朴振外交部長官、18日に来日・・今回の『採点』はどうなるのか

思えば、「早ければ5月末」という話もありましたが・・朴振(パクジン)外交部長官の訪日日程がついに決まりました。今月18日~20日です。日本では考えられないほど、韓国では大きく報じられ、一部のメディアは昨日速報も出していました。日韓関係、北朝鮮問題、そして、安倍元総理への弔問。この3つが、訪日の理由とされています。まず、マネートゥデイの記事を一つ引用してみます。<<~>>が引用部分です。

<<パクジン外交部長官が、来週、就任以後初めて韓日外交長官会談のために訪日する。 外交長官が両者外交会談のために訪日するのは4年7カ月ぶりのことだ(※2019年にカンギョンファ長官がG20のため対日したころならあります)。外交部は「朴長官が来る18日から20日まで日本を公式訪問する」とし「林芳正日本外務大臣と韓日外交長官会談を行い、韓日関係、北朝鮮問題など相互関心事について議論する予定」と言った。 続いて「朴長官は安倍晋三元日本首相に弔意も表明する予定だ」とした・・>>

 

「安倍元総理の弔意を表すこと」を訪日の理由にしているから、というか、それが訪日の主な名分だから、でしょうか。タイミング的にはともかく、ちょっとだけ急に決まった感もします。個人的に、例の民官協議体とやらの進展をもう少し見守るのかと思っていましたが。政策協議団のことなどを思い出してみると、今回も「パク長官が持ってきた『案』について林芳正外相が『採点』をして、それがある程度の高得点なら、11月のG20などの場で、首脳会談を行う」パターンを意識しているのでしょう。しかし、先も書きましたが、「弔問のため」というタイミングだけを気にして、肝心の『案』は用意できていない可能性が高いでしょう。

 

なにせ、本ブログでも取り上げたことがありますが、現金化問題を議論するために構成された「民官協議体」は、これといった進展を見せることができないでいます。特に、当事者である原告側は、日本企業の謝シャ◯イと(財団などへの)参加を要求し、一部は協議体に参加していません。一部、日本側の該当企業は参加しない(現金化と無関係な企業の自発的参加はあり)財団・基金案の話もあったので、そういう話は封じられたと見てもいいでしょう。すなわち、何も結論が出ていないし、そもそもこの民官協議体の存在そのものに疑問を提起するメディアもあります。韓国日報(7月6日)の場合、こんな『何の権限も無い』協議体の意見、しかもメンバーが固定されておらず、いつ話が変わるか分からないのに、政府(外交部)はその結論について責任がもてるのか、と指摘しています。

 

記事がまとめた問題点は、「1分1秒が惜しいこの状況において、協議会の参加者たちからは、相応の雰囲気が感じられない」、「外交部は、議論する合意案の骨格の用意も提示もしていない。特定の時限と解法を現在具体的に想定していないと言う」、「構成員が入れ替わるかもしれない。最終案を設けても、民官協議会の構成員が変わっていると、施行する過程でまた問題提起が生じることもありえる」、「被◯者側が言及した『日本企業との直接交渉』要求は、実現可能性が低い。彼らがこの立場を固守すれば、協議会に出来ることはない」、「きちんとした機構が、権威ある決定を下す仕組みでなければ、その結果に対して、誰も責任を取ろうとはしないだろう」、などなどです。こんな状況で何かの結論が出せるのでしょうか。出せたところで、外交部がそれを実行できるのでしょうか。しかも、尹政権の支持率が30%台になっている今この時点で。

 

もしかして、参議院選挙が終わったことで、または安倍元総理が亡くなったことで、岸田政権が何か『変わっている(これから変わるのではなく、すでに変わっている)』と思っているなら、誤算でしょう。参議院選挙がどうとかの話はもはやブログネタでしかありませんし、安倍元総理のことも、『むしろ、これから慎重にならなければ』という指摘もあります。それに、なにより、いま尹大統領の支持率は、30%台です。同じくマネートゥデイ(別記事)は、日本側のメディアがいまの尹大統領を『李明博元大統領のときと似ている』と指摘している、という記事を載せました。

<<・・新大統領が就任すれば、約100日を「ハネムーン」と呼び、野党・マスコミなどが新しい政府の発足を見守って、批判は控える。韓国で、この期間が早く終わったと日経新聞が報じた。また、ユン大統領の支持率が、ハネムーン期間中に落ちたのは、李明博元大統領と似ているとも。米国産輸入牛肉問題で李元大統領は就任70日ぶりに支持率が20%台に落ち、100日になった時点では10%台まで下落した・・>>

 

政権交代という流れもありますが、具体的な話は一切せず、『とにかく関係改善』を叫んでいるのも、李明博元大統領と尹大統領の類似点です。実は『グランドバーゲン』という言葉も、2009年9月21日~23日、米外交問題評議会(CFR)と国連基調演説で、北朝鮮核問題で李明博元大統領が言い出した言葉です。ええい一括妥結してしまおう!というのです。当時は、6ヶ国協議などが行われていましたが、なかなか解決策が出せないでいた頃です。『私は盧武鉉大統領とは違う』をアピールするためのものだったかもしれませんが、具体的な話が出てこず、しかも、「北は体制(政権)保障を要求しているのに、そういうのは『一括妥結』で解決できるものではない」など、国内はもちろん世界各国から良い反応は何も無く、そのままグランドバーゲンは終了となりました。

 

 

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