韓国メディア、「韓国政府、中国にサプライチェーン強化を提案」と報道・・チップ4参加に対する理解を得るため

最近、尹錫悦(ユンソンニョル)政権の中国関連発言が目立っています。与党重鎮が「中国が加入できないグループには韓国も加入しない」と話し、大統領が「中国が誤解しないように積極的な外交を」と外交部(外務省)に特別注文を出し、国務総理が「中国主導のグループにも入ることができる」と話したり。

発言の時点からすると7月25日あたり、記事の報道時点を基準にすると7月27日あたり、からです。その前に、なにがあったのか振り返ってみると、朴振(パクジン)外交部長官の訪日がこれといった成果無しに終わったこと、イエレン財務長官が通貨スワップに応じなかったことなどがありました。今回の相次ぐ中国関連発言と、何か関係があるのかまでは分かりませんが。

 

そんな中、ついに尹政権が中国側に先端部品などのサプライチェーンの強化を提案する予定だ、との報道まで出てきました。チャンネルAという、保守側の大手ケーブルテレビ局の報道です。チップ4加入について中国側が『誤解しないように』するための措置である、とのことです。いままでお伝えした発言などは、大統領、長官、国会議員が直接話したものですが、この内容はチャンネルAの取材によるものです。しかし、もしこの話が本当なら、チップ4に入る意味があるのでしょうか。『チップ4に入った!』という、ただそれだけのために、チップ4の存在意義とは真逆のことをしてしまうことになります。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・政府が、米国が主導する半導体同盟、いわゆる「チップ(Chip)4」参加を検討している中、外交当局が米国と中国の両方の反発を最小化するために具体的な戦略検討案を議論中であることが確認されました。米国とは中国の反発を最小限に抑えることができるチップ4の公式名称を作り、チップ4参加に反対している中国には、韓中間のサプライチェーン強化を提案することが主な内容です。具体的な「検討案」が公開されたのは今回が初めてです。

29日、韓米外交消息筋によると、26~28日訪韓したビクトリア・ニューランド アメリカ国務部政務担当次官が、27日、イドフン外交部2次官に会い、チップ4の公式名称制定について具体的に議論を行いました。ニューンド次官はこの場で「半導体サプライチェーン弾力対話ワーキンググループ(Semi Conductor Cupply Chain Resilience Dialogue Working Goup)」をチップ4の公式名称で提案したことが分かりました。 同盟という言葉が無くなり、中立的な感じが強い「対話ワーキンググループ」を入れたのです。 これに対して、韓国外交当局も大きな枠組みで同意したことが分かりました。外交部はこれまで中国の反発を意識して「同盟」という表現の使用も控えてきました・・

 

・・これと共に、中国とは、先端素材などのサプライチェーンを強化する協力方案を肯定的に議論中であることが確認されました。また、外交情報筋によると。「先端素材生産に代表される先端産業をはじめ、気候環境対応、デジタル産業、シルバー産業など多様な分野で中国と協力できる」とし「中国とのサプライチェーン安全管理チャネルを強化、韓国企業の中国進出と中国への投資活性化が成し遂げられる代案を設けている」と述べました。

来月中旬、パクジン長官の中国訪問も調整されている中、韓国政府はパク長官の中国訪問以前に半導体対話参加について、実務級レベルで中国側に説明する方案も議論中だといいます。政府関係者は「了解を求める次元ではなく、説明する次元」とし「誤解をなくし、中国と共にするという意味だ」と明らかにしました・・・・チップ4は米国が半導体供給の円滑化のために韓国と台湾、日本と作ると明らかにした「半導体サプライチェーン同盟」で、米国は韓国政府に参加するかどうかを促しています。韓国の半導体輸出の60%(香港を含む)を占める中国は、韓国のチップ4参加に反対しています(チャンネルA)・・>>

 

さすがに、中国と『先端』でサプライチェーン強化はないのでは・・な気もしますが、『誤解しないように』って、『相応のプレゼントを用意しろ』の意味だったのか? な気もします。尹政権が始まった頃から、本ブログでは、「尹政権は、北朝鮮問題に積極的な姿勢を示すことで、中国関連の問題からは『例外』認定がもらえると思っている」と書いてきました。北朝鮮問題でやることやるから、日本も米国も、韓国には相応の例外を認めてくれ、と。しかし、すでにその二つの問題は別々に考えられるものでもなければ、そもそも『経済と安保』を別々に考えられる時代でもなくなっていました。

『日米の方』への外交において、多くの韓国メディアは『仲良くしようと言っているのに、なんで何ももらえないのか』という趣旨の記事を出してきました。特に米韓首脳会談・日米首脳会談の後にこの論調が強く、本ブログでも2~3回取り上げたことがあります(5月24日の過去エントリー)。この流れも、ある程度は影響を及ぼしているのではないでしょうか。『じゃ、相手を変えるまでだ』、と。もしそうなら、その時点で外交でもなんでもありません。今日の更新は、これで終わりです。次の更新は、明日の11時頃になります。

 

 

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