韓国、高級ブランド品の「空ボックス」取引が増加・・SNSに「私もブランド品を買った」と認証ショットを載せるため

昨日、ブランド品関連を書いてから、家計債務問題との「対比」も気になるし、韓国で暮らしていたときのことをいろいろ思い出したりして、もう少し他のメディアの記事を検索してみました(まだ未読の方は、一つ前のエントリーも合わせてお読みください)。もっとも多くの記事が指摘するのは、その品の価値に関するちゃんとしたこだわりではなく、ただ人に見せるために購入する風潮でした。昨日紹介した「アルバイトでせっせと貯めたお金で高級品を買う」人たちのことも、結構前から複数のメディアが記事にしています。

社会の全般的な風潮に関する記事で、ブランド品だけに絞られた内容ではありませんが、「個人の趣味は、その人が所属感を得るための、『階級』の表紙である場合もある」とする2006年10月31日韓国日報の記事が、このブランド騒ぎをよく表していると言えるでしょう。「上流層はサッカーよりは乗馬を、テレビドラマよりはクラシックオペラを、ビールよりはワインを楽しむ。実は乗馬よりサッカーが好きでも、それを隠す。サッカーが好きだと言うのは、自分が民衆とかわらないということになってしまうからだ」、「上流層ではないけど上流層になりたいと熱望する人は、彼らの好みをそのまま実践することで満足感を得る場合もある」、と。

 

そこまでハッキリ二分して考える必要があるのか・・な気もしますが、韓国は、確かにこういう『区分』が強い社会ですから。日本語や敬語関連で何度か引用したことがありますが、ウォンジュ(原州)大学多文化学科教授キム・ジへ氏がオーマイニュースに書いた「韓国語を始めるには、知らなければならないことが実に多い。職業、教育水準、結婚したかどうか、親や配偶者の職業、経済的能力、乗っている車の種類、住んでいる街、着ている服など・・・・それらの項目でこれといって優れたものが無かった場合、その人は相手から敬語を聞くことはできない」という経験談が、その風潮をよく現しています。

さらに問題は、『せっせとバイトしてブランド品を買う』こともできない人たちです。彼らはどうするのか。ブランド品の『ボックス(空)』を買います。アジア経済によると、それでも数万円はする、とのことです。中身じゃなくてボックスの認証ショット(「私はこれを買いました」という証拠としての写真)をSNSにアップするためです。ちょっと曇った見方をすれば、アルバイトで貯めた金でブランド品を買った人が中身を『誇示』し、少しでもお金を得るためにボックスを売り、それを買った人がボックスで『誇示』する、そんな連鎖反応が起きているわけです。以下、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・高級ブランドのショッピングバッグ、製品ボックス、ケースなどが、中古市場で重要な存在になった。11日、複数の中古取引プラットフォームには、ロレックス・エルメス・シャネルなど高価ブランドのショッピングバッグ・ケースを販売するという投稿が、一日にも数十個ずつ上がっている。高価な中古取引プラットフォームで頻繁に取引された高級ブランドだが、内容物が無い空のボックスさえも、定番商品になったのだ。

ある中古取引プラットフォームで「ロレックスボックス」を検索してみたら、数十件の投稿がヒットした。ロレックス時計ボックスの相場は20万~30万ウォン台だ。製品別、サイズ別ボックスはもちろん、約10年前の付属品として出たビンテージボックスまで様々に取引されている。他にもオメガ時計ボックスは15万~20万ウォン、IWC時計ボックスは5万~10万ウォン台に販売されている(アジア経済)・・>>

 

本当に「こういうの好きですから」「コレクションとして」という取り引きもあるでしょう。でも、記事のニュアンスからして、どうもそんなオタ感はしません。なにかに似ているな・・と思いました。ヨンクルです。いま書いている本の原稿のメインテーマでもありますが、彼らにとってマンションは『身分の象徴』そのものです。富裕層と同じグループになりたいとブランド品を買う行為と、同じではないでしょうか。せっせとバイトするというのを「元利金返済が問題になっている家計債務」にすると、これもまた同じに見えます。よいかわるいかの話ではありません。実に疲れる話です。

 

 

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

  ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2022年9月2日)からですが、<尹錫悦大統領の仮面 (扶桑社新書)>です。文在寅政権の任期末と尹錫悦政権の政策を並べ、対日、対米、対中、対北においてどんな政策を取っているのかを考察しました。政権交代、保守政権などの言葉が、結局は仮面が変わっただけだということ、率直に書きました。 新刊<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。「私はただ、日本が好きだから、日本人として生きたいと思っています」。これが、本書の全て、帰化の手続きを進めている私の全てです。 刊として、日本滞在4年目の記録、<「自由な国」日本「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >と、新しく出現した対日観について考察した卑日(扶桑社新書)>も発売中です。 ・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。 ・当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。