そこで国防部長官が、「じゃ、そんな(苦戦している)米軍を、北朝鮮との有事の際に、あなたは信じることが出来ますか?」と話しました。これが問題になっているわけです。東亜日報(28日)などが報じています。言うまでもなく野党からは「同盟を揺さぶる気か」としているし、与党・政府側は「質問に対して反問しただけだ」としていますが・・
・・ま、こういう発言は米国側にもすでに伝わっているでしょう。繰り返しになりますが、様々な案件が「重なっている」そして「繋がっている」としか思えません。はてさて、外交高得点(世論調査でなぜかそうなっていました)の李在明政権、どういう「実用」を発揮するのか、気になるところです。以下、<<~>>が引用部分です。
<<・・姜信哲 国防部長官による26日の発言、「北朝鮮との有事の際、米軍を信頼できるのか」という発言の影響が広がっている。カン(※姜)長官は「(野党)議員が『米国はイランとの戦争で苦戦している』と指摘したことに対し、問い返しただけだ」と釈明したが、「国民の力」をはじめとする野党側は「同盟関係を揺るがす妄言だ」として、同長官の更迭を求めた。一方、「共に民主党」の一部からは、米国が戦時作戦統制権(戦作権)の移管に反対するなら、韓国側が独自に移管を宣言すべきだとの声が上がる中、鄭東泳 統一部長官は「条件ではなく、時期を定めて戦作権を移管すべきだ」と主張した。カン長官は27日、前日の「米軍を信頼できるのか」という発言について、「ある議員(『国民の力』の成一鍾議員)が、米国はイランとの戦争で非常に苦戦していると指摘されたため、それに対して問い返したのだ」と説明した。
カン長官は26日、国会国防委員会の国防部に対する総合国政監査の席で、成議員が「世界最強国である米国でさえイランとの戦争で苦戦している」と述べ、戦作権の移管には慎重を期すべきだと主張したのに対し、「では、北朝鮮と戦争が起きた場合、米軍を信頼できるのか」と反論し、物議を醸した。国防部のチョン・ビンナ報道官は27日、「米国とイランの戦争を評価する議員の論理に従えば、北朝鮮との戦争が起きた際にも米軍を信頼できないということになるが、実際はそうではない、という趣旨だ」と補足した。
在韓米軍は同日、「韓国政府高官の発言について、公にコメントすることはない」との立場を明らかにした。ただし、在韓米軍筋は「ザビアー・ブランソン在韓米軍司令官が、現政権の任期内における戦時作戦統制権(戦作権)の移管に対して異論を示したことに対し、カン長官が不快感を抱いているのではないか、という解釈も出ている」と伝えた。これに先立ち、李在明大統領は19日の記者懇談会で、戦作権について「他国に委ねておいて、いざ戦争となった時に、もし彼らが指揮を執らなかったらどうするのか」と述べていた(東亜日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。