韓国、対中貿易の逆転(中国が黒字)現象が続く・・構造的なものか、それとも一時的なものか

韓国の経済は、2つの単語で集約できます。『貸出』と『中国』です。前者については最近エントリーしすぎだったので、今日は後者を取り上げたいと思います。そう、まさに、中国の経済成長と連動して成長してきたと言ってもいいでしょう。「チャイナブーム」とよく言います。ですが、いくつかのデータ及び分析などで、中韓貿易においては、このブームが終りを迎え、さらには逆転されたのではないか、もう中国が黒字を出すようになってないか、そんな話が聞こえてくるようになりました。

5月、急にマイナス10.9億ドルになった対中貿易収支は、6月12.2億ドル、7月5.9億ドル、8月3.7億ドルの赤字を記録しました。4ヶ月連続で対中貿易収支が赤字になったのは、韓国が中国と外交関係を結んでから、初めてのことです。当時、結構な数のメディアが「ついに来るはずのものが来たのか」というふうにこの件を報じましたが、当局などが一時的な現象だと主張した点、為替レートや新型コロナ関連などでいろいろあった点、9月には6.8億ドルの黒字になった点などで、それからは関連報道は控えめになりました。しかし、10月から再びマイナス12億5000万ドルになり、11月になってからも(20日まで)、7億ドル以上の赤字です。

 

すでに夏の時点から、『連続で黒字か赤字かで見るより、長いスパンで考えると、すでに流れは逆転している』という主張がありました。もちろん中国内のこともあるし、米中対立のこともあるし、為替レートなどで輸入価格が増えたのもあるけど、それよりは中韓貿易の構造そのものが問題だというのです。簡単に言うと、中国からして、わざわざ中間財などを輸入する必要がなくなった、と。まずアジア経済から現状がどうなのかを引用し、8月のマネートゥデイの記事から、構造とはどういうことなのかについての分析を引用してみます。各紙、<<~>>が引用部分となります。

<<・・貿易収支が、1997年以来25年ぶりに8ヶ月連続の赤字になっている。今年の年間貿易収支赤字は400億ドルに迫った。まさに経済の支えである輸出が、昨年同期より15%以上下落し、赤字の幅を広げている。21日、関税庁によると、今月1~20日の貿易赤字は44億1800万ドルと集計された。同期間の輸出は331億6000万ドルで前年同期比16.7%減少したが、輸入は375億7800万ドルで、5.5%増えた結果だ。貿易収支は去る4月から8ヶ月連続の赤字を続けた・・

 

・・今年に入って今月20日まで貿易赤字は399億6800万ドル。累積貿易赤字が約400億ドルを記録したのは、1956年貿易統計が作成されてから初めてのことだ。既存の年間貿易赤字最大値は、1996年に記録した206億2000万ドルだ・・・・特に、最大貿易国である中国との貿易収支が。今月に入って20日までで7億6000万ドルの赤字を記録している。対中輸出は5月に10億9000万ドルの赤字を記録した後、6月には12億2000万ドル、7月には6億ドル、8月には3億6000万ドルの赤字を記録し、4ヶ月間続いた。9月には6億8000万ドルの黒字に戻ったが、先月(マイナス12億5千万ドル)に続き2カ月目の赤字を記録する可能性が高まった(アジア経済)・・>>

繰り返しになりますが、為替レートの急な動き、中国の新型コロナ状況など、いろいろ変数はあります。だから、これは一時的な現象であり、すぐまた黒字になるだろうという見解も出ています。ただ、8月22日のマネートゥデイは、「最も大きな問題は、そこではない」としながら、次のように指摘しています。

 

<<・・もっとも大きいのは、中国政府の内需強化政策が、輸入に依存していた中間財を自国産製品に置き換える効果を出している点だ。半導体など、先端産業の育成のために、中国が国産化を推進しているのも、両国間の貿易収支に影響を与えている。ジョンインギョ、インハ大学国際通商学科教授は、「私たちが中国に中間財を輸出し、(※中国で最終消費財を作って)中国が米国に輸出する仕組みが、もう機能しなくなった」と指摘した。

貿易協会が去る18日発表した「最近の対中国貿易収支診断」報告書によると、半導体製造用装備において中国の国産化率は、2021年末に21%だったが、から今年1~6月には32%まで上昇した。これにより、我が国の対中半導体製造用装備の輸出は、1~6月基準で前年同期より51.9%も減少した。装備を、中国が自国産製品に置き換えているのだ。このような傾向は、過去30年間維持してきた、「私たちが中間財を中国に輸出して、中国が完成品を世界に売る」という両国間の貿易構造がもう変わった可能性を示唆している・・

 

・・専門家たちらは、部品など中間材の代わりに、最終消費財中心に貿易構造を改編する必要があると提言した。中国が経済成長戦略を輸出主導から内需主導に転換した状況であるだけに、今後成長するであろう中国の内需市場を本格的に攻略する必要があるということだ。中国が自国産業を育成するために半導体、装備など中間材を生産する中国企業にメリットを与えているだけに、消費財への集中は避けられない選択でもある(マネートゥデイ)・・>>

最後のアドバイスの部分、「だからこそ、入りづらいのでは?」とも思われますが。国内の支えだった『ローンでマンションを買う』と、輸出の支えだった対中貿易の両方に、同時に問題が発生しているわけです。安保は米国で経済は中国という、あの戦略的曖昧さという方向性を、もう少し早くやめることができたら・・という気もします。言うほど簡単ではなかったでしょうけど。

 

 

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