韓国、ソウルで尹大統領の退陣デモ・・経済・外交など国内・国外関連政策がすべて止まっている中、左・右の対立がステップアップ

まず、一つ前のエントリーにもちょっとだけ書きましたが、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領に対するろうそくデモがありました。1~2万人規模だったということ、まだ朴槿恵大統領のときに比べると、大した規模のものではありません。1~2万人規模で車道に溢れ出た人たち(交通渋滞がすごかったと聞きます)を『大した規模ではない』と書くこの感覚からして、妙な話ではありますが。ただ、文在寅前大統領、李在明(イジェミョン)野党代表に向けての直接的な捜査もそう遠くないでしょうし、一部の市民団体が『行動』に出るようになったのは事実です。

いまのところ、どちらかが世論の圧倒的な支持を得ているとか、そんな流れは見えてきません。どちらかというと、大統領選挙の頃から言われていた『エイリアンVSプレデター』、すなわち「どちらが勝っても未来はない(映画の宣伝フレーズ)」な雰囲気が、さらに広がりつつあります。同じく、与党と野党の対立などについても、いずれエントリーするとは思いますが、いまのところそこまで決定的なものはありませんし、頭の中で整理ができているわけでもないので、まぁ機会があれば後で、といったところです。ただ一つ言えるのは、少なくとも国会レベルで何かの法案などが通過できる可能性は、ゼロになったということです。

 

さっそく、予算審議などが予定されている国会で、野党は尹大統領の国会施政方針演説を聞かない(参加しない)としています。何一つ動きが取れないでいる国内・国外(外交)政策の中、尹政権はどんな展開が見せられるのでしょうか。尹政権としては、『左側のせいで何もできなくなった(実はその前から何もできていないけど)』とするかもしれませんが・・とにかく、このように、まだそこまで衝撃的な展開にはなってないけど、政権初期(といっても、わずか6ヶ月前ですが)に比べると、確実にステップアップした国内での対立情勢。まずは朝鮮日報から全般的な内容を引用し、それから『デイリアン』の記事から、一つ気になる内容があったので、合わせて紹介します。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・22日、ソウル都心で保守・進歩(※リベラル、左側)団体の大規模集会が同時に開かれた。進歩団体が主催したユンソンニョル大統領退陣「ろうそく」集会は、予想より多くの人が集まり、午後6時ごろ、市庁駅前の世宗大路の道路がすべて遮られた。ソウル崇礼門交差点から太平路まで「キムゴンヒ(※大統領夫人)特検、尹錫悦退陣10・22全国集中ろうそく大行進」集会を開いた。この日、ろうそく集会には警察推算1万6000人余り(午後5時基準)が集まった。初期、警察推算の人員は7000人余りだったので、それより倍以上の人員が集まったのだ。そのため、集会初期の世宗大路往復道路が使えなくなり、光化門方向への車両通行が遮断された。両側の歩道にも、市民が集まって集会に参加したりもした(朝鮮日報)・・>>

 

朝鮮日報は普通に書いているだけですが、左側のメディアはこの件をものすごく大きく報じており、特にオーマイニュースなどが積極的です。ただ、個人的に、この件で気になったのは、『中高生団体が同じテーマの周回を予定しており、ソウル市や女性家族部(※政府機関)が支援した』というニュースです。韓国では、各種デモに子供を参加させるのは、そう珍しいことではありません。朴槿恵大統領のときのろうそく集会にも、中高生が参加していました。しかし、ソウル市(今は市長が保守側です)と政府機関が支援したというのは、さすがによく分からない展開でした。

最初にこの件が話題になったのは、クォン・ソンドン『国民の力』議員がSNSに書いた内容です。『ろうそく中高生市民連帯』という団体があって、来月5日、「第1次尹錫悦退陣中高校のろうそく集会」という、22日のデモと同じようなものを予告しましたが、その団体に女家部とソウル市が支援金を送った、というのです。議員は、「一体どんな基準と目的でこのような団体に支援をしたのか、その実体を明らかにすべきだ」と主張しました。そこで、ソウル市と女家部が調べたところ、なんとこういうでも活動を『部活』としていたようです。部活支援をして政府支援金ももらっていた、と。

 

<<・・今年初め、民間委託機関であるボラメ春少年センターが主管する部活支援事業に全国中高校学生代表学生協議会が選定され、年間125万ウォンの支援金を受けることになった。当時、中高協は活動目的として「社会参加、学生立場での政策的討論」などの内容を計画書として提出したことが分かった。ソウル市と女家部はブリーフィング資料を出し、「中高協が『ろうそく中高生市民連帯』の部活活動のような存在だと、マスコミ報道を通じて認知できた」とし「中高協が、選定時に提出した部活活動計画書と異なる政治活動のために支援金を使用した場合には、支援した分をを全額回収する方針だ」と明らかにした(デイリアン)・・>>

 

いわば「社会参加のための部活活動です」と自治体や政府から支援金を受け取って、そのお金で中高生を動かして大統領の退陣デモを計画していた、というオチです。これ、どういう団体なのか明らかになった後に「なんであんなところに支援したんだ」と指摘するのは簡単ですが・・支援対象になるかどうか選定するとき、ちゃんと調べることができるのでしょうか。政府機関の関連人員がどれぐらいの規模かは分かりませんが、それらしい計画書さえあれば、相手が中高生団体ということもあって、すぐ支援対象に選んでしまうのでは。若いファイターを育成するにおいて、自分ではなく政府の金を使う・・怖い話です。

 

 

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

  ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2022年9月2日)からですが、<尹錫悦大統領の仮面 (扶桑社新書)>です。文在寅政権の任期末と尹錫悦政権の政策を並べ、対日、対米、対中、対北においてどんな政策を取っているのかを考察しました。政権交代、保守政権などの言葉が、結局は仮面が変わっただけだということ、率直に書きました。 新刊<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。「私はただ、日本が好きだから、日本人として生きたいと思っています」。これが、本書の全て、帰化の手続きを進めている私の全てです。 刊として、日本滞在4年目の記録、<「自由な国」日本「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >と、新しく出現した対日観について考察した卑日(扶桑社新書)>も発売中です。 ・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。 ・当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。