台湾、地方選挙で野党が勝利、蔡英文総統は党首辞任を表明・・日米台協力への影響は

台湾で昨日行われた統一地方選挙で、野党が勝利し、蔡英文総統は党の首長(主席)を辞任すると発表しました(※総統職からの辞任ではありません)。台湾国民の選択であり、尊重されるべき結果であることは言うまでもありません。しかし、最近の国際情勢の流れを考えると、やはりどうしても気になる結果でもあります。韓国ではそこまで話題になっていませんが(もともと台湾に対する関心が薄いということもありますが)、やはり殆どの関連記事は『中国との関係に影響するだろう』という予想を出しています。

まず、選挙結果ですが、統一地方選挙とは各地の知事、市長など首長を選ぶためのものです。総22のポストがありますが、昨日の選挙では1地域で選挙が延期となり、21つでした。4年に1回行われ、再来年には総統を選ぶ選挙もあるので、その前哨戦になると言われていました。与党(民進党)は選挙前には各地に7つの首長ポストを持っていましたが、5つに後退。野党(国民党)は13つの地域で勝利し、民衆党が1つ、無所属2つ。国民党は、台北市をはじめ、特に重要な地方とされる6つの『直轄市』のうち4つの首長ポストを得ました。

 

民進党としては、歴代最大級の負けとなりましたが・・ただ、「中国関連でいろいろ流れが変わるのではないか」という予想は各記事に共通しているものの、「この結果、2018年の地方選挙と大差ない」という指摘もあります。聯合ニュースは今回の選挙について、「もともとこんなものだったし、これといった案件がなかったので人物中心の選挙になった側面もある」という部分も合わせて書いています。また、ニュース1は中国の反応を紹介していますが、「台湾の一般国民は中国との緊張状態を望んでいない』としていますが・・騒いでいるのは政治家だけで、普通の人たちは~という、これ、どっかで似たようなフレーズを聞いた気もします。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・(※与党が負けた内容を報じた後)今回の選挙結果は、2018年11月に開かれた直前の地方選挙と大きな差はない。当時野党だった国民党は22の県・市場席のうち3分の2に達する15カ所を占め、民進党党は6カ所を取るのにとどまった。今回の選挙が、大きな争点なしに人物中心に行われた側面はあるが、蔡英文総統が選挙期間中に中国リスクと台湾の民主主義守護を強調したという点で、今回の選挙結果を置いて総統の外構路線に対する世論の支持が、期待したほどではなかったという評価も出ている。したがって、2024年に蔡英文総統の後任候補を掲げて総統選挙を行わなければならない民進党としては、いろいろ慌ただしい状況となった。逆に、国民党は政権交代のための力を得ることになった(聯合ニュース)・・>>

 

<<・・台湾地方選挙の結果、民進党が敗北すると、中国は「台湾の一般国民は両岸間(※台湾・中国)の平和を重視する」と主張した。中国で台湾問題を担当している台湾弁公室は26日、声明を出して、「今回の選挙結果、台湾の主流世論は両岸間の平和と安定を追求しているという事実が明らかになった」と明らかにした・・・・今回の選挙で勝利した野党国民党は、蔣介石が建てた党で、北京にもっと友好的な政治勢力だ。中国は蔡英文総統が米国に傾斜して両岸関係を悪化させたことで審判を受けたと分析している。ナンシー・ペロシ米国下院議長が去る8月に台湾を訪問したことをきっかけに両岸間の緊張が最高潮に達したりした・・・・中国は、台湾の人たちがこれに対する審判をしたと分析していると、ロイターは伝えた(ニュース1)・・>>

 

確かに、地方選挙で民進党が負けたのは前回も同じではありますが(蔡英文総統は2016年に就任しました)・・日米としてはやはり気になる話です。はてさて。

 

 

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