北朝鮮の弾道ミサイル、的外れな主張が提起される・・元統一部長官「日本と会談したいから撃ったのだ」「日本が仲介者になる前に、もっと中露を引き寄せよう」

北朝鮮のミサイル関連問題が続いている昨今、岸田総理がバイデン大統領との電話会談で、韓国と安保面でもっと話し合いたいと述べました。もっとも重要なことは、北朝鮮の弾道ミサイルの存在そのものであるし、そのための安保協力でありましょう。米国の同盟という側面からして、岸田総理のこの発言には何の問題もありません。ただ、なんというか、いろいろ関連したニュースを読んでみると、ブログで紹介したくなる案件がいくつか見えてきます。

まず、在韓米軍はともかく、韓国軍の対応については懸念しかありません。対応として打ち上げたミサイルが、自軍基地内に落下したとのことでして。次に、本件が、韓国では国内政治向けの案件になっていることです。例えば、元統一部長官が「これは、北朝鮮が、日本に対してある種の肯定的なメッセージを送った可能性がある」、「もう尹大統領とは何も話さないという意味である」、「米国だってそうだ。もう日本とか話さなくなった」とするなど、安保というよりは政権批判な話になっています。こんなとんでもない話が出てくる理由はなにか。『だから、そうなる前に、もっと中国やロシアとの北朝鮮問題について話し合わないとならない』という結論にするためです。以下、一つずつ、書いていきたいと思います。

 

今回の北朝鮮のミサイルに対抗する意味で、在韓米軍と韓国軍が日本海に合同でミサイルを発射(地対地ミサイル射撃)しましたが、相応の動きを見せたという点で、評価できることだと思います。文たんだったら、こういう迅速な動きが取れたかどうか、微妙ですから。ですが、5年間のブランクがあったためかそれとももっと全般的な問題かは分かりませんが、KBSなどによると、韓国軍が打ち上げた『玄武』ミサイルは発射に失敗し、自軍基地内に落下しました。記事にもよりますが、落下し、爆発までしたとのことですが、幸い、死傷者は出なかったとのことです。

 

<<・・北朝鮮の昨日、中距離弾道ミサイルを発射しました。それに対応し、米韓軍当局が地対地ミサイル射撃を行いました。合同参謀本部(※米韓連合司令室のような存在)は、連合戦力の対応能力を見せることができたと発表しましたが、私が軍のミサイル1発は基地内に落ちました・・・・韓米軍当局が、北朝鮮の中距離弾道ミサイル発射に対して連合射撃で対応しました。合同参謀本部は、我が軍と米軍が地対地ミサイルであるATACMS各2基ずつ、すべて4発を、日本海上の仮想標的に撃ったと明らかにしました。

合参本部は「北朝鮮の追加挑発を抑制するための連合戦力の対応能力を見せることができた」と説明しました。また、挑発そのものを無力化する能力と態勢を備えていることを明らかにしたとし、万全の備えを維持していると述べました。ただ、今回の対応射撃で、我が軍は「玄武2」弾道ミサイルも打ち上げましたが、このミサイルは発射直後、基地内に落ちました。軍当局は、人命被害はないと把握しているとし、詳細な原因を調査中です(KBS)・・>>

 

次に、長らく北朝鮮の戦略の一つとされてきた、『通米封南』。いくつか呼び方のバリエーションはありますが、米国と直接話し合うことで、韓国政府の役割を封じるという意味です。最近、これも変形として、『通日封南』という話が出ています。尹政権とはもう何も話さず、日本と直接話す、または、日本に仲介役を頼むことで米国と通じたがっている、というのです。見方にもよりますが、一時は文大統領に仲介を任せてうまくいかなかったので、今回はそれを日本の岸田総理に頼もうとしている、という内容です。論拠はよく分かりません。

いままで何度か同じ話が出ていましたが、国連総会で岸田総理が対話を呼びかけてから、『週刊韓国』など一部の大手にも同じ趣旨の記事が載ったりしました。イーデイリーによると、現役時代には本ブログにもかなり出番があった丁世鉉(ジョンセヒョン)元統一部長官が、また同じ主張をしました。そうなる前に(大事な役割を日本にとられるまえに)、中国やロシアともっと話すようにしましょう、とも。

 

<<・・北朝鮮が発射した中距離弾道ミサイル(IRBM)が、5年ぶりに日本列島を通過して太平洋に落ちたことと関連し、逆説的に、北朝鮮と日本が近づくきっかけになる可能性があるという主張が、5日提起された。ジョンセヒョン元統一部長官はこの日tbsラジオ「キム・オジュンのニュース工場」に出演して、「岸田文雄日本首相が(国連総会基調演説で)金正恩北朝鮮国務委員長と条件なしに会談するとした」とし「それに対する、北朝鮮なりの返事である」と解釈した。元長官は「米国はウクライナと対中国問題で精一杯なので、北朝鮮をそれなりに管理してくれる国がほしいと思っている状況」とし「その相手は、尹大統領ではない」、「むしろ日本を活用するのがいいと思う可能性がある」と話した。

続いて、「日本で安保緊張が高まると、岸田首相はさらに大きく騒ぐだろうし、そんな状況で北朝鮮と首脳会談を行えば、自分の手柄がとても大きくなると思うだろう」と、最近岸田内閣が低い支持率で苦戦しているという事実を想起させた。元長官は「北朝鮮の立場でも、日本と関係改善をして経済的支援を受け取ることに期待するだろう」と主張した。それとともに「北朝鮮は日本に『私たちと会談したいのか。しかし、そう安くはないぞ』 というメッセージを送っているわけだ・・・・「通日封南にもっと気をつけなければならない」と強調した。元長官は「今からでも北朝鮮は核武力法制化、金正恩委員長の演説内容をもっと分析しなければならない」とし「中国とロシアを引き寄せ、北朝鮮が核で対南、対米の威嚇などできないようにする必要がある。そのような点で、六カ国協議・シーズン2のようなものを主導的に開いていく必要がある」と付け加えた(イーデイリー)・・>>

 

なんというか、ミサイルを撃ったのは北朝鮮なのに、北ではなく岸田総理に気をつけて中国やロシアを引き寄せよう・・そう言っているように見えます。○○を相手にたたかいますというフレーズを思い出してしまいました。ちなみに、今回、バイデン大統領と尹大統領は電話会談したという記事はまだありません(バイデン大統領と岸田総理は電話で会談しました)。

 

 

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