別にこの件だけでなく、なんかうまくいかないことがあると、「なにもしなくていい」という話が出てきます。日韓関係でもそうだし、米中対立の中でのスタンス(いわゆる安米経中)でも同じで、結局は「韓国が無いといけない状況だから、これといってなにもしなくていい(どちらかの肩を持つ必要は無い)」という主張が出てきて、しかも支持を受けることになります。いままで本ブログで取り上げた案件だけでも、かなりの数になるでしょう。それと似たような流れ、でしょうか。ハンギョレ新聞(26日)が、「韓国のヒューミント(人が集めた情報など)が無いと、米国は北朝鮮をモニタリングできない」という記事を載せました。米国が北朝鮮関連情報を韓国側に提供しなくなったので、それに対して「何もする必要は無い」という意味でしょう。一時、韓国のヒューミント(簡単に言えばスパイですね)が活躍する時代もありました。
しかし、左側の政権が誕生し(政権交代といっても数年後にはまた左側の政治家が大統領になりますが、ヒューミントの構築にはもっと長い時間が必要だとされています)、そのネットワークはほぼ無力化されています。特に、文在寅政権のとき、対北朝鮮ヒューミントのほとんどの情報が流出し、その半分がやられてしまった、というニュースもあります。文化日報(3月5日)です。また、2011年、金正日が死亡したときに、それを把握できなかったこともあり、当時からすでにヒューミントは機能していなかったのではないか、という話もあります。こちらは2011年12月11日の朝鮮日報です。ハンギョレ新聞は「情報の分析能力も韓国の方が上」と書いていますが・・なんか、(引用部分にはありませんが)ヒューミントが役に立ったとする事例が2009年のものだし、本当かな・・としか思えない内容です。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・米国が北朝鮮の情報をすべて見通すというが、韓国のヒューミント情報が無いと不可能だ(※題)。韓国が北朝鮮のヒューミントにおいては米国より先だ。もともと米国情報機関が技術情報に重点を置いてきたうえ、外国人、言語の障壁などにより、北朝鮮幹部を直接取り込むことが難しいからだ。 1990年代半ば以来、北朝鮮の脱北者が韓国に大挙入ってきて、南北関係改善による南北接触の拡大が急激に行われ、韓国は対北朝鮮人間情報領域で情報の力量を急速に育てた。米国情報機関は対北朝鮮人間情報の限界を克服するために韓国情報機関と協力関係を模索してきた。韓米が相互補完的に情報を共有した事例は2009年上半期、米国記者北朝鮮抑留事件が挙げられる・・・・米国情報機関は米国記者が抑留されると韓国情報機関にこれらに対する情報提供を急いで要請してきたという・・
・・米国の情報機関は、北朝鮮の現地で人が直接確認すべき急な状況があれば、韓国に協力要請をしていることが分かった・・・・情報は取得後の分析が重要であるが、分析能力も韓国が先行する。北朝鮮の政治、経済、社会、文化的特殊性を考慮すると、北朝鮮を訪問したこともない米軍情報官が言語問題まで克服し、北朝鮮を正確に理解し分析する能力を備えることは容易ではない。韓国軍の映像判読能力も米軍に劣らない・・・・一方、米国は偵察衛星・偵察機などを通じて北朝鮮を非常に精密にモニタリングしているとし、「北朝鮮をすべて見通している」と話したりする。しかし実際には限界がある(ハンギョレ新聞)・・>>
<<・・韓国の場合、対北朝鮮情報収集網、特にヒューミントが相当部分崩壊しており、現実的な作戦遂行に困難を経験するというのが重論だ。北朝鮮との対話気流で(※いわゆる平和ムード)、徐々に弱体化していた対北ヒューミント収集が特に大きく影響を受けたのは文在寅政権の時だ。 2019年、国情院の対北工作局所属幹部が、対北工作網関連情報員 数十人の名簿を出力したことで、論議になった。少なくとも5年以上の時間を費やさなければならないヒューミント情報源の情報が、大挙流出したのだ。以後、公然と活動していたヒューミント情報員の半分が、北朝鮮に発覚して、やられてしまったと伝えられた。国政院出身者は「ヒューミントを再び積み重ねていかなければ、対北朝鮮情報力維持および作戦遂行能力に大きく困難を経験するだろう」と懸念した(文化日報)・・>>
<<・・今回、国情院などが金正日委員長の死亡に気づかなかったことで、対北情報ネットワークに根本的限界を露出した。それは、結局「人間情報(ヒューミント・HUMINT)問題」のためだ。情報専門家たちは、北朝鮮のような閉鎖的な社会の場合、映像や信号情報の収集には限界が多いため、重要な情報は、結局は人間情報が最も重要だと指摘する。問題は金大中・盧武鉉政権のとき、国情院の対北部署が疎外され、崩壊したヒューミント・ラインをまだ復旧できなかったことから生じている。李明博政権が入って国定院が脱北者などを活用して対北朝鮮ヒューミント復元に乗り出したが、北朝鮮一般住民に接近するだけでは、最高位層には手が届かない。政府当局者は「境界と監視が厳しい権力最上部に、信頼できる協力者を植えておくには、4年という時間(※大統領任期)では短すぎる」と話した(朝鮮日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。