韓国電力公社、今年約30兆ウォンの赤字予想・・社債発行急増で他企業の資金調達にも影響、電気料金の大幅な値上げが唯一の解法か

最近、各メディアが各企業の『資金調達の難航』についての記事を載せています。本ブログでもいくつか紹介したりしました。その中には、かならずといってもいいほど、「ハンジョンチェ」という言葉が出てきます。韓国電力公社(以下、公社とします)の社債という意味で、政府保証が付いている超優良債券ということになっています。公社は、韓国最大の公企業であり、事実上の唯一の電力会社です。発電部門は6社の子会社に分割となりましたが、配電部門においてはいまだ1社体制です。

その公社が、赤字をなんとかするために社債を発行し過ぎで、他の会社の社債の需要がさらに減ってしまうわけです。だから、公社の社債「ハンジョンチェ(韓電債)」を「ブラックホール」だと言うメディアもあります。簡単にいえば、この公社の黒字・赤字状態が、他の会社の資金調達にも大きな影響を及ぼすわけですが・・ソウル経済など複数のメディアが、「今年の赤字が30兆ウォンを超えるのではないか、もう電気料金を上げるしかないのではないか」、そんな記事を出しています。

 

記事によると、公社は今年7~9月基準で7兆ウォンを超える営業損失を記録しました。今年の累積で21兆ウォンを超えています。政府は、10月から電気料金を7ウォン以上値上げしましたが、それでもエネルギー価格の高騰などで、公社の今年の赤字は30兆ウォンを超えるだろう、と。『社債百裂拳』は相変わらずで、最近はハンジョンチェでも完売できなかったというニュースも出ていますが、それでも今月1日~10日まで1兆5000億ウォン以上の社債を発行、これが、各企業の資金調達市場をさらに凍りつかせている、とも。以下、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・公社は、今年に入っての累積基準売上は51兆7651億ウォン、営業損失21兆8342億ウォンを記録したと明らかにしました。昨年1年間の営業赤字5兆8601億ウォンの3倍を飛び越える数値となる。第1四半期(※1~3月)と第2四半期それぞれ7兆7869億ウォン、6兆5164億ウォンの赤字を記録し、第3四半期にも7兆5309億ウォンの赤字を記録しました。公社は電力需要増加で発電量が増加し、液化天然ガス(LNG)、石炭など燃料価格の急騰とそれに伴う電力卸価格(SMP)が2倍以上も上昇した結果だと説明しました。今年第3四半期までの公社の燃料費は24兆3335億ウォン、電力購入費は30兆766億ウォンです。前年同期比で、それぞれ10兆8103億ウォン、15兆729億ウォンほど増えました。

一方、電気販売収益は昨年1~9月の42兆5182億ウォンから今年同じ期間では47兆9568億ウォンで、5兆4386億ウォン増えるのにとどまりました。電力統計月報によると、今年の韓電の電力平均販売単価は116ウォン40銭で購入単価(148ウォン40銭)に大きく及ばず、電気を売れば売るほどマイナスになる仕組みです。電力購入費は第4四半期にさらに増えるという観測が支配的です。電力統計情報システムによると、SMPは1㎾h当たり7月151ウォン85銭、8月197ウォン74銭、9月234ウォン75銭、10月253ウォン25銭と、引き続き増加しました・・

 

・・公社は、大規模な赤字を社債の発行で防いでいます。預託決済院によると、今年に入って今月10日まで韓電債発行額は25兆4500億ウォンです。昨年の全体発行額10兆3200億ウォンの2倍を超えています。信用等級AAA級で、金利が年6%の韓電債が市場に溢れ出て、市中資金を吸い込んでいる状況です。韓電債金利は前日基準で年5.95%でした。韓電がこのように赤字になると、債券の発行を増やし続けるしかなく、その結果、債券市場の混乱も長期化する可能性があるという懸念が出てきます。政府が韓電債の発行を減らすために銀行融資を増やすことにしたもののが、融資だけでは、資金調達には限界があります・・

・・結局は、電気料金の現実化しかありません。通常、電気料金がキロワット当たり10ウォン上がるたびに、韓電の年間売上が5兆ウォン増加します。これに、来年初めに電気料金をキロワット当たり50ウォン以上引き上げ、25兆ウォンの余裕資金を公社に供給しなければならないという指摘が出てきます。ユ・スンフン、ソウル科学技術大学教授は、「公社の今年累積赤字額は30兆ウォンを超えるだろう」とし「普通に耐えられる期間などとっくに過ぎているので、政府が電気料金を現実的にしなければならない」と話しました(ソウル経済)・・>>

 

引用部分にはありませんが、来年からは、公社に対する資本金と積立金が大幅に削減となるそうです。そうなると、社債の発行限度が相応の分、減ることになるので、もうどうしようもなく電気料金を上げるしかない、とも。しかし、料金引き上げの担当部署となる企画財政部は、物価急騰を理由に、あまり乗る気ではない、とのことでして。そういえば、日本に引っ越してきて、東京電力とか関西電力とか中部電力とか、そういう言葉にちょっと違和感がありました。韓国では、事実上、1社(公企業)しか存在しないからです。この韓電の電気料金関連の話も、ずいぶん前から似たような指摘があったと思いますが・・特に産業電気関連で安いと言われていますが、大企業関連での影響か、いままでこれといった動きは見られませんでした。さて、尹政権、今度こそ何か『動く』力はあるのでしょうか。

 

 

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