韓国、不動産価格のリスク・・ついに「請約」ゼロのマンション団地が登場・・って、請約の意味から書かないと

前にも同じテーマのエントリーに書いた記憶がありますが、韓国ではマンション団地を「作る前」に「抽選で」売るのが一般的です。まだできていないけど、マンションが・・買いたいです・・と申込みをして、当選すると、マンションを買う権利が得られます。いくつか似たような意味の単語がありますが、普通に言う『分譲権』、すなわちマンションを買う権利を得ることは、まさに身分上昇の近道、いや、唯一の道だと見てもいいでしょう。

もし当選したら、そのまま分譲権をプレミアム価格で売り渡す人も多いですが、普通に買う人は「契約」に入り、契約金を支払います。それから中途金を払って、残金を払って、入居。大まかに、こういう流れになります。で、最初のステップ、「申し込み」。これを、契約を要請しますということで、請約と言います。「請約→ハズレ→うわあぁぁ」になったり、「請約→当選→ヤンバン(?)」と、まさに運命の分かれ道といったところです。ディズニーランドのショー抽選かよ・・な気もしますが。

 

でも、「当選」には、実は優先される人たちが決まっています。持っている住宅の数、住んでいる地域(地元の人が優先されます)、独立有功者などが優先される制度などなど、いろいろあります。自治体によっても違うし、会社によっても違うと聞きます。普通は、銀行に「請約通帳」というものを作って一定の取り引き実績を残せば、それで有利になったりもします。

本当に大勢の人々が、無数に集まります。買いたいです、買いたいです、と。このお金の流れが、IMF期から、ざっと20年以上前から、国の経済成長を導いてきました(さすがにこれ『だけ』だとは思っていませんけど)。他にプロジェクト・ファイナンスなどでも書きましたが、こんなに人が集まるから、プロジェクトだけで当たり前のようにお金が動き、団地が成り立つわけです。海外の場合、プロジェクト・ファイナンスは自治体や政府レベルである程度保証されている事業でないと、まず金融機関がお金を出したりしません。

 

で、契約を要請しますと、その請約ですが・・なんと、請約ゼロのマンション団地が出てきました。全羅南道地域のもので、画像だけみると、結構気合いの入ったものに見えますが。「そんなことだってあるでしょう?」というのが普通の感覚かもしれませんが、これ、韓国では大ニュースです。どうやら、2008年のグローバル金融危機(リーマン・ブラザーズやサブプライムローン事態などがあった頃)以来、初めてのことだそうです。さっそく該当地域のKBS(日本でいうとNHKのような放送局)が、『ついに請約ゼロのマンション団地が出てきた』と報道しています。以下、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・新規マンションの請約競争率が着実に下落する傾向を見せている中、全南地域で、請約受付ゼロのマンションが出てきました。不動産院請約ホームによると、ソジン建設が分譲する「エリチェシグネチャー」232世帯が、優先順位請約において、たった一つの申請も受けられませんでした。その次の順位の請約で、3件だけ受付されました。2008年以降、一般マンション団地の分譲で請約受付自体が出なかった事例は、今回が初めてです。

光州では、10月になってから、新規マンションの一般分譲申請において未達(※競争率1対1未満)が続いています。7日、1順位、2順位請約の締切があった「山がきれいなシンヨンPARK」団地の競争率は0.43対1にとどまりました。去る10月、全南クァンヤン地域で分譲が始まった「ザ・ショップ・ラークポエム」は、現在は分譲を中止しています(KBS)・・>>

 

いつも思いますが、マンション団地の名前がすごいですね。これ考えるだけでも大変そうです。請約など初期契約率が高くないと、結果的には完成後に値下がりするという意味でもあるので、施行社(プロジェクトを管理する会社)が請約を申し込んだ人たちにお金を支給したり、分譲そのものを取り消す場合もでている、とのことです。いや、すでにこの段階で受けた融資が結構あるはずだし、それは施工社(実際に作る建設会社)や第2金融圏の金融機関などが保証しあっているはずですが、どうするのでしょうか。

いま書いている(紹介するのはまだまだまだまだ早すぎますが)原稿は、『長引くだろう』をメインテーマにしています。為替レートなどの話もちょっとだけ出てきますが、基本的に、「1997年(いわゆる『IMF期』)のようになる」という内容はありません。ただ、「内」による経済発展、すなわち民間の債務に頼る経済発展はもう終わり、その影響は長引くだろう、特に、青年層の未来に実に大きな影響を及ぼすだろう、と。

 

そう長くは書く予定ないけど、「外」においての経済発展もそうです。「外」による経済発展は、中国の発展、いわゆるチャイナブームによるものでしたが、それも中国の成長鈍化および技術発展により、そろそろ終わろうとしています。特に、青年層関連で、そのような側面を書いていければ、と。読者の方々の「体感的な何か」のために、一部のデータは日本のデータも併記したりしています。

KBSは「2008年にもあった」と言いますが、私は、すくなくとも社会人になってからは、マンション団地の請約ゼロなんて聞いたことがありません。かけらに過ぎないと言ってしまえばそれだけですが、現状を表す一例ではないのか、そう思いました。今日、また更新1回休みます。その分、他に出来ることをやりたいと思います。次の更新は明日の11時頃になります。

 

 

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