中国の『No.3』、訪韓し大統領と面談・・一部のメディアは『米国の措置で問題が起きている分、中国とサプライチェーン関連の協議をするだろう』と予想

何度も取り上げましたが、最近、韓国では米国に対する不満が大きくなりつつあります。通貨安問題、インフレ抑止法による電気車補助金問題、中国投資に関する半導体関連法(支援金回収)、そして、最近はバイオ関連、すなわち医薬品の委託生産に関しても、米国の政策は韓国企業にダメージになるという話が加わり、『同盟国に対する待遇ではない』とする表現を、保守側のメディアからも容易に見つけることができます。

『米韓関係復元のための政権が始まった』ではなく、『政権が始まったから米韓関係復元は出来た』と思う人が多かったので、その反作用もあると言えます。尹錫悦(ユンソンニョル)政権があれだけ強調していた『アップグレードしたグローバル同盟』である米国側とちゃんと疎通しなかったのがもっと大きな原因である、そんな気もしますが。そんな中、中国の『No.3』とされる、栗戦書(リージャンシュー)全国人民代表大会常務委員長が、今日、訪韓しました。明日(16日)は、ユン大統領との面談が予定されています。

 

そして、タイミングよく、野党『共に民主党』は、米国の電気車を政府支援金対象から外す案を示唆しました。中国の官営メディアであるグローバルタイムズ(環球時報の英文版)は9月5日の記事で、すでに「尹政権を支持する保守支持者たちは、もうそろそろ米国に関する考えを変えたほうがいい。ユン政権も、米国が同盟のため、共同体のために頑張っているという考えをそろそろ何とかすべきだ」などと主張しました。中国からすると、多数の議席を取っている野党側からこんな話が出てきただけでも、援護射撃を受けたような気分でしょう。一部のメディア、例えばソース記事のヘラルド経済チャンネルAなどが、早くも、『米国の措置で問題が起きている分、サプライチェーン関連で中国と協力する内容も、議題になるだろう』と記事を出しています。以下、各紙、<<~>>から引用してみます。

 

<<・・中国共産党序列3位の栗戰書全国人民代表大会常務委員長が15日、66人の大規模中国代表団を率いて訪韓する。先月、米国権力序列3位のナンシー・ペロシ米下院議長の訪韓当時は電話通話だけだったユン大統領は、16日午後、リ常務委員長を大統領室庁舎で接見する・・・・リ常務委員長は韓国日程は2泊3日だ。中国常務委員長の訪韓は、2015年に以来7年ぶりで、キムシンピョ国会議長の招待によるものだ。2月、パクビョンソク当時国会議長が北京冬季オリンピック開幕式に出席したことに対する回答としての意味が強い。ユン大統領がリ常務委員長を接見する席では、韓中首脳会談が最大の議題に挙げられ、米中間の懸案も一緒に議題になる見通しだ。特に、「3不」に続き、すでに配置済みのTHAADの運用制限を意味する「1限」を主張する中国側と、基地正常化を公式化した韓国側が対立している・・・・また、米国が最近、電気自動車、半導体に続いてバイオ産業まで、中国牽制のための具体的な措置に乗り出す状況であり、サプライチェーン問題も重要な事案として挙げられる(ヘラルド経済)・・>>

 

<<・・特に、THAAD基地について、中国側がどのような立場を表明するのかが注目されます。また、米国が半導体に続いてバイオ産業まで中国を牽制する措置に乗り出しただけに、サプライチェーン安定化のための、韓中両国の協力案も議題として上がるものと見られます。リ常務委員長は明日午後2時にはキムシンピョ国会議長と会談し、両国協力方案を議論します。会談結果を発表した後は、国会議長公館で晩餐も行われる予定です。

リ常務委員長の訪韓は、キムジンピョ国会議長の招待で成立しました。2月にはパク・ビョンソク当時国会議長がリ常務委員長の招待で中国を訪問し、北京冬季オリンピック開幕式に参加しました。リ常務委員長の訪韓には、国会事務総長が直接空港に出向かいます。これに先立ち、ペロシ下院議長が入国した時には、大統領室や国会、外交部から誰も出てこなかったので、議論がありました。国会は、ペロシ下院議長とは異なり、公式招待による訪韓だからだ、と説明しました(チャンネルA)・・>>

 

リ委員長も、ペロシ議長も、序列3位ということになります。米国に対しては、空港で迎えることから首脳会談にいたるまで何一つちゃんとしませんでした。『休暇です』とし、ソウルの自宅にいながらも、会うことすらありませんでした。中国に対してはちゃんとした待遇があって、大統領面談も予定されているとのことで・・前にも紹介したことがある記事ですが、中央日報は「各国の政府公式にはともかく、どうしても米中で比較されるだろうし、中国側は、これを米国に対する外交勝利だと思うだろう」と報じました。それは、確かにそうなるでしょう。

 

最後に、韓国野党側の動きですが、「私たちも、米国産電気車を補助金対象から外そう」とし、関連法案の検討に着手すると公言しました。この部分は韓国日報の記事です。 <<・・共に民主党が15日、国内電気自動車補助金の見直し方案を検討すると明らかにし、テスラなど米国電気自動車に対する「対応措置」も予告した。自国生産電気自動車に補助金を与える米国の「インフレ抑止法」導入による対応となる。20日に訪米(※国連総会)を控えたユン大統領に、関連した議論で実質的な成果を出すよう圧迫しながら、のことだ。

キム・ソンファン共に民主党政策委議長はこの日、党政策調整会の公開発言で、ユン大統領の訪米と関連し、「もし米国が今年中に韓国車に対するサベ◯を解消しなければ(※◯はツです)、韓国も電気自動車補助金規定を改正し、同じ対応をする意志を持って米国側と交渉してほしい」と話した。続いてキム議長は「政府与党が積極的に出ないなら、共に民主党が定期国会予算審の過程でこれを必ず正す」と話した(韓国日報)・・>>

ちなみに、いままで韓国政府の補助金が支給された米国産電気自動車は、3万6千台だそうです。他には・・これといって。今日もまた、起オチ承オチ転オチ結オチだったので、わざわざ何か書く気も起きません。

 

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