3年ぶりの日韓首脳会談・・北朝鮮問題など安保メインで、懸案については「早期解決を」だけ、7月の外相会談と同じレベル

多国間協議をきっかけに行われた日米韓・日米・日韓・米韓首脳会談が、1日で全て終わりました。でも、昨日の夜から上がってくる各メディアの記事を読んで概ね予想はしていましたが、安保関連以外は、これといって情報が出てきません。米中首脳会談の前日ということもあって、他の案件については、もし話したとしても情報を公開できないという事情もあるでしょう。

例えば、米韓首脳会談ではインフレ抑止法関連でも話がありましたが、バイデン大統領は『米国経済への韓国企業の貢献をよく知っています』というふうに答えました。それが本当にそう思っているのかどうかはバイデン大統領本人にしかわからないことでしょう。しかし、チームの団結という側面を強調するためにわざわざ連続で首脳会談を開いたのに、『そうですね、議会が決めることですが、中間選挙結果も微妙だしなんとも』と言ったりすると、会談の趣旨そのものが色あせてしまいます。

 

日韓首脳会談での岸田文雄総理と尹錫悦(ユンソンニョル)大統領も、そんな事情があったのではないでしょうか。以下、ザファクトというネットメディアの記事ですが、他のメディアの記事も、ほぼ同じ内容です。なにせ、会談内容が、ここに書いてあるのが全てですので。ちなみにザ・ファクトは、この前、本ブログで『なぜ笑顔なんでしょうか』という記事を紹介したことがあります。記事を要約すると、『これは2回目の首脳会談だ(※後述します)』『雑踏事件への弔意、亡くなった2人の日本の方への弔意』『北朝鮮問題の深刻さ』『自由、平和、反映のインド太平洋(自由で開かれたインド太平洋の尹大統領バージョン)』、そして、本ブログとしては本題となる『懸案の早期解決のために協議を続ける』です。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・ASEAN東南アジア国家連合関連首脳会議出席のためカンボジア、プノンペンを訪問中の尹錫悦大統領が、13日午後、岸田文雄日本首相と首脳会談を行った。両首脳は9月21日(現地時間)米国ニューヨークで初めて30分間会談をし、今回が2回目となる。大統領室によると、非公開で行われた今回の会談は約45分間行われた。会談開始に先立ち岸田首相は「梨泰院惨事」と関連して哀悼を表明した。尹大統領は亡くなった2人の日本人犠牲者に対し弔意を表した。

以後、両首脳は最近相次ぐ北朝鮮弾道ミサイル発射に対して、朝鮮半島はもちろん、北東アジアおよび国際社会の平和と安全を脅かす深刻で重大な挑発行為として規定し、強く糾弾した。また、北朝鮮の核・ミサイルプログラムに対応するため国連安保理次元の対応と韓米日安保協力強化のために協力していこうとした。また、ユン大統領は去る11日発表した「自由、平和、繁栄のインド・太平洋戦略」を説明し、岸田首相は来年春までに新しい「自由で開かれたインド・太平洋」計画を発表する予定だと紹介した・・

 

・・両首脳は相互のインド・太平洋戦略について歓迎を表し、包容的で復元力があり、安全で自由で開放されたインド・太平洋を追求するために連帯していこうと意見を述べた。また、両首脳は両国間の懸案と関連して外交当局間で活発なコミュニケーションがなされていることを評価し、早急な解決のために引き続き協議していこうとした(ザ・ファクト)・・>>

懸案の早期解決というフレーズを速報で流しながら強調するメディアもありますが、これは7月の外相会談からあったフレーズです。だから外務省のホームページでも、今回の首脳会談に関して、「懸案の早期解決を図ることで改めて一致しました」と、わざわざ『改めて』と書いてあります。で、後述しますとした『こ、これは2回目だからね』という部分ですが、これは、ノーカットニュースなど複数のメディアが、この前ニューヨークであった『懇談』を、首脳会談だったとしているためです。ソース記事はさらっと書いてあるだけですが、他の複数のメディアが『2回目』をかなり強調しており、なんで『3年ぶり』と報じるのかを問題視するメディアも少なくありません。

 

<<・・日本メディアは首脳会談について、尹大統領と岸田首相の「初の正式首脳会談」とした。首脳が早期解決することにしたという内容を伝えながらも、一部では楽観視できないとした。NHK放送などによると、尹大統領と岸田首相は13日(現地時間)カンボジアプロンペンで約45分間首脳会談を行った。日本メディアはすべて日韓首脳会談は今回が「初めて」と報道した。 去る9月、韓日首脳が30分間「略式会談」を持ったという韓国政府は発表したにも関わらず、だ(ノーカットニュース)・・>>

ノーカットニュースもそうですが、早期解決って前からあったフレーズですが、そういうところちゃんと調べているのでしょうか。それに、協議を続けることにした・・というけど、どうせ、尹大統領は「懸案の早期解決」というのを、「まだ問題は解決されていないという意味だ。だから、今までの『解決済み』という主張は成立しない」ということにしているのでしょう。岸田総理は、『懸案』というものをあくまで現状、すなわち『解決済みの問題なのに、そうじゃないとする最高裁判決が出てしまった現状』についたの協議だとしているのでしょう。

 

ただ、すべては、「少なくとも、今までの『日本の一貫した立場』に変化が無ければ」という前提での話。今回は米中首脳会談の前の『イベント』的な側面がありました。尹大統領も、中国やロシアに対し、いままでよりは批判的な発言がありました。大したこと言ってないと思われるかもしれませんが、『いつもよりは』。次の会談がどうなるかはまだ分かりませんが、ただ、なにがあろうと、日本側としては、「一貫した立場」だけは貫いてほしいと、切に願います。

 

 

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