台湾問題、毎日のように米韓の『ズレ』が目立つ・・民間では、一部の在韓米軍を台湾に再配置するとの予想も

岸田総理とハンドクス国務総理の面談が、いつもの関係改善しましょうという話だけで終わりました。いつもと違うのは、岸田総理が「弔問に感謝します」と話したぐらいでしょうか(弔問でしたから)。これだろ1000字以上書ける気がしなかったので、台湾関連エントリーと致します。さて、本ブログではすっかりテンプレみたいな内容になりましたが、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の外交の基本は『北朝鮮問題で積極的に対処することで、中国関連問題で例外を認めてもらう』ことです。

しかし、日米ともに、このような尹政権のスタンスには疑問を感じている、今日この頃です。そして、そんな関係の中、特に台湾問題に関して、尹政権とバイデン政権、詳しくは日米との認識の差が明らかになりつつあります。ペロシ議長と会同しなかったことは言うまでもありませんが、ついこの前、ハリス米国副大統領が訪韓して(日本から帰国する際、訪韓します)尹大統領と面談する議題について、ホワイトハウス側は『台湾問題などについて話し合う』『特に台湾関連で多くを話す』と発表しました。しかし、その直後、尹大統領はCNNとのインタビューで『台湾問題より北朝鮮問題が優先だ』と話したりしました。

 

一見、立場的にそうだという意味にも取れますが、日頃のスタンスがあってか、どうしても中国を気にしての発言としか思えませんでした。この件については26日の過去エントリーに書きましたので、未読の方は参考にしてください。すると、今回は前・在韓米軍司令官であるロバートエイブラムス氏が、『台湾の有事の際には、在韓米軍も出動する』と言い切りました。朝鮮日報によると、韓国政府(国防部)の立場は、『出動しない』とは言ってないものの、基本は『在韓米軍は北朝鮮問題に注力する』であり、国防部のスタンスと明らかに異なる発言となります。国防部は『今の司令官は、前に北朝鮮対応に注力すると話したことがある(今回の件で反論したわけではなく、前にそう言ったことがある)』とコメントするなど頑張って(?)いるようですが、最近、米国側から同じ趣旨の発言が増えている、とのことでして。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・ロバート・エイブラムス、前在韓米軍司令官が、中国による台湾の有事の際、在韓米軍の投入に対して「可能だ」と明らかにした。台湾をめぐって米国と中国の緊張が高まる中、朝野では在韓米軍投入可能性の言及が頻繁になっている。エイブラムス前司令官は27日、自由アジア放送(RFA)インタビューで、「台湾の有事の際、在韓米軍が投入される可能性があるのか」という質問に、「可能だ」と答えた。彼は「そんな場合、どの兵力を活用するかを決めるのは米国」とし「駐韓米軍兵力の一部が台湾事態に投入されても、韓米同盟は北朝鮮に対する抑止力を維持するためのいくつかのオプションを持っている」とした。

これに関連して、ミーランド研究所のブルース・ベネット先任研究員は、台湾有事の際に在韓米軍所属空軍が投入されるだろうと分析した。彼はRFAに「沖縄の嘉手納基地、韓国のオサン基地にある米空軍兵力が、米本土にあるどの空軍よりも台湾に近い」とし、「オサンあるいはグンサン(※韓国地名)にある米空軍が台湾に送られるだろう」と話した 。ブルース・クリングナー、ヘリテージ財団研究員も最近、放送で「在韓米軍が台湾に再配置される可能性がある」とし、韓国は対北朝鮮抑止力の側面で、より多くの役割を自ら遂行しなければならないだろう」と話した。

国防部は(※今回の発言について)「駐韓米軍は対北朝鮮抑止力を最優先にしている」とした。国防部はこの日定例ブリーフィングで「エイブラムズ前司令官の発言に立場を出すのは難しい」としながらも「先にポーラーキャマーラ在韓米軍司令官は、駐韓米軍が北朝鮮に対する抑止力・対応任務遂行を最優先にしていると話したことがある」とした(朝鮮日報)・・>>

 

尹政権関係者及び大手マスコミは、米韓同盟のことで『価値同盟』という表現をよく用います。同じ価値観を持つ方と手を組む、それが米韓同盟だというのです。ですが、毎日経済は、(記事に直接的に書いてあるわけではありませんが趣旨と結論的に)いまの日・台産業協力のようなものこそが本当に価値観に基づいたものであり、尹政権の外交・経済協力もそういう方向性になるべきだ、という記事を載せました。迂回的ではありますが、半導体やバッテリーなどで、いわゆる戦略的曖昧さを続けている尹政権に対する批判でもあります。続けて引用してみます。

 

<<・・日本・台湾が、新たな産業同盟を強化している。世界最大の半導体ファウンダリー(委託生産)企業である台湾のTSMCがソニーと手を組み、熊本県に約10兆ウォンを投資して新工場を建てている。TSMCは生産能力拡大のために最近の投資規模を1兆8000億ウォン増やした。日本政府も全面的に支援し、自動車部品メーカーであるデンソーも約4000億ウォンを出資することにした。ソニーはこの工場で作ったイメージセンサー用チップの供給を受け、デンソーは自動車の電動化に必要な車両用半導体を確保することになる。

台湾と日本企業は海外市場の共同進出にも積極的だ。経済産業省は両国企業が共に新しいビジネスモデルを構築する対象国としてベトナムを選定し、両国企業が共同で開拓する市場としてミャンマーなどを定めた。これまで日本が構築してきた人的ネットワークに、台湾出身の『華商』の人脈も活用している。最近になって米中紛争が激化し、グローバルサプライチェーンが不安定になり、中国市場が例年に比べて弱くなっている中、日台企業の産業的連携が加速している。

特に、米国が先端技術関連生産施設を自国内に構築しようとする動きを見せ、市場経済と自由民主主義価値を共有した日本、台湾との連携を強化し、このような雰囲気はさらに強くなった。日台経済協力強化は数字でも確認されている。昨年両国間の輸出と輸入を合わせた貿易規模は853億ドルで前年比23%増えた。同期間、台湾に対する日本の投資も470%増の22億ドルに達した(毎日経済)・・>>

 

 

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