内容的にはこれといって目新しいものではありませんが、『表現』がなかなか的確なコラムがありましたので、紹介します。「韓国では『どれだけ悔しいのか』で人の価値が決まり、政治家はその恨みを晴らすためのシャーマンになってしまった」、というのです。また、政治家たちも『私は弱者です』と主張するけど、その手には鉄槌を持っている、とも。「ペンアンドマイク」というネットメディアの、コラムニスト ナ・ヨンジュン氏のコラムです。
この手の話を引用するときにはいつも同じ注釈を付けていますが、本文ではこの問題が『左派』の問題だとしていますが、私からすると『韓国』という国家そのものの問題でしかありません。本文の「左派」を「韓国」に変えてみると、もっと妥当な文章になるかもしれません。
<<「被害意識の政治勢力化」は、韓国の左派が支持を獲得するための普遍的方式である。左派は歴史的悲劇や事件・事故を題材にし、大衆に被害意識を人為的に注入し、自分たちがその代弁者を自認することにより、自己を支持する大衆に自分たちが『道徳的集団に属している』というアイデンティティを付与する。そして政治的反対派を悪に規定する。
このため、「象徴資産」を積極的に動員する。親日、5.18光州民主化運動、日本軍慰安婦、盧武鉉、セウォル号、MeTooなどが、代表的な「象徴資産」だ。しかし、象徴資産を動員した被害意識の政治勢力化が、たとえ自分たちの運動を展開するには効果的かもしれないものの、国家経営の優先順位を占めてはいけないのだ。
国家権力がそれに便乗した場合、記念事業支援を乱発し、政治は「祭祀」となる。悔しさの程度に応じて人の価値が評価され、それぞれ「ハンプリ(※恨を晴らすこと)」や補償を要求し、政治家たちは、彼らを代弁するとして巫堂(シャーマン)の役をする。今日の韓国の政治の現実が、まさにそうだ。
国家経営能力が不在な左派は、権力を獲得・維持するために、いまでも運動と象徴資産を活用している。まずは、彼らの運動は明らか敵・味方識別を前提とする。被害者と加害者を明らかに区別するためである。ムン・ジェイン政権特有の「分断」がそうだ。終始「土着倭寇」と「積弊」が真っ先に飛び出してくる。支持者でない人は非国民になる・・
・・ムン・ジェイン政府は、業績は皆無で「被害者」を売って延命してきた。ところが、今年からはその象徴資産さえ枯渇してきた。彼らは常に悲しみに陥った被害者の顔をしているが、手には鉄槌を持っている。常識的な人々は、彼らの表情ではなく、手を見始めた。一年の間、実体と象徴の奇妙な矛盾が顕になったのだ。これは韓国の左派の危機だ。最も重要な政治的資源が崩壊したからだ。残念ながら、左派の危機は、右派の機会に直結されない。現在、右派は、多数の国民から「代替勢力」として認められていない。朴槿恵大統領の弾劾以降、政治的問題においていつも分裂するだけで、左派に対応できず支離滅裂な状態に陥っている・・>>
他のところはともかく、『悔しさの程度で人を評価し、政治家はその人の恨(ハン)を晴らすために巫堂になった』という書き方は、非常に印象的でした。繰り返しになりますが、韓国からすると左派がそうかもしれませんが、外からだと右も左もなく、韓国という国そのものが『法律ではなく、巫堂を求めている』ように見えますけど。
朴槿恵氏の頃、チェ・スンシル氏に対してよく「呪術政治だ」とかそんな話がありましたが・・その弾劾で生まれた文政権も、所詮は巫堂の群れにすぎなかったのでしょう。
最後に、コラムでは「祭祀」となっていますが、個人的にはちゃんとした祭祀ではなく、グッ(굿)のほうがもっといいんじゃないかな、と思いました。ムーダン(巫堂)が大騒ぎをしながら踊りまくる儀式のことです。
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