韓国、企業の短期借入金が史上最大に・・普通の銀行では貸し出しが受けられず、『第二金融圏』融資が急増 & 『レゴランド事態』のまとめ

また債務関連です。韓国銀行が基準金利を引き上げてから、本ブログが「サイム有りのブログ」モードになっていますが、各メディアがまだまだ多くの記事を出しており、そのデータが気になるものばかりでして。例えば、旧ブログの頃から家計債務関連で結構書いてきましたが、最近の記事を読んでみると、えっ?とおどろくばかりです。しばらくこのテーマをあまり取り上げなかったのもありますが、いつのまにここまで大きくなったのでしょうか。今日は、朝鮮日報韓国経済から、各企業の『短期の』『第二金融圏からの』債務が増えたという記事をチョイスしました。また、最近話題の『レゴランド事態(日本のレゴランドではなく、韓国の江原という地域のことです)』に関しても簡単にまとめたので、参考になれれば幸いです。

もう結構前から、江原道にレゴランドを作るというプロジェクトがありました。聞いただけの話ですが、『日本のより大きい』を目指していた、とも。実際、もっと大きい(広い)そうです。平昌冬季オリンピックの開催地だった江原道(カンウォンド)が積極的にこの件を進め、江原ジュンド開発公社が主導しました。江原道はこの公社の持分44%を所有しています。公社は「アイワン第1次」というSPC(特別目的会社)を作り、資金を集めました。江原道が保証する形で、ABCP(資産担保コマーシャルペーパー)を発行しました。ざっと2000億ウォン規模。で、簡略に言いますと、公社側が、このABCPの満期に償還できませんでした。いまでも不渡りのままです。

 

プロジェクトに関わった多くの会社や投資家たち、そして金融機関(証券会社など第二金融圏だけで10社以上だと言われています)は、冬季オリンピックまで開催した自治体が推進したプロジェクトの、このような結果に大慌て。しかも、江原道側はその責任を公社側におしつけ、企業回生(法定管理)するからとにかくお金のことは全員そのまま待っていて、というスタンスを示しました。関わった投資家や金融機関はもちろん、自治体のプロジェクトに関わる各種事業に対し、金融機関の見方が変わりました。貸し出しそのものに応じなくなったり、いままでは比べ物にならない金利を要求したり。

当然、市場には、単にカンウォンレゴランドだけでなく、『もう信用できるプロジェクトなど無い』という流れが広がりました。各企業の資金調達が難しくなったのは言うまでもありません。そこで、尹政権は、50兆ウォンの資金を市場に供給すると発表しましたが、これはこれでまた、異論が出ています。『今の状態でさらに借入金を増やすと、その後はどうなる』というのです。ここからは、引用してみます。各紙、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・国内企業が1年以内に返済しなければならない短期借入金の規模が、史上最大の532兆ウォンに達することが分かった。23日、政府が50兆ウォン以上の流動性を緊急供給することにしたが、資金市場をめぐる不安要因は変わらないだろうと指摘されている。24日、韓国銀行資金循環関連データによると、金融以外の企業の短期借入金(短期貸出金・短期債権)は、6月末に532兆5193億ウォンで、史上最大だった。昨年末より54兆3447億ウォン、11.36%急増した。関連統計を作成した2008年以降、同期間最大の増加幅だ。銀行融資など短期借入金が490兆3709億ウォン、会社債・企業手形(CP)など短期債権が42兆1484億ウォンに達した。

各企業は、カンウォンドレゴランドの資産流動化企業手形(ABCP)不渡り事態で「超」非常事態だ。機関投資家が、高い信用格付けの大企業の社債さえも、投資を保留する雰囲気が広がっているからだ。今月に入ってハンファ・ソリューション、LG・ユープラス、韓進などが相次いで会社債発行に乗り出したが、投資家を見つけることができなかった。保守的な資金運用としてよく知られているロッテグループ系列会社さえ、資金が回らない状況だ。ロッテ建設は短期借入金の返済に困難を経験し、グループ系列会社のロッテケミカルから7000億ウォンの資金を緊急供給してもらった(韓国経済)・・>>

 

<<・・(※今月)13日、韓国経済研究院によると、国内上場会社のうち財務指標が公示された750社の総負債は、6月末基準で806兆6000億ウォンで、1年前(700兆7000億ウォン)より15.1%(105兆9000億ウォン) 増えた。特に、満期1年未満の短期負債が391兆2000億ウォンから469兆8000億ウォンに20.1%(78兆6000億ウォン)も増えた。満期1年以上の長期負債は309兆5000億ウォンから336兆8000億ウォンに8.8%増加した。満期が短い融資が増えるのは、銀行が企業の見通しを肯定的に評価せず、返済期限を短く維持したためとみられる。

銀行より金利が高い「第2金融圏」の企業貸出残高は508兆2000億ウォンで、1年前の昨年6月末(388兆ウォン)より31%も増えた。 一方、銀行融資残高の増加率は10.5%で、3分の1レベルであった。 全国経済人連合会は、売上が大きい会社1000カ所の資金事情を調査した結果、去る12日韓銀の「ビッグステップ(金利0.5%ポイント引き上げ)」で、大企業10カ所のうち6カ所が営業利益で利子を返済できない「脆弱企業」になると推定した(朝鮮日報)・・>>

 

貸し出しを受けたからといって、それがそのまま問題になるわけではありません。でも、第2金融圏となると、話は違います。うろ覚えで恐縮ですが、サブプライムローン事態がまだ本格化する前、米国の・・誰っだかな、結構高いポジションの人が、『問題になっている金額は、市場全体からすると、大したものではない』という趣旨の発言をしました。それはたしかにそうかもしれませんが、その部分が崩れ、それが『連鎖』していきました。今回もまた、増えた分のデータそのものより、この『第2』のほうが気になる、今日この頃です。あと、最後に・・「国内上場会社のうち財務指標が公示された750社」って、ちょっと少なくないか・・と思いました。

 

 

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