電気料金問題、金融市場そのものへの「台風の目」になるとの指摘も・・電力公社の株価は11%急落、空売りが急増

一つ前のエントリーでもお伝えしましたが、電気料金の引き上げ幅が予想に遠く及ばなかったことで、韓国電力公社の株価が急落しました。3日は多少立ち直りました(0.5%上昇)が、2日は11.24%も急落、空売りが集中し、3日には空売り禁止となりました。ネットメディア「ピンポイントニュース」によると、「2日、株式市場で空売り過熱種目に韓国電力公社が指定された。この指定により、3日は空売りが制限される。取引所で2日、韓電の株価は前取引日比11.24%下落、空売りは先月29日の14万9964件から、2日には37万4315件に急増した」、とのことでして。

ちなみに空売り(韓国で言う「空売渡」)というのは、ある会社の株(株券)を買わず、他から「借りて」売る行為を意味します。なぜなら、その株の価格が近いうちに下がるだろうと予想しているからです。今の株価が100円、下がると予想される株価が50円なら、いったん株を「借ります」。株を借りたから、返すのも株で返せばいいです。そして、借りた株を今の価格(100円)で売ります。100円手に入ります。すると、その株の価格が予想通り50円に値下がりしたら、50円で買います。そして、『借りた』株を返します。すると、手元にはあら不思議、50円が残っています。実際にはもっといろいろかかるでしょうけど、極めて簡単にいえば、こんなところです。

 

なんでこうなったのか。理由は簡単です。これぐらいの引き上げでは、34兆ウォンというとんでもない赤字を解消できるはずがないからです。ハンギョレ新聞はこの件で、専門家たちの見解を引用、「コスピ(KOSPI)において、韓電は代表的な内需企業で、時価総額22位。この会社の株価は、市場全体に影響を及ぼすだろう、と報じています。また、例のハンジョンチェ(韓電債)問題も解決できないため、株式市場だけでなく、債券市場でも大きな問題になるのではないか、と。以下、<<~>>が引用部分となります。

<<・・新年、株式市場取引初日は、韓電が11%急落しながら始まった。上昇出発したコスピも韓電株価が急落するとすぐに下落傾向になった。新年の債券市場でも、今後溢れ出すであろう韓電債の物量が市場をあらす可能性を注視する雰囲気だ。赤字問題が今年一年、金融市場を揺るがす「台風の目」になるのではないか、という見通しも出ている。NH投資証券は昨年12月23日、「株式1月効果」報告書で、「今年のコスピの反転においてもっとも問題になるのは韓電だと見ることが出来る」とした。

 

市場でも韓電の株価動向が、今年のコスピを左右する変数になると見ているが、今年1~3月期の電気料金引き上げ(kWh当たり13.1ウォン)では、赤字問題が解消できないだろうという反応だ。SK証券は、「誰も満足できない電気料金の引き上げ幅だった」としており、KB証券は「どこまで電気料金を上げることができるかがカギ」とした。証券情報筋たちは、今年に3ヶ月ごとに10ウォン以上の電気料金を引き上げると、今年1年間で営業赤字が9兆3千億ウォンまで減少することができるだろうけど、財務状態の改善にはならないという評価が出ている。

債券市場でも、最大6倍まで発行限度が増えた韓電債が、今年も債券市場全体を押しつける可能性が大きいと見ている。メリッツ証券は「韓電債の純発行(2022年約29兆ウォン、※発行額から返済額を引いた金額)が年初から続くだろう」と見通した。この「韓電債ボム」で、会社債資金調達市場が凍りついた昨年の状況が、今年も続く可能性が大きいという意味だ。赤字を解消するために発行される韓電債は、優良債として債券市場の投資資金を取り入れてきた(※政府保証付きです)。金融投資業界は、韓電が今週2回にわたって、それぞれ5千億ウォン前後の韓電債発行のための入札に出るものと予測している(ハンギョレ新聞)・・>>

 

記事は、時価総額では22位でサムスン電子などには遠く及ばないけど、公社は国内の代表的な内需企業であり、その「商品」である電気の需要は経済成長率や景気状況と連動するため、なんだかんだで株式市場に与える影響が結構大きい、としています。このまま公社の株価が揺れると、KOSPIそのものが動揺するのは避けられない、とも。電気料金問題が、金融市場全体に波及するのか。「公企業1社体制」で電気を販売してきたこともあり、その影響が注目されます(ニュース番組みたいな終わり方で、今日はこれで失礼します)。

 

 

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