見方による、といったところではありますが・・「同じく半導体企業が好調でも、韓国では労組が『成果給もっと上げて』というし、日本では株主が『(職員の)成果給を上げて』と言っている・・という記事がありました。成果給というか、報酬のことです。ストックオプションの話なども本文に出ています。韓国で成果給という言葉が話題(問題?)になったので、記事の題などは成果給となっていますが。で、内容は、珍しく、「(どちらかというと)日本のようにするべきではないのか」、または「日本の事例から学ぼう」、という論調の記事です。ただ、なにか一つでも韓国が先行しているということを書かないといけない宇宙ルールでもあったのか、「でもこの議論が韓国で先行しているからね」という内容も含まれていますが(笑)。時事ジャーナル(5日)の記事です。それでは、以下、<<~>>で引用してみます。というか、個人的にこれは企業文化の差というより社会文化の差であり、いわゆる「総体的剥奪感」に関する風潮が日韓で違うから、日本では韓国ほど問題にならないでいる・・そういうことじゃないでしょうか。
<<・・日本のメモリ半導体企業「キオクシアホールディングス(KIOXIA Holdings)」の社員約600人が、1人あたり10億円を超える株式評価益を保有することになった・・・・これは、韓国国内でSKハイニックスやサムスン電子の「億(ウォン)単位の成果給」が社会的な争点になっている場面と重なって見える。2018年の東芝メモリ買収コンソーシアムにはSKハイニックスも財務的投資家(FI)として参加していた。韓国の成果給論争の一軸をなす企業が、日本の今回の事例と無関係ではないわけだ。しかし、両国が半導体好況の果実を扱う方式は正反対だ。その違いの中に、韓国が注目すべきポイントがある。まず明確にしておくべきは、キオクシアの社員が手にしたのは「成果給(現金のボーナス)」ではないという点だ。それはストックオプション、すなわち「キャピタルゲイン(資本利得)」である。米ベインキャピタルが主導したコンソーシアムは、2018年に東芝のメモリ事業を買収する際、最高経営陣だけでなく、部長・課長級の一般社員約600人にまで約700万株規模のストックオプションを付与した・・
・・ベインの日本投資チームが「実務全般を責任を持つ部長・課長の役割こそが核心だ」として、これを貫徹したという。6月22日の年初来高値(11万2700円)を基準にすると、キオクシアの700万株の価値は約7900億円、1人あたり平均で10億円を超える。ただし、この富はあくまで現時点の株価を基準とした未実現・税引前の評価益だ。一銘柄に資産が集中するリスクが大きく、AI関連の株価が調整を迎えれば評価額は大きく変わり得る・・・・現在進行中の事案は別にある。6月25日に開かれたキオクシアの定期株主総会で、会社の業績が大きく改善したにもかかわらず、役職員への報酬が東芝時代の水準にとどまっているという指摘がなされた。核心は、この問題提起の主体が労働組合や社員ではなく「株主」だったという点だ。日本経済新聞の6月29日の報道によると、ある60代の株主は「社員に適切に分配しなければ、他社へ去ってしまう」と話し、30代の株主は「最低でもグローバルな競合他社と同等レベルの報酬が必要だ」と主張した。
日本は、韓国のSKハイニックスやサムスン電子といった半導体企業の成果給水準を比較の基準にしている。市場の予測によると、キオクシアの2027年3月期の営業利益のコンセンサス(FactSet集計)は約7兆4000億円に達し、韓国のように営業利益の10%を成果給の原資とするならば、1人あたり約5000万円(約4億8000万ウォン)の支給が可能だという試算も出ている。ここに、韓国と日本の「逆転現象」が表れている。韓国では株主の多くが、巨額の成果給が配当を侵食するとして抑制を求める側になりやすい。一方でキオクシアの場合、株主が逆に「もっと(報酬を)出せ。さもなければ人材が離れる」と拡大を要求した。韓国が「社員が要求し、会社が踏みとどまる」という葛藤であるなら、キオクシアの場合は「株主が要求し、会社(年功序列・バランス重視の賃金文化)が踏みとどまる」という構図に近い。
日本の慎重姿勢には構造的な背景がある。キオクシアは独立前の東芝時代の報酬体系をかなりの部分で維持しており、大規模な成果給の導入に対する社内合意は容易ではない。年功序列を中心としたバランス型の賃金という日本企業全般の慣行も、急激な成果給の拡大を抑制する要因だ。賃金の決定方式からして異なる。個別の企業ごとに労使が交渉する韓国とは異なり、日本は毎年春、産業別の労働組合が時期を合わせて一斉に賃金交渉を行う「春闘」によってその年の引き上げ率の基準を決める。大企業の妥結結果が事実上の上限となり、社会全体へと広がっていく構造だ。今年の春闘の賃上げ率は約5%で、3年連続で5%台を記録したが、物価を反映した実質賃金の増加幅は4月基準で1.9%にとどまった。キオクシアや韓国の半導体企業の報酬規模とは桁が違う。
「多く与えること」を超え、「基準の透明性」が核心である(※見出し)・・・・半導体好況に伴って半導体従事者と一般労働者、また同じ企業内でも部署間の報酬格差が広がっている。ただし、その果実を処理する方式は異なり、そこに韓国が参考にすべき内容が存在する。第一に、キオクシアの「資本共有(ストックオプション)」モデルは、毎年繰り返される現金ボーナスの交渉の代わりにキャピタルゲインによって社員と会社の利害を同じ方向へと結びつける。しかし、資産が単一銘柄に集中するリスクや、権利がすべて確定した後は引き留めるインセンティブが失われる点、そもそも一回限りの施策であるという限界が明確だ。
第二に、逆説的ではあるが、日本の今回の株主総会の光景は「韓国式の労使モデル」を再評価させる。日本の株主たちが成果配分の拡大を要求している今、SKハイニックスが営業利益の一定割合を明文化した合意は、人材確保競争が激化する局面において、一つの先制的な制度化と見る余地がある。ただし、利益が急減する局面では、この固定比率が負担となって跳ね返ってくる可能性がある。何より、その制度が「多く与えること」を超えて「納得できるように説明すること」、すなわち「算定基準の透明性」へと進んでこそ、労使が主導権を維持できるだろう。
第三に、「好況の果実を社会とどう分かち合うか」という分配の議論は、韓国ですでに表面化しているだけに、まだこの議論が本格化していない日本にとって一つの先例となり得る。半導体のスーパーサイクルは、「誰がいくら稼ぐか」を超えて、「その果実をどのように、誰と分かち合うか」という制度の問題へと移り変わっている。日韓は今、同じ問いに対して互いに異なる答えを書き綴っている(時事ジャーナル)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。いつも、ありがとうございます。今回は、<韓国リベラルの暴走>という、李在明政権関連の本です。新政権での日韓関係について、私が思っていること、彼がいつもつけている国旗バッジの意味、韓国にとっての左派という存在、などなどを、自分自身に率直に書きました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年8月30日)<韓国リベラルの暴走>です。韓国新政権のこと、日韓関係のこと、韓国において左派という存在について、などなどに関する本です。・準新刊は<THE NEW KOREA>(2025年3月2日)です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。・既刊、<自民党と韓国>なども発売中です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。