イラン、駐イラン韓国大使を招致し「凍結資金を解決しないと両国関係を再検討する」

一昨日(17日)本ブログでも紹介しましたが、尹大統領の「UAEの敵はイラン」発言が、まだまだ問題になっています。イラン政府は、駐イラン韓国大使を招致し、発言について「中東平和に反する発言だ」とし、ソウル経済など複数のメディアの記事によると、「凍結資金問題を解決しないなら両国関係を再検討する」とも話しました。また、これも本ブログで紹介した案件ですが、尹大統領が自力による核保有について話したことで、NPT条約も違反する問題だとし、説明が必要だとも話しました。尹大統領としては『ビシッと』決めたつもりだったかもしれませんが、外交部としてはいろいろ(イランNPT関連で言われたのもそうですが)困ったことになりました。以下、<<~>>が引用部分となります。

<<・・19日、イラン外務省が発表した声明によると、レザ・ナザフィー法務・国際機関担当次官は18日(現地時間)、ユン・カンヒョン駐イラン韓国大使を呼び、イランが湾岸地域の国家の大多数と友好的な関係を維持していることを強調した。ナザフィー次官はその場で「尹大統領の発言は、それら友好的関係に対する干渉でしかない」とし「この地域(中東)の平和と安定を損なうものだ」と指摘した。 それと共に「韓国政府はこれに対する即時の説明と、立場の訂正が必要だ」と促した。

 

ナザフィー次官はまたイラン資金凍結などに関する措置を取り上げ、「韓国がこの問題の解決のために有効な措置を取らなければ、両国関係を再検討することもある」と話した。先に米国が2018年イランに対する制裁を復元し、韓国には現在70億ドル程度のイラン資金がウォンで凍結している。 これは海外に凍結されたイラン資産の中で最大規模だと言われている。

この他にもナザピ次官は、尹大統領が最近核兵器製造可能性についても言及したが、これは核拡散禁止条約(NPT)に違反すると解明も要求した。イラン外務省によると、ユン大使はユン大統領発言が「イランとUAEまたは韓国との関係とは無関係だ」と強調した後、「イラン政府の立場と要求事項を韓国政府に伝達する」と答えた(ソウル経済)・・>>

 

前にも書いたことがありますが、この件でイラン政府は「韓国政府は関連する約束を履行するのを待っている」と話しています。2021年、イラン政府は「韓国政府が、イランに資金を移転すると約束した」と公式に発表しました。朝鮮日報(朝鮮BIZ)2021年2月23日の記事によると、「凍結状態のイランの資産(預金)をイランに移転するとしたとイランが発表した、しかし、その直後に韓国外交部が『細部事項を話しただけで、米国とはまだ話していない』と、移転するとは言ってないと話した」、となっています。このとき、イラン側は、政府自ら「韓国が資金を移転することにした」と公式発表しました。

ただ「凍結」だけを指摘するなら、それは米国による措置に対するものだから、尹大統領としても「それは米国が~」といえるでしょう。でも、イランは2021年に韓国政府が資金をイラン側に移転すると合意した、ということにしているので、今回の問題解決というのも、米国ではなく尹政権のほうが『メイン』になるわけです。尹大統領はそれを『前の大統領のこと』としか思っていないかもしれませんが、他国からするとそれは政権の問題ではなく、国家間のことですから。当時、文たんが詳しくどんな話し合いをしたのかは報じられていませんが、いつもの「とりあえず言っておこう」路線だった可能性もあります。

 

メディアによっては、イランと友好関係にあるレバノンに韓国のドンミョン部隊が(国連平和維持軍として)派兵されている点を指摘する記事もあります。もし尹大統領がドンミョン部隊を訪問して激励する演説をするなら、そのときは「レバノンはイランの友好国で、そのイランの敵はUAE」と言えるのか、というのです。引用部分で大使が話した内容は、この発言が問題になった直後に外交部が出した内容と同じです。UAE、イラン、韓国の関係とは無関係な発言だった、というのです。しかし、今回の大使招致は、この発言の後に行われたものなので、この説明では納得できない、という意味でもありましょう。

 

 

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において『本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

  ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2022年9月2日)からですが、<尹錫悦大統領の仮面 (扶桑社新書)>です。文在寅政権の任期末と尹錫悦政権の政策を並べ、対日、対米、対中、対北においてどんな政策を取っているのかを考察しました。政権交代、保守政権などの言葉が、結局は仮面が変わっただけだということ、率直に書きました。 新刊<日本人を日本人たらしめているものはなにか~韓国人による日韓比較論~>も発売中です。「私はただ、日本が好きだから、日本人として生きたいと思っています」。これが、本書の全て、帰化の手続きを進めている私の全てです。 刊として、日本滞在4年目の記録、<「自由な国」日本「不自由な国」韓国 韓国人による日韓比較論 (扶桑社新書) >と、新しく出現した対日観について考察した卑日(扶桑社新書)>も発売中です。 ・刊・準新刊の詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。 ・当に、本当にありがとうございます。書きたいことが書けて、私は幸せ者です。それでは、またお会いできますように。最後の行まで読んでくださってありがとうございます。