韓国、チップ4予備会議で「中国側に有利な内容」を各国にアピールか・・『対中投資制限措置の緩和』など

今回は、数日前のものではありますが、韓国メディアの「チップ4予備会議」関連記事から、気になる内容をまとめてみます。まだまだメディア側の予想にすぎませんが、基本的には「国益のため」ということになっていますが、読んでみると、ほとんどが中国に有利な内容ばかりです。これは、すでに半導体領域で中国と韓国の考える『有利/不利』が、一致しているという意味ではないでしょうか。以下、各紙から該当部分だけ<<~>>で引用します。

まず、「米国の、対中関連制限措置を緩和させる」大作戦。東亜日報の記事です。<<・・韓国は米国の半導体品薄現象を解消できる投資パートナーであると同時に、中国にも核心半導体を供給している。政府は、このような状況を交渉に活用し、米中両国を説得しなければならない。何よりチップ4同盟参加しても、韓国企業の中国内設備への追加投資が可能になるよう、米国の対中関連制限措置を緩和する必要がある。このような説得作業なしに、米国の牽制から中国内の工場を維持する作業が中断された場合、韓国企業の対中投資は無意味になる。戦略もなしにチップ4に飛び込んだ場合、リスクだけ大きくするたけだ・・>>

 

いわば、出来たばかりの米国の半導体法案から例外を認めてもらえ、ということですね。これは取材によるものというより、メディア側の主張に近いものですが、可能でしょうか。出来たら出来たで、韓国半導体産業の立ち位置を危うくするだけではないでしょうか。次は、聯合ニュースなど複数のメディアが報じていますが、「『特定国家を牽制するためのものであってはならない』と主張しまくる」大作戦。もっとも多くのメディアの記事で確認できる内容です。匿名ではあるものの、多くの記事が「ハイレベルな関係者の話」「~が記者たちに話したところ~」などとしています。

 

<<・・(※大統領室の)核心関係者は、「政府が最近、米国側に予備会議を逆提案したとか、大原則から細部のテーマを提示したという一部の報道は事実無根だ」と付け加えた(※予備会議は、実は韓国が米国などを説得するために提案したのではないか、というニュースがありました)。韓国は予備会議など、今後チップ4がどういうものかを規定するための議論の過程で、特定の国家を排除しない方向にサプライチェーン協力を推進しなければならないという意見を提示すると見られる。

ルールを作る段階からいわゆる「ルールメーカー」(rule maker)として参加し、韓国の立場を反映していく方針だ。政府のある情報筋は、「今後議論されるテーマについて、私たちをはじめとする参加者全員に発言権があるのだ」と話した。台湾も参加主体の一つだという点も、今後悩むべき課題だ。中国は台湾が国際舞台から正式国家として扱われることに強く反応するため、チップ4の議論に台湾が参加するだけでも反発する可能性がある・・>>

 

そこで、台湾関連ですが、韓国政府が「一つの中国」を尊重するよう各国を説得する、という記事がありました。各国が対外的に認めている内容ではありますが、台湾が参加するチップ4の予備会議でこの話を強調するとは、とういう発想でしょうか、これは。尊重というか、「尊重する」という発表はするかもしれません。しかし、以下のニューシースの記事もそうですが、韓国側の記事は、「台湾が参加することそれ自体をなんとかしろ」というニュアンスでもあり、困ったものです。いまのところ、台湾は韓国に比べ、半導体関連で日米と強く協力しています。そんな台湾をチップ4から『追い出し』たいのでしょうか。

 

<<・・チップ4協議体の目的が対中牽制であるだけに、THAAD(高高度ミサイル防御体系)事態を経験した韓国の立場では負担だ。中国との経済安全保障問題で距離を維持してきた日本や台湾とは異なり、韓国政府はこれまでチップ4加入の可否について慎重な態度を取ってきた。中国に対する輸出依存度(2021年基準)は25.3%で1位を占めているだけでなく、国内半導体輸出の62%ほどが中国に集中しているためだ(※これは香港経由も含めての数値です)。ペロシ米下院議長の台湾訪問に中国が反発している状況で、チップ4同盟問題まで表面に浮かび、政府はさらに困惑することになった。

当初、今月末に予想されているチップ4関連の議論が、予想より早くなったのもそうだ。業界関係者は通話で、チップ4予備会議出席の件で、「先週に政府関係者と会った時には、チップ4の話はなかった」と、慌てていた。政府は、チップ4議論の初期から参加し、中国が強調する「一つの中国原則」に対する尊重を、各国に説得しながら、中国との対立をできるかぎり避けると見られるが、議論のレベルに応じては、中国が台湾のチップ4参加を、該当原則の破棄と見る可能性もある・・>>

 

最後に、韓国政府はまだチップ4参加を決めていない、とのことです。予備会議に参加するのも、チップ4に参加するかどうかを決定するためのものである、と。言い換えれば、いままで書いてきた主張が受け入れられなかった場合、『参加しない』選択もある、という意味です。どちらが国益になるかを決めて、参加しない国益もある、とのことでしょう。中央日報もまた国益を強調し、『参加するかどうかは予備会議を見てから決めるとしている』と報じています。一応、韓国は日米陣営ということになっているので、このタイミングで韓国政府が『国益で決める』と話したとなると、聞く人によっては、「ああ、たとえ中国と対立することがあっても、国益のためにチップ4に加入するという意味だな」と思われるかもしれません。しかし、実は『参加しない手もある』と言っているわけです。

 

<<・・大統領室の関係者は7日、「外交部が、今月末か来月初めに開かれるチップ4予備会議に私たちも参加するという意思を表明したと聞いている」と話した。予備会議では、各国別の立場、チップ4の細部議題などが具体的に議論されるものと見られる。ただし、政府は予備会議に出席するだけで、チップ4同盟に参加するかどうかは見守らなければならないという立場だ。大統領室関係者は「予備会の出席がチップ4に参加することを意味するものではない」と説明した。参加の有無は、予備会の議論の結果に依存したということだ。

予備会の日付や場所もまだ具体的に決まっていない。中国が、事実上、自国牽制のための協議体として反応しているだけに、政府はいったん慎重にアプローチする気流だ。政府はこれまでチップ4のことで「同盟」という単語の代わりに「半導体サプライチェーン協力対話」という用語を使用した。今後、議論の過程で、特定の国を外さない方向にサプライチェーン協力を推進しなければならないという意見を提示すると見られる。大統領室関係者は、「国益を最大限反映する方向で、予備会議に応じる」と話した・・>>

 

今日の更新はこれで終わりです。シンシアリーは、職業的に、平日にも自由に外出できるスーパースキルが付いています。原稿の締め切り2週間前までは無敵です。だから、人が多いラッシュ・アワー時間帯や連休には、あまり動かないことにしています。だからお盆休みはあまり関係ありませんが、連休の雰囲気は好きですし、16日はレナの誕生日(私と出会った日)でもあります。いつもより良いものでも食べようかと思っています。結局食べるのは私ですが。それでは、皆様、良いお盆休みを。明日のいつもの時間にまた更新致します。

 

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