中国、尹政権に「3NO」の重要性を説く・・一部のメディアは「3NOの認定を公式に要求してきた」とも

3不、または3NO。見方にもよりますが、韓国と中国の関係をもっとも端的に表している言葉ではないでしょうか。事案が事案なだけに、派生した案件も多く、韓国側は「合意(約束)ではない」としているし、中国側はそんな主張には応じていません。また、3不には「1限」として、既存のTHAADを正常運用しないという非公開部分もある、という話もあります。

昨日、二つ連続で中国関連エントリーを書きながら、「いくらなんでも、THAAD関連の話がここまでまったく出てこないとは」と思いましたが、結局、国会の政府質問にて、関連した質問が出てきました。質問内容は「北朝鮮問題がさらに深化すると、3NOはやめるべきなのか」でした。米国側との協力、及び安保関連力量の強化のためなどで、3NOは破棄すべきではないのか、朴振(パクジン)外交部長官はどう思うのか、そんな趣旨の質問です。

 

そこでパク長官は、またもや「3NOは約束でも合意でもないので、私たちの安保は私たちの判断で決める」と答えました。実はこれ、いままで何度も同じことがありまして。2020年には、当時駐日韓国大使だったナムグァンピョ氏が同じことを言いました。2020年10月22日の東亜日報によると、ナム大使は「大統領府国家安保室2次長だった頃、いわゆる3不合意を主導した人だ」、とのことです。ナム・グァンピョ駐日韓国大使も同じく国会の質問に対し、「3不の原則は約束したものではない」と強調しました。

記事は、「政府は、2017年に中国が外交部ブリーフィングで『3不の原則』に『約束』という表現を使用したことに正式に問題を提起しており、中国は『約束』を『立場表明』という表現に修正した。しかし、この流れのため、裏で(※発表しないことにして)、ある種の『約束』を交わしたのではないか、という疑問が提起されていた」、「THAAD追加配置、米国側のMD加入などを、韓国政府が決定しても、中国は『約束を守れ』と言うことはできない、そういうことか」という質問にも、ナム大使は「約束しなかったから、そうは言えない」と述べた、とも。

 

多分、パクジン長官、今回もなんとかなると思って答えたのでしょうか。今回は、中国側が、さっそく反応し、3NOを認めろと、尹政権に要求しました。ニューシースはこれを、「公式に要求したものだ」としています。そういえば、尹政権になってからブリーフィングなどでこの話が出てきたのは初めてです(私が知っている限りだと、ですが)。8月の外相会談までセッティングしている時点で、尹政権がどんな反応を示すのか、注目されます。以下、ここからは<<~>>で引用してみます。

<<・・パクジン外交部長官が、在韓米軍のTHAAD、3不政策を認めない発言をすると、これに反発した中国政府が3不を認めろと公式に要求した。文在寅(ムン・ジェイン)政権の外交安保政策全般を全面的に見直している尹錫悦(ユンソンニョル)政権の反応が注目される。パクジン長官は去る25日、国会対政府質問で、「北朝鮮核能力が高度化されれば3不政策は廃棄すべきか」というユン・サンヒョン国民の力議員の質疑に、「3不政策は、私たちが中国で約束したり合意したりしたのではなく、私たちの立場を説明したものだと知っている」と話した。

 

パク長官は「これは私たちの安保主権に関連する事案」とし「安保主権は当然私たちの判断で結論を下さなければならないにもかかわらず、中国が、韓国と約束したから守れというのは、私たちとしては受け入れられない」と強調した 。中国政府はすぐに反応した。ジャオリーゼン中国スポークスマンは27日、定例ブリーフィングで、「韓国は2017年にTHAAD問題に対して丁寧な立場を明らかにした」とし「これは相互信頼の増進、協力の深化に決定的な役割を果たした」と明らかにした。スポークスマンは「米国が韓国にサードを配置することを中国が反対する立場は、韓国に対するものではなく、中国の戦略安全保障に対する米国の試みに対するものだ」と強調した・・

・・いままで中国側は、同じ主張で韓国政府を圧迫してきた。このような状況で尹政権になり、韓米同盟と韓米日安保協力を強化しようとする雰囲気が造成され、パクジン長官が公式に否認するに至ると、中国政府が3不立場維持を公式に要求したわけだ。尹政権は、選挙期間中には3不立場を撤回するとしていたが、大統領選挙で勝利後、立場をある程度は変えた。尹大統領大統領選挙公約には「サード追加配置」が含まれていたが、いざ国政課題には入ってなかった。ただ、韓米日安保協力は強化中であり、中国が問題にする可能性はある(ニューシース)・・>>

 

文在寅大統領が、任期末、「(尹氏は)いまはまだ候補だから追懐配置について言えるが、大統領になると、言えなくなるだろう」と話したことがあります。やはり、ただの立場表明ではなかったとしか思えませんが・・中国側が「約束」としてそれから修正したとする話も、わざとでしょう、多分。噂されている「既存THAADを正常運用しない」という話も含めて、さて、尹”GPS”錫悦政権がどんなスタンスを示すのか。任期中に何か一つでも示しておくことができるのか。いまのところ、文前大統領のときにあった北朝鮮関連案件にはかなりの力を注いでいますが、それ以外はパッとしません。はてさて。

 

 

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